13話 鬼ごっこ
若干、少なめカモです・・・
父様、母様と遭遇した次の日
自室で目覚めたら、見知らぬ男とアリサが楽しそうに話をしていた。
なんか、凄い笑顔なんですけど。
・・・まさかの浮気か?・・・
いや、まぁ、付き合ってさえ居ないけどね・・・
これがアレですか?
男の醜い嫉妬というヤツですか?
今まで俺にだけ笑顔を向けていたアリサが、『何処の馬の骨』とも知れない男と、『楽しそうに』会話をしているだけで嫉妬ですか・・・
まったく、自分で言うのもなんだが小さい男だよまったく・・・
さて、俺は大人ですから
さっさと起きますかね・・・
・・・全然、気にしてないんだからね!・・・
「気にしてくれても良いと思いますが」
!?
いつの間にか笑顔のアリサが俺の横に立っていた、
部屋の入り口には男の姿もある、ニヤニヤした顔をこっちに向けんじゃねぇ!!
それにしても迂闊だった・・・
俺の心は筒抜けだったな、
恥ずかしい所を聞かれちまったぜ。
アリサは1つ咳をして、後ろの男を紹介してくれた。
派手なスーツをだらし無く着た、軽薄そうな男である。
「マスター、
こちらは、美夜子奥様の専属ドール、名を叢雲と言います
一応、私の兄妹の様なものです」
「おいおい、様なものは余計だろう?
俺達は正真正銘、兄妹なんだからさ」
叢雲と呼ばれた男は、へらへら笑ったかと思うと、
急に真面目な顔になり、入室の許可を俺に聞いて、俺の側までやって来た。
「お初にお目にかかります、ご紹介に預かりました、
美夜子様の専属ドールを勤める、叢雲シンヤと申す者です
本日は美夜子様のご指示で、レイジ様をお迎えに参じました」
・・・初めて、女性以外のドール見たな。
ポチは違うからな、キラー・パペットだったか・・・
本当にドールなのだろうか?
アリサのときも感じたが、人間と見分けがつかないな・・・
寝間着を着替えるため、外で待機させる。
その間、俺の着替えを準備するアリサが色々と教えてくれた。
「彼、叢雲は
『狙撃技能』と『自動照準機能』、『魔力探知機能』、などの狙撃能力においては私より優れたドールです」
えっ?
何それ?
何、そのなんとか機能って?
「狙撃技能は少し違いますが、『機能』とは人形遣い様が、私達人形に施す仕掛けのことです
私は大旦那様に、自動修復機能、魔力探知機能、自動照準機能、変形機能、武器内蔵機能、加速機能、などの戦闘に特化した機能を多く搭載されております
勿論、マスターが人形遣いとして学ばれた暁には
マスターのお好きな様に、改造して頂くことも可能です」
???
理解が追いつかん。
何、変形機能って?
アリサさん、巨大ロボにでもなるの?
加速機能って・・・
あれか?
某サイボーグみたいに加速するのか?
んーーーー、RPGでいう所のスキルの様なものなのか?
お好きな様に改造とか、際どいな・・・
つーことはアレか?
ポチの汚れが取れてなくなるのも『機能』ってヤツか?
「はい、私がポチを制作する際にデフォルトで付けた物です
彼は、自己改造機能も持っていますので、自分で勝手に改造したりしてます
武器内蔵機能なんて最初は入れていなかったのですが・・・」
身体からナイフ出すからな、アイツ・・・
最初に賊を殺したとき、賊から奪った物だ。
『男の戦利品だぜ』
と自慢していたな・・・
綺麗になる方の名前はアレか?
自動洗浄機能とかか?
