28話 少女が手に握るもの
日間5位内…はい、作者は飛び跳ねて喜んでおります♪
ここまで来れたのも、読んで下さる読者様、ここまで来れたのも皆様の御陰です!!
ほんの数ヶ月前まで、一人で書いて、それで満足していた作者です。
その頃には、ここまで来れるとは夢にも思いませんでした…
もう、感激ですね、はい、木にだって上りますよ♪
どうか皆様に『人形遣い』が長く楽しんで頂ける作品であるよう…
作者は精進を続けて行きます♪
まだまだ、未熟な作者と作品ですが、
どうか、これからもヨロシクお願いします!!
赤城とサヤカが通された来客室には、大きな円卓が置かれていた。
扉側の壁際には西欧の『騎士』の甲冑が13体…
その他には、銃器や刀剣の類いが飾られているが、一番に目を引くのは大きな絵画だ。
西欧の有名な画家が描いたであろうその作品は、
仮面を付けドレスで着飾り踊る貴族達の中に、一体だけ人の骸骨が紛れ込み一緒に踊っている・・・と、いうものだった・・・
コレは、『ヴァニタス』の一種なのだろうか?
赤城は芸術にもある程度精通しては居たが、無論、専門家では無い。
ただ、コノ作品は、夜守巳三郎という人間が持つに相応しい絵画に思えた・・・
入り口とは反対側の壁はガラス張りで、決して美しく無い街の夜景を望むことが出来る…
サヤカは、その夜景に背を向ける様に円卓の席に着いた。
私はその横に腰を下ろした。
西欧の雰囲気を漂わせる内装は、どこか落ち着かない、何かがズレていると私に思わせた。
夜守が来るまで、必死に不可解さの理由を考え、1つの結論に至った…
(統一されているようで、統一感が無いのか……)
甲冑は中世の物だろうが、壁に掛けられている銃器は近世、絵画に至ってはその存在そのものが異彩を放ちすぎている…アレを飾るなら、周囲の武器は邪魔だ…
この部屋からも夜守という男の性格を知ることが出来るようで、薄ら寒いモノを感じた。
隣に座る少女に目を向ける。
恐怖しているだろうに、比較的落ち着いた印象を受ける。外面的には……
その実、闘気は乱れきっており、心の動揺、恐怖が見て取れた。
必死に闘気を纏おうとしているが、乱れが邪魔して上手く纏えないようだ・・・
無論、私は何もしては居ない、彼女の拘束も最低限に抑えている。
今、彼女の身体を縛るのは、両手首に掛けられた手錠だけだ…
「大丈夫ですか…
恐くは無いですか?」
私は少女に聞いてみた。
すると彼女は私を睨みつけ…
「別に恐くありません、恐く…ありません、だって…
レイジが、助けてくれるから」
「信頼していますね」
「…レイジは、いざって時は頼りになるもん……でも…」
途中まで、ハッキリしていた声は最後の方で尻窄みになる。
顔を下に向け、恐怖に瞳を染めながら、肩を振るわせながら彼女は言った…
「…レイジが恐い目に遭うなら、あたしは助けられなくてもいい…」
急に大人しくなったのは、覚悟を決めたって奴ですか…
「…子供が変な覚悟を持つもんじゃないですよ
大丈夫、助かる様に流れてますから、王子様のお迎えは近いですよ…」
「えっ!?…今、なんて?…」
彼女がそう呟いたのと同じ瞬間。
扉が開き、夜守巳三郎が入室した……
■
現れたのは全身に火傷跡を負った、年齢不詳の男…
特に顔は火傷が酷かったらしく、顔の半分は別人の形相だ。
職業柄…では無いな、同業者にフライフェイスの奴が居るから見慣れているつもりだったが…
アイツ以上だな……
そいつの火傷跡は、右目周辺を円形状にだったからな…この貴族様は左半分、火傷跡だ…しかも、全身に大火傷を負ったらしく、両の手も激しく皮が捲れていた。
男はその恐ろしい顔を歪め笑う。
サヤカが小さく悲鳴を上げたのを聞き逃さなかった。
そりゃあ、恐怖だろう、この男、入室してからずっとサヤカを見ているのだから…その笑顔もサヤカに向けられたモノだった…
「待たせてしまい、すまない『サヤカ』
何分、突然だったからね、私も早急に仕事を片付けて来たのだよ
おかえり、『サヤカ』、ずっと待っていたのだよ?」
男は私を無視し、サヤカに近付こうとする。
先程までの威勢は何処へやら、恐怖で我を忘れ耳を抑え、屈み込んだ…
「…し、しにたくない…シニタク無い、死にたく無い」
そんなことを永遠に呟く…
私は男の目を見る…
その瞳は狂気に満ちた…鬼の目であった…
一応、用意していた台詞を吐くことにしよう。
「夜守殿、この度は捜索依頼通りに娘を連れて来たのだ、先に報酬を頂きたい」
この娘には、裏の世界で賞金が掛けられていた。
生きて連れてくれば多額の賞金が貰えると言う…
それに釣られた奴等が必死に娘を捜したのだろうが、普通は見つからないだろうな。
娘は、月村家に匿われ、三日月の屋敷に張られた結界の中で生活していたのだから…
私だって、通常ならば、あの屋敷の内情を知ることは出来なかっただろうし。
娘の存在を知っていたとしても、結界の網を潜り侵入するのは不可能だっただろう。
この男は賞金を私に払うだろうか?
