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とある貴族の人形遣い (仮)  作者: 涼坂 九羅
1章 転生と人形遣い
15/37

15話 モミモミされました

 デッカい関節人形に摘まれて寺へと戻る。

 もっと、乗り心地がいい人形を用意しろよな…


 サヤカさんは、マネキン達に抱きかかえられての移動だ。

 ちょっと前に一回起きたけど、悲鳴を上げてまた気絶した。

 サヤカさんも大変だ…


 寺では、母様がパラソル開いて優雅に寛いでいらしゃっる。

 アリサは、母様に紅茶を淹れている最中だった。


 俺の姿に声にならない悲鳴を上げ、母様を睨む。

 母様は涼しい顔でニコリと俺を出迎えた。


「流石、私のレイジ♪

 なかなかに手こずりましたわ!!


 さぁ、その柔肌を私にモミモミさせなさい!!!」


 巨大な関節人形は無情にも俺を母様の所へ下し、俺は母様にモミモミされた…


 もう、お婿に行けないわ…



 寺の中に入った瞬間、放心状態だった俺は板の間に突っ伏した。


 なにも、外でモミモミしなくていいじゃないか…

 これでも一応、二十歳なんだぞ?

 人並みに羞恥心あるんだぞ?

 あんな所や、こんな所をモミモミしやがって…


 世界が世界だったら、あんなことしたら親でも逮捕されてるよ!!!


「大丈夫ですかマスター?」


 アリサが心配そうに聞いて来る。


「なんで、なんで、助けてくれなかったんだよ!」


 つい、八つ当たりしてしまった…ゴメン、アリサ…

 しかし、アリサは至極当たり前に…


「負けたマスターが悪いのでは?」


 御尤もです…


「それに、

 マスターと奥様の勝負でしたし、

 修行の一環なら私が口出しすることは出来ません」


 まて、あれが修行の一環だと?

 ただ、遊んでいただけじゃないか!!


「いえ、あれは『パペットワーク』の…人形遣いとしての戦い方を学ぶのに適した修行でした」


 え?

 ただ、遊んでいただけじゃないのか?


 アリサは俺の前にゆっくりと正座し、口を開く。


「月村家の家訓に、『人形遣いは、影に潜む』という言葉があります

 これは、人形を操っている所を誰にも注目されないことが、一人前の人形遣いという意味です


 勿論、人形の種類や、スタイルに応じて例外も存在しますが…


 因みに、月村家の家訓は全てで53あります」


 月村家、家訓多すぎだろ…

 どんだけ書きまくったんだ?

 速く寝ましょう、とか書いてるんじゃ無いだろうな…


 それにしても、『影に潜む』か…


「はい、今回、逃げている最中に一度でも奥様を見かけましたか?」


 いや、見てないな…

 どうやって、俺達の居場所を特定したのか謎だ…


 …あの、マリオネットか?…


「人形遣いには、様々な情報収集方法があります

 奥様が何を用いたのかは定かではありませんが…


 後、もう1つ、マスターには家訓をお教え致します


 『人形遣いは、客を踊らせ、驚かす』です」


「どういう意味だ?」


「そのままの意味よ♪

 レーイジ!!!!」


 いきなり現れた母様に抱きつかれる。


 おい、コラ

 さっき散々、人のことをモミモミしまくったろうが!!


 なんでこんなにスキンシップ多いんだよ、

 母様、本当は何処の国の出身ですか?


「いい、レイジ?

 人形遣いは、只、人形を動かすだけじゃ駄目なの…

 楽しんで、楽しませる様に、楽しい劇を進めなければならないの♪」


 ?

 何のことだ?

 俺の頭に解る様に説明してくれ…


「それとね、人形を踊らせるだけじゃ駄目…

 客も踊らせてこそ、一人前の人形遣いよ!!」


 人形遣いの心得を説かれている…

 コレは聞いとくべきだ!

 メモは、メモは…


「レイジ…」


 ん?

 なんだ、この消え入る様な声は?

 サヤカさんの声の様だが、サヤカはこんな声だすだろうか?


「レイジ…助けて…」


 顔を上げると、母様が意地悪な笑みをしていた。


「いやねぇ、レイジが産まれて初めて連れて来たガールフレンドですもん♪

 私、頑張ちゃったわ♪」


 母様が手を向けた方向に居たのは。

 部屋の入り口に身を隠す、赤面したサヤカさんだった。


 母様、なにをしてくれたのだろう?


