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とある貴族の人形遣い (仮)  作者: 涼坂 九羅
2章 月村の家伝
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19話 空は青かった

 さてさて、俺と母様が屋敷に到着すると、

 確かに、この一室から夥しいネガティブオーラが発生している・・・


「もう!!、ダーリンたら

 拗ねなくても、私はダーリン一筋なのに!!」


 母様は笑みを零しながら、頬を膨らませる・・・リア充め、爆死しろ・・・

 母様は無遠慮に戸を開き、中へと入る

 無論、俺も続いて入る、アリサはその後だな・・・


 部屋に入ると、重苦しい雰囲気が俺を包み込んだ。

 部屋一面を飾る、銃器・・・壁に棚に机の上と、乱雑に置かれている・・・一際目を引くのは、部屋中央に置かれた重機関銃・・・部屋に入った俺に銃口を向ける形で置かれている。


 狼狽える、銃社会に産まれなかった俺は、実質、初めて本物の銃を見た。

 だから、まぁ、・・・ヘタレだからさ、ビビったんだ・・・

 後退ったため、後ろから来ていたアリサにぶつかった。


「大丈夫ですか、マスター?」


「お、・・おい、アリサ、銃だぞ?

 なんで、この屋敷にこんな危ねぇものがあるんだよ!!」


「マスター、素が出てますよ?


 ご存知無かったのですか?

 旦那さまは、国の軍備を一手に引き受ける銃器メーカーの社長のご家族ですよ?」


 えーと・・・はい?・・・

 まず、ファンタジー世界なのに、これから戦争するのかってくらい銃があるのにビックリ・・・

 次に、ゴリパパが、まさかの婿養子なことにビックリ・・・

 そして、自分が素で喋ったことにビックリ・・・


 スリービックリ、チェンジ!!!


「じゃあ、父さ・・・とう様のお仕事って・・・」


 言い直したら、笑われた・・・そろそろ、慣れろよ・・・


「はい、旦那さまは、主に私達『人形』が扱う武器や、武人が扱う武器などの製造をされておられます」


『武人』?

 ファンタジーな単語なのは解るが・・・聞くのはまた今度にしよう・・・


 それより、まず、聞かねばならんのは・・・


「・・・アリサも銃つかうの?」


「はい、その為の自動照準機能ですから」


「・・・サヤカはこの前、とう様の手伝いをして、ノコギリが上手くなったって言ってたよ?」


「旦那様が手がけるのは銃器だけではありません、刀剣や戦車の類いも専門的に作っておられます。

 サヤカさんは、旦那様直々に剣術の稽古を付けてもらっていましたから、その影響かと。

 そのことはマスターには黙っていて欲しかった様ですが・・・


 旦那様も、『武人』として弟子が出来たようだと喜んでおられましたし・・・」


 色々、突っ込みどころはあるが1つだけ・・・


 パパ・・・5歳児に刀持たすなや・・・



 パパは部屋の隅で縮こまっていた、体育座りである・・・

 身体が大きいゴリマッチョな大人がそうしているものだから、なんか情けない・・・

 それを慰めるのが、ロリロリなゴスロリ娘(母)なのも情けなさに拍車を掛ける・・・


「ダーリン、お外にでましょう?

