表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある貴族の人形遣い (仮)  作者: 涼坂 九羅
2章 月村の家伝
17/37

17話 母心子知らず

 今更だが、『魔糸』の使い心地というか、使っているときの感触と言うか・・・

 まぁ、そういったもの説明をさせて頂きます(新感覚!!、と表現すれば終わるのだが・・・)。


 まず、身体に付いている時(掌から糸を切り離してない時)は、糸を手足の様に動かすことが出来る。

 さらに、感覚的には身体にセンサーが取り付けられたかのような感じで・・・触れたものの質感とか、その温度とか、その者が体内に流して居る魔力量などなど、実に様々な情報が脳に流れて来る。

 

 捕捉だが、痛覚は感じない。

 あっ、切れたな・・・程度にしか感じない。


 切っても、切っても、再生する触手・・・

 なんだこれ・・・一番しっくり来るのだが・・・

 余談だが、触手って単語でエロい妄想するのはオタのカルマだと思う。

 俺は、危うくもアリサとサヤカで妄想しかけた・・・

 サヤカはともかく、アリサはOUTだ。

 心通じてるし、妄想が筒抜けになる・・・話を戻そう、脱線した


 そして驚くことに、俺はその情報を脳で処理している。

 俺は一度に何千本もの小さい糸を張り巡らせ、蜘蛛の巣の様な簡易センサーを作り、母様が使う『手駒』の動きを察知していた・・・


 俺が蜘蛛の巣を発案して実行したのは、『魔糸』が使える様になって2週間後。

 完成したのは、その1ヶ月後だ・・・

 そして、俺が自分の処理能力の高さに気付いたのは、ここ最近・・・

 それまでは無意識の内に、なんの負荷も感じず(最初に使えたときは凄い感動したけど、無邪気に喜んだだけ)・・・それは流石に、俺の頭ハイスペック過ぎるだろうと考えたわけで・・・


 一応、身近に人形遣いをしている母様に、


「この世界の人形遣いは、皆、こんな脳味噌ハイスペックなんですか?」と・・・、いつもの子供口調で、出来るだけオブラートに包んで、いつもの寺の前で質問してみた・・・



「いいえ、違うわ、

 私たちはレイジ程、魔糸を使いこなせていないもの!!

 レイジが言う程、情報も流れて来ないけど

 レイジが使っている、蜘蛛の巣を私が使ったら只じゃ済まないわ!!」


 驚きの事実発覚でした・・・


 俺が困惑していると、母様は慈しむ様な視線を俺に向けてくれる。

 そっと、俺の頭に手を置いて、あやす様に優しい口調で告げた。

 いつもの砕けた調子の無い、真面目な口調だった・・・


「レイジが産まれた時、直に『天の落とし子』だと解ったわ

 理由は、産まれたばかりなのに、私とダーリン、二人合わせた魔力総量より遥かに大きな魔力を抱えて産まれて来たからよ、それはもう底が見えない程に・・・


 産まれた時、泣かなかったから、ちょっと私はそれ所じゃなかったけどね♪」


 ああーうん、あのときか・・・

 だって俺、転生してるとか解らなかったし・・・


「産まれて数週間後に、ある占い師にレイジを見せたわ・・・

 今まで、『天の落とし子』を何人も『鑑定』して来た人なの


 レイジを見せたとたん、その人は目を丸くしたわ、アレは愉快だったわね・・・くくく」


 思いだし笑いを交えながら、俺の知らない俺の話は続く。


「いいレイジよく聞いて


 通常、『天の落とし子』であろうと、その恩恵は1つだけなの。

 ダーリンは、レイジと同じ『落とし子』で、『怪力』の能力を持っているわ

 だけど、レイジの様に『莫大な魔力』は持っていない」


 あのゴリパパ、見たまんまの『スキル』持ってたのな・・・

 つーか、あのゴリパパが俺と同じ『落とし子』とは初耳だ


「レイジは、『莫大な魔力』と『スキル』を身につけて産まれて来た・・・

 