 母様はサヤカへと近付き、腕を引っ張り、俺に姿を露にさせる…


 こっ、コレは…サヤカさんがロリロリな服を着ているだとっ!!!

 何だそれは、フリフリの付いた衣装…そう、俺の世界で言う魔法少女が着てそうな衣装だった、魔女っ娘だああああ!!


 前にも言ったかもしれないが、サヤカは美少女だ・・・

 特に目が印象的な美少女だ・・・

 それが、それがコスプレしているだと・・・


 大きいお友達が寄って来るぞ!!


 それにしても、我が母よ・・・

 人形のセンスは最悪だが、服のセンスは良いじゃないか・・・

 萌えが解っていらっしゃる・・・


「やっぱりね、息子のガールフレンドには可愛い服着て貰いたいじゃない♪


・・・もしかしたら、娘になるかもしれないし・・・」


 最後、なにか呟きましたよね!?

 息子2歳の段階から、親が嫁探ししないで下さい!!


 サヤカは可愛いけど、息子だってコレから先、母様の知らない所で素敵な出会いの一つや二つ・・・


 ある・・・あるかも・・・しれないんだからな!!


 サヤカだって俺とそんなこと言われて嬉しい訳・・・


「お、お義母さま、そんなことは・・・」


 サヤカさん・・・なんで、俺の母のことを『おかあさま』と呼ぶ?

 しかも、多分、『お母様』じゃなくて『お義母様』だよね?


 えーと、うん、フラグ立てた覚えが無い・・・何が彼女を・・・


「お義母さま、安心して下さい、あたしがレイジを守ります」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「まぁ、頼もしいわね

 レイジのことをヨロシクね!!」


「はい!!!」


 守るって、・・・

 俺はどれだけヘタレに思われているのだろうか?

 あれか?

 俺は、母性本能くすぐるタイプだったのか?


「なにを今更言っているのですか?」


 アリサの言葉で止めを刺された気分だった・・・軌道修正しなければ・・・



「パペットワークを教える前に、

 レイジの為に、どうやって人形を動かすのかを教えて上げるわ!!」


 昨日は結局、寺に一泊した。

 疲れていたし丁度良かった、この寺も屋敷と同様に手入れが行き届いており、快適だ。

 まだ見ぬ、管理人さんに尊敬の念が消えないな・・・


 母様と俺は、魔法の勉強を寺の本堂で行っている、なんか凄く微妙な感じだが・・・


 母様が見せて来たのは、長くて蒼い糸の束であった・・・

 その糸は何故か、母様の手のひらから伸びている様だ・・・


「これのことを『魔糸』、『魔力糸』、『納豆の糸』とか言うわ!!」


 必死のボケだがスルーする。

 少し寂しそうな顔をしていたがスルーだ・・・

 本当だぜ?

 いちいち相手にしてたら疲れるからな・・・


「・・・この魔力糸を人形に付けることによって、パペットワークを始めることが出来るわ

 今日はまず、糸を紡ぐ作業から始めましょう♪」


 母様の説明に寄れば、人形遣いは、この糸が作れなければお話にならないらしい。


 だから、まぁ、必死に努力して作ろうかと思ったのだけど・・・


「簡単に、作れちゃったわね・・・

 ・・・流石、私のレイジだわ!!!」


 そう、簡単に作れちゃったのだ、しかも長いのが・・・

 試しに引っ張て見たが伸びる、伸びる・・・掃除機のコードみたいに伸びるな・・・


 なんか変な感じだ・・・

 某クモ人間になった気分だ・・・いや、ヤツは手首だったか・・・


「あんまり伸ばすと、魔力ギレを起こしちゃ・・・そうだわ、レイジは莫大な魔力量を持っているんだったわ、それに・・・」


 ん?

 なにやら、母様は何かを納得したようだ・・・


 そういや俺、チートな能力持ってるらしい(今まで実感無い)から、その影響で直に魔法を会得したのか!?

 だとしたら、やったぜ!!

 コレで魔法が使えるぜ!!


 今の所、人造糸製造機みたいな感じだが別に構わない、

 俺はコレから魔法を完璧に使いこなしてみせるのだからな!!


 


 




 

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