 いい天気よ? そうだ、散歩に行きましょう、きっと楽しいわ♪」


「・・・・・・・・・・・や」


 ・・・『や』、じゃねぇよ。

 膝に頭埋めて言うなよ・・・、情けなさに拍車が高速回転するじゃねぇか・・・


 自分の父親に、もの凄い脱力していると、後ろから声を掛けられた。

 アリサではない、幼い女の子・・・まぁ、サヤカなんだけど・・・


「レイジ・・・」


 振り向くと、サヤカの疲れた顔が目に飛び込んで来た。


「レイジのお義父さん、朝からこんな感じ、あたしもちょっと疲れた、心が鬱・・・」


「・・・マスター、サヤカさんは朝から旦那様のお世話をしておられました・・・

 もしかしたら、ネガティブが伝染したのかもしれません・・・」


 淡々と言うアリサさんだが、その顔には若干、疲れの色が見えた・・・

 アリサさんも、このゴリが拗ねてるせいでお疲れのご様子だな。


 つーか、ネガティブって伝染するんだ・・・

・・・パパ様、隔離しないとな、ネガティブゾンビのハザードは嫌だ・・・


 まぁ、しかし、人は見かけによらんな・・・

 まさか、この筋骨隆々のパパが、構ってちゃんだったとは・・・意外だ・・・


 仕方ない、ここは息子が人はだ脱ぐか・・・


「とう様、サヤカにばかり剣術教えてずるいです

 僕にも剣術教えてください」


『・・・ピク』


 よし、反応したな。

 人の喜ぶことを言うのは苦手じゃない。

 後一押し・・・


 パパが拗ねてるのは、

 息子に構って欲しい、

 母様に構って欲しい、

 この2つが大きな要因だ・・・なら、このゴリを起こすには・・・


「そうだ、とう様♪

 明日は天気になるそうですし、僕に剣術教えてくれるのも兼ねて、みんなでピクニックに行きましょう♪


 きっと楽しいよ、

 ねぇ、良いでしょ、アリサに母様?」


 話を振られて、

 母様は困惑、アリサは笑いを堪えながら首を立てに振った。

 だから、慣れろよアリサ・・・


 アリサは笑いを抑えて、


「マスターがそう仰るなら、私に依存はありません

 

 只、この屋敷から離れすぎると暗殺の危険性があるので、

 裏の森にある、少し開けた場所に致しましょう・・・」


「OK、それでいいよ

 それじゃあ、出発は明日の朝、とう様、寝坊しないでね?」


「・・・・・・・・・・・わかった」


 パパ様が了承したので、

 明日、ピクニックとなります。

 母様が終止、驚いた顔していたけど、どうしたのかな?



 さてさて、我々、月村一家+サヤカ+アリサ+ポチは、樹海の様な森を歩いております・・・

 屋敷の留守は、存在を忘れられがちなメイドの星見さんと、母様の専属なのに離れていいのかって話の叢雲さんが勤めています・・・大丈夫かな?


 そんな、辺境を探検しに来たんじゃないんだから。

 もっとイージーなピクニックコースを期待したのだが・・・


 やっぱりというべきか、パパ様は終止無言で無表情ですが、その顔からはピクニックを楽しんでいることが窺えます・・・母様は既に、グロッキーですが・・・


 ポチは意気揚々です、


「小僧、なんなら俺様に乗ってくれても構わないぜ?」


 乗りません・・・


 サヤカは俺の少し前を歩きます。

 少し歩くと直に俺の方に振り向いてきます・・・可愛いな、おい・・・


「マスター、サヤカさんを大事にしてくださいね」


 後ろを歩くアリサが不意に呟いた。

 変なことを言うヤツだ、サヤカにしてもアリサにしても大事にするに決まってる・・・


 何故か、その後のアリサはご機嫌だったな・・・



 アリサが指定した場所は、日の光が差し込む、森の広場だった。

 俺がここに来た当初、大好きになった、『赤兎』が居る・・・一杯、居る・・・


 多分、そのときの俺は目が逝ってたと思う。

 だって、みんな、引いてたもん・・・


 さてさて、御待ち兼ねの剣術の稽古が始まります。サヤカも一緒です。

 やっぱりね、ファンタジー世界に来たのだから剣の1つくらい嗜みたいものだ・・・


 

 昨日の晩、アリサに『武人』に付いて聞いたが、アリサも詳しくは知らないと前置きして話してくれた。


「この世界には昔から、2つの大きな力がありました。

『魔力』と『闘気』です・・・それぞれの使い手を人は、『魔法使い』と『武人』と呼びました」


『闘気』とな・・・また、ファンタジーな言葉が・・・


「私個人は、魔法使いの家に使える身ですので、あまり武人を褒めたく無いのですが

 武人は個々の戦闘力が極めて高く、侮れない敵です


 また、武人の中には暗殺を専門とした武術を身につける者もいます

 そういった者は、私の魔力探知機能でも発見することは出来ません」


 残念そうに語るアリサ・・・

 武人来たら、俺、危なくね?


「しかし、武人は現在、この国からその数を減らしてきています


 理由は2つ、

 魔法使いが、国家の上層部を占めていること

 単純に、武人の後継者不足による所・・・この2つです


 我が国は、大戦で魔法を用いて勝利した魔法大国ですから」


 一息ついて続ける。


「旦那様は、武人の家系の出身です。

『侍』と呼ばれる武人で、その剣術は素晴らしいの一言です


 その技術を学ぶことは、決してマスターの無駄にはならないでしょう」


 そういわれて、やってみたものの・・・

 なんだ、これ?・・・


 俺は地面に寝転びグロッキー・・・

 サヤカはパパ様相手に奮戦中・・・


 この差はいったい・・・

 


 青空が澄み渡っていた・・・


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