「流石ですマスター、よくご存知で」
当ってた。
■
屋敷の近くの山道。
目の前を叢雲が歩く、
その後ろに俺、サヤカ、アリサと続く。
サヤカは、どうしても来たいと言ったので連れて来たのだ
叢雲はニヤニヤ笑う
「それにしてもレイジ様も罪なお人だ、
その歳で女を二人も侍らせるとは・・・、将来有望ですな」
サヤカは意味が分からないと首を傾げている
俺はそれどころでは無い、産まれて初めての山道に必死だ
それに反応したのはアリサだった。
「叢雲、私は女ですか? 人形ですか?」
意味が分からない、何言っているんだアリサは?
まぁ、それどころではないのだが・・・おっと、躓いた、危ない危ない。
アリサは俺を支えながら叢雲を睨む・・・
「いや、どっちでも良いぜ俺は
別に愛の形なんざ千差万別だろうよ・・・
兄妹の中で気にしているのはお前だけだぞ?
勿論、俺は気にしていない・・・
気にしていないが、負けた。
やっぱり、肉の付いた人間の方が強いからな。
アリサが気にしているのは、俺とは逆パターンだろうが・・・」
叢雲は訳知り顔でべらべらと喋る。
アリサが不快感を露にしたので、口を閉じるが常時ニヤニヤしていたな・・・
道を進むと、屋敷の造りに似た、木造の建物・・・つーか、寺だな、寺があった。
寺の前には一人の少女、もとい、母が仁王立ちして居た。
「くくく、愛しの息子よ、良く来たな!!!
途中の道で転んで泣いてないか、心配で心配で心配だったわ!!!」
仁王立ちで言うことじゃねぇーな・・・
「かあ様、今日はよろしくおねがいします」
最大限の可愛さモード発動。
自分で言うのもアレだが、恥ずかしくて死にそうだ・・・
アリサがまた噴いた、
サヤカも苦笑い、
叢雲は俺の素を一瞬で見抜いていやがったから、こっちも噴き出した。
お前等、3人で俺を殺すつもりなのか?
恥ずかしくて死にそう・・・
まぁ、そんなことは目の前の母には関係ないのだけど。
「まずは何して遊ぼうか!
やっぱり、隠れんぼ?
それとも、鬼ごっこ?
レイジが遊びたいことならなーんでもしてあげる♪」
・・・おい、話が違わないか?
俺の修行は?
魔法取得編は?
修行パートは?
俺の魔法使いとしての記念すべき一歩は?
なんだよ遊びって!!!
俺が困惑の表情を浮かべると、何を勘違いしたのか、母様は言い出した
「そうよね、
レイジはずーと家の中に居たのだもの
遊びのルールなんて知らないわよね・・・
なら、私が教えてあげる、まずは鬼ごっこね!!」
いや、まぁ、鬼ごっこも、隠れんぼも知ってるけどね!!
そんな俺の心の声はスルーですよ・・・
まぁ、普通、心の声なんて聞こえませんが・・・
「・・・じゃあ、ルールをいうね♪
簡単だよ、10分間、私と私の『手駒』から逃げ切れたらレイジの勝ち
捕まったら、レイジは私にモミモミされるのだ!!」
ちょっとまて!!
『手駒』ってなんだ、『手駒』って?!
鬼ごっこに、そんな単語出て来たっけ?
あれですか、異世界ルールですか・・・
「じゃあ、100数える間に逃げるんだよぉ
範囲はこの森の中だけ、
勿論、そこの叢雲は使わないわ!!
それじゃあ、・・・1・2・」
やっべ、数え始めやがった
モミモミされるのは嫌だな・・・
仕方ない逃げるか・・・
俺が走り出すと、
サヤカは付いて来たが、
何故か、アリサは付いて来ない。
「叢雲が不参加なら、私もここに残ります
すいません、マスター」
申し訳なさそうに言うアリサの向こうで、母様が40〜50を飛ばしやがった
何が、39・・・50っだ!!
良い歳した大人が間違えるんじゃねぇ
もう迷ってる暇はないな
俺とサヤカは森の中へと足を踏み居れた・・・