否、恐らく答えは…
瞬時に男の笑みに加虐的なモノが浮かび上がる…
「……そうだったね
すまない、この笑は幼い頃からの癖でね、師にも諌められたのだがね…」
何を言っているのだ?
会話が通じないのか?
始めから、賞金など期待してはいないが…この男、遠い目をして何処を見ている!?
私を見ているようで、その実、見てはおらず…
ただただ、虚ろな目で私を見た後…
その動きは一瞬だった、
男の身体から放たれる『魔糸』…
…この男も月村の人間…『人形遣い』である。
失念していた訳ではないが、このタイミングか…
瞬時にサヤカを抱きかかえ、ガラス張りに向けて闘気を纏わせた蹴りを放つ…割れない!?
普通のガラスなら簡単に砕け散るだろうに…赤城は舌打ちした。
まだ、役者は揃ってないのだ…
劇の舞台に主役が上らずに物語を終わらせる訳には行かないし、無論、私では荷が重い話である。
相手は魔法を使える上級貴族、しかも『人形遣い』で、そいつが作り出した舞台の上…
対して私は、暗殺系のしがない武人…
これが陣ちゃんなら、どうにかなっただろうか?
あの時、ジャンケンに勝つんじゃなかった…主役が遅すぎて、私の負担が大きくなったのだ…
溜め息を付きつつ、サヤカを下ろし、男を睨みつける。
覚悟を決めよう、主役を気絶させる要因を作り出したのは紛れも無い私だし、『あの人』の手の上で踊っているのだ、失敗はないだろう。
男はパペットワークで、13体の甲冑を動かしだした。
なるほど、来客を逃がさない為にその場に配置していたと…
甲冑達は、壁から武器を取り、私とサヤカを取り囲む。
実は計算されたインテリアだったと…面倒ですね…
甲冑の内、一体が私に槍を突き出すのと、遠くで爆発音が響き渡るのは、ほぼ同時でした…
■
アリサは立ちはだかる壁を、悉く爆散させて突き進む…
もの凄いスピードで、俺とポチを抱えながら…
勿論、背中にはポチに運ばせた大荷物。
アリサさん、力持ちっすね…
まぁ、冗談はさておき、夜守巳三郎……どうやって、甚振ってやろうか?
裏口の前に重ねられた三体の遺体…例外無く、両の目を刳り貫かれた女の子達…
恐怖より、憎悪が勝り、それよりサヤカを思う心が上回った…御陰で、自分でもビックリするくらい冷静で居られる…
「くんくん・・・アリサちゃん、近いぜ・・・」
「はい、夜守の魔力でしょうか?
パペットワークを使った様です、マスターご用心を…」
ここまで来るまでに、夜守が俺と同じ『人形遣い』であることを聞かされていた。
初めての戦闘は武人だった、赤城と言う男…次は、『人形遣い』…
赤城は、何故か俺の命を奪わなかったが、夜守は違うだろう…きっと、奪いに来る…
ならば…負けてはならない、殺されたく無ければ勝たねばならないのだ。
分かっていたつもりの覚悟を、俺は改めて締め直しす。
大きな扉が見えて来た…
■
赤城は13体の敵を相手に、見事な立ち回りを披露している。
あたしはというと、惨めにうずくまり、震え泣いていた…
情けない、自分が情けない…
赤城は一体何者なのだろう?
こんな、あたしを放置するでも無く、守る様に敵の攻撃を防いでいる。
この戦いで、あたしは赤城の本気を目の当たりにしていた…
あたしが近くに居るからか、『針』と『糸』は使わず、両の袖に隠した何かに闘気を纏わせ、敵の攻撃を叩き防いでいる…
稀に、衝撃波のようなモノを飛ばし敵を牽制し、敵の武器を袖に隠した何かで弾く…
弾かれた剣があたしの前に突き刺さった…
刃に映った娘の顔は、酷く情けないものでした…
あたしは、奥歯を噛み締め、剣を握る…
ありったけの闘気を、剣に乗せた…
「わあああああああああああああ!!!」
叫びながら飛び出し、目の前に居た甲冑に剣を振り下ろす…
赤城が驚いた顔をこちらに向け、あの男は甲冑共の奥で目を見開く…
敵は、剣を横に構え、あたしの攻撃を受け止めようとする…が、
あたしの剣は、甲冑を構えた剣ごと両断した…残り12体…いや、13…
あの男に向けて私は言い放った…
「あたしは……あたしは、お前なんかに殺されない!!!」
手は震えていたし、声も震えていた…
だけど、もう…怯えるのは嫌だ、情けないのは嫌だ、逃げ回るだけも嫌だ、守られるだけはもっと嫌だ!!!
あたしは、あの男に剣を向ける……
覚悟は出来た。
なら、なにがなんでも生き残る!!
そして、入り口の扉が爆散した…
さて、弱音ですが・・・
30話までで、纏めれるかな?
頑張りますけどね、頑張りますけど…
32話とかまで行ったらスミマセン…ペース配分間違えたぁ…