 希有な存在である筈の落とし子の、極めて異例な『落とし子』なのよ


 だから、ごめんなさい

 普通でも、産まれたばかりの貴族の子には暗殺を警戒するのだけど

 レイジの場合、より厳重な警戒が必要だった・・・だから・・・


 ・・・さみしく、ぐす・・・させてゴメンなさいね・・・」


 途中から涙混じりになり、

 いきなり抱きつかれた

 初めて会ったときと同様、強く・・・


 ああ・・・、最初に合ったとき、只の危険人物とか思ってゴメンなさい、と謝りたい・・・

 この人、愛情表現キツ過ぎるけど、良い母親じゃねぇーか・・・少なくとも、俺は好きだ・・・

 俺にとって、二人目の母で、なんか見た目ロリロリだけど、俺の大事な母親だ・・・


 嗚呼、前世の母の顔が急に見たくなって来たぜ・・・


 追記:俺は決してマザコンでは無い!!!



 泣き止んだ母は、照れ笑いを浮かべながら俺を見た。


「あはは、いやーあれだよねぇ・・・

 たまに真面目に話すと、ついつい感情がさ、押さえられなくてさ♪」


 笑いながら話す母様に、少なからず敬愛の念を抱いていたりした。

 この人は他人じゃなくて家族なんだと・・・そんな取り留めも無いことを考えている。


「それじゃあ、お待ちかねの『スキル』について発表するね♪


 このスキル、占い師も初めて見るものだったみたいで

 正式名称は無いの!

 だから、後でレイジが好きな様に名前を付けていいからね♪」


 えーと、つまりそれは新種のユニークスキルなのか?・・・


「レイジのスキルは、ご想像通り、その情報処理能力に由来します

 どんな能力か詳しくは、自分で自分を研究してみてね♪

 占い師が投げちゃった☆


 しかし、その能力は恐らく

 人形遣いにとって、レイジの人生にとって宝となるでしょう

 

 まぁ、確実に歴代最高の人形遣いになれるわ!!

 それは保証出来る!!

 だって、私とダーリンの息子だもん!!!

 あと、魔糸の扱いに関しては既に私以上よ!!


 本来なら、私がパペットワークを教えるつもりだったのだけど・・・

 

 あんの、くっそ爺が出しゃばってくるから・・・」

 

 最後のフレーズは聞かなかったことにしようかな?

 何やら怒ってらっしゃるが・・・内容から察するに、俺がパペットワークを取得するのはまだ先になりそうだな・・・

 現在3歳、この一年を魔糸の技術向上の為に費やし、なかなかパペットワーク教えてくれないなぁー、と思ったら・・・


 涙を溜めてみる。

 困ったときの、子供マジックを発動する。


「かあ様、やくそくしたのに、魔糸を上手く使える様になったら、パペットワークおしえてくれるって、やくそくしたのに!!」

 

 いいえ、そんな約束はして無かったです。

 ただ、子供の我が儘は、大抵の嘘を現実に変える特殊補正が付きます。


 母様は困惑した表情を浮かべ、必死に俺をあやしてくれる・・・

 先程から敬愛の念を抱いているが、これとそれとは話が別だ・・・


 少なくとも母様は、俺に、


『なんでも教えて上げる』

 

 と、言ったのだ。

 教えてくれなければ嘘である。


 母様は、比較的簡単に折れた。


「解ったわ、レイジ!!


 これから、急遽、パペットワークの基礎授業を始めます!!

 あんの爺が、文句を言わない様に私がキッチリ教えるわ!!


 ・・・なにが、レイジは儂が教えた方が伸びる、っよ!!!

 私がレイジを一人前の人形遣いにして見せるわ!!!」


 母様は燃えていた・・・


 ちょっと、待ってて・・・と、言い残し、母は屋敷へとダッシュで戻り、


 十数分後・・・マネキン抱えて戻って来た、何だそれは?・・・


 因みに、母様が『手駒』とするマネキンは、全12体ある・・・

 それが、家の中を歩き回っているのだ。

 サヤカが夜、早く寝る様になった・・・


 俺の前にその一体を置く。


 そして、こう告げやがった。


「そのマネキン、アントワネットが、レイジの練習相手よ!!」


 つまり、これでパペットワークの練習をしろと?・・・

・・・文句を言うつもりは無い、本当に文句は無いのだが、最初の人形は、ポチみたいな縫いぐるみだと思ってた・・・ソレが、ちょっと不気味なマネキンとか・・・


 母様の趣味を疑うぜ・・・


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