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とある貴族の人形遣い (仮)  作者: 涼坂 九羅
1章 転生と人形遣い
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1話 どうやら転生したらしい

 初めましての方も、お久しぶりの方も、他の作品で常連な読者様も、

 また、始めました涼坂です。


 あれです、作者4作目です。

 

 もう、一杯書くことに決めました

 書けると思ったら書いてみることにします!!


 人形遣いは、昔から暖めて来た作品です

 皆様に楽しんで読んで頂けたら幸いです


 それでは本編をどうぞお楽しみ下さい・・・


 

 突然ながら俺は死ぬらしい…


 いやー、壮絶だったね、

 本日発売のゲームを買いに、我が家周辺では一番デカいショッピングモールに出向いたのだけど、

 まさか、そこに爆弾があるとか思って無いじゃん?


 一瞬、爆発音が響いたかと思うと、天井が落ちてきた。

 そこで死なずに生き残れた俺を誰か褒めて欲しい。

 俺が死んだのはソコではないからな。


 運良く生き延びた俺は、他の生存者を探した。

 日曜の昼間だったからな、多くの人が行き交っていたのだ、多くの人が瓦礫の下敷きになっていると思った。

 普段オタクで運動不足な俺は、慣れない正義感を振り絞って頑張ったのだ、褒めて欲しい…


 たしかに人は大勢いた。

 しかし、みんな…

 見た感じ死んでいる者、死んではいないが助かりそうも無い者、大きな瓦礫の下敷きになり俺では到底助けれない者…

 そんな方々が多かった…


 これは勘だが、爆弾があったのは俺の居た場所の近くだったのかもしれない。

 爆発音も結構近かったしな。

 生き残れた俺は運が良かったのだろう…


 次第に心は折れて行った。

 某ハザードなゲームを溺愛している俺は、人並み以上にグロには耐性が有ると思っていたが・・・

 

 実際、爆弾で人が死んでいる現場に直面し、自分の考えの甘さを思い知った。

 画像ではない、実際に血が流れ、血の匂いが充満しているのだ、当たり前だが現実だ・・・

 

 吐いたね、

 何度も吐いた、

 遺体の中には原形止めて無いのも有ったしね・・・


 そんな中、一人の少女を見つけた、生きている、目立った外傷も無い。

 嬉しかったよ、本当に嬉しかった、安い正義感だけで行動していた俺にとって、その娘をここで見つけれたことは本当に嬉しかった。

 だから、彼女に走って近付き、


「大丈夫かい、怪我は無いかい?」


 と、聞いた。

 そしたら彼女は言うんだよ。


「なんだ、まだ生き残りがいたのですか」


 と・・・

 そして、無言でナイフを取り出し、俺を突き刺したんだ・・・


 即死は出来なかった、

 少女はナイフを深く差し込むと、それ以上は斬りつけず、何処かに歩いて行った。

 今思うと死神の様な娘だと思う・・・

 

 真っ黒な長い髪に、黒いドレスの様な服…

 全身黒尽くめ、ゴスロリって感じでも無かった…

 明らかにこの場には不釣り合いな格好だろう、うん…

 死神って、単語がよく似合う…


 死ねなかった俺はどうしたかって?

 まぁ、アレだ、死ななかったといっても腹部をナイフで深々とだ・・・

 常人に・・・、平均的なオタが耐えうる痛みではないよなぁ・・・


 仰向けに寝転んださ、

 なんかその方が楽な気がしてな、

 そしたら天井が崩れて来やがるわけさ・・・


 やっと、即死かな?

 とか、思ったさ、

 だけどな人間、楽には死ねないのな・・・


 瓦礫に色々潰されて、命も空前の灯火だったけど、俺は生きてたんだ…

 瓦礫の向こう側には、満月が輝いていた…

 何処かで火の手が上がっているらしい、暑いな。


 光り輝く満月だけが俺を笑ってくれていた・・・


 意識がそこで途切れた。

 

 グッバイ、この世・・・



 訂正、

 俺は生きているのかもしれない。


 だって意識が有るんだもん。

 手足が思う様に動かないし、なんか視界がぼやけるけど、あんな大怪我をしたのだ仕方ないだろう。

 五体満足で生還出来る程、俺はあの状態を楽観視してはいない。

 生きているだけラッキーだ。


 だけど、おかしいな…

 周りから人の声が聞こえて来るけど、何言ってんのかサッパリ解らん。

 もしかして耳にも何かしらの怪我を負ったのかもしれんな…


 もし、アレだ、俺がマトモに機能させられるのが思考のみだとしたら…

 おい、だるま状態より酷い状態になっているのではないか!?

 恐ろしい、自分の今の状態を知るのが恐ろしい…


 俺はそんな風に塞ぎ込んでしまった。

 そんな状態の俺を抱きかかえて、尻を何度も叩かれた。

 泣いたね、18で人生詰んで、しかも尻叩かれる恥ずかしめ、泣くしか無い。

 でも、おかしいとも思った…

 18歳、平均身長、若干細めの俺を誰が抱きかかえているの有ろう?

 しかも何故、尻を叩く?

 おかしいとは思ったが、恥ずかしめを受けているという感情が勝ったため塞ぎ込むことにする…

 大けがをしたからか、睡魔が襲って来た……



 俺が現状を把握したのは、あれから随分と後のことだ…


 俺は転生したらしい、しかも記憶引き継ぎで…

 いやっほー、やったぜ、やっちまったぜ、記憶引き継ぎチートで強くてニューゲームだぜ!!


 自分が赤ちゃんであることは、目のピントが少しずつ合って来た頃に発覚した。

 それまでにもミルクとか飲まされて来たり、オムツとかつけられて、もしやとは思っていたのだけど…

 

 それも全て、ミルクは固形物が食べられない俺に用意された流動食、オムツは大怪我をしているので自分の意思で排泄出来ないから付けられている、と思っていた…

 実際、尿も便も俺の意思に反して出やがる…

 

 この頃になると、耳が悪いのではなく、周りが喋っているのが日本語ではないことを理解していたが…

 日本では治療出来ない大怪我だったため、外国の大きな病院に居るのだと思っていた。


 ピントが合って始めて見たのは、俺にミルクを与えるメイド服のお姉さんだった。

 美人さんだが、顔付は日本人のそれだ、唯一違うのは瞳の色、彼女はルビーの様な赤だった…

 変だと思った、

 あぁ、アレか東洋系ってやつか…

 

 勝手に自己理解しておいた、俺はソコで初めて自分の手足を目撃し、

 自分が『赤ちゃん』であることを知った。


 なにこの状態・・・


 また、そこで睡魔が襲って来た……



 俺が生まれ変わって大分経った、

 目のピントも大分合って来た、少しだけ遠くに有る物でも見ることが出来る。

 そしてこの頃になると、強くてニューゲームは無理だと思い知らされていた。

 俺が転生したのは異世界らしいからだ・・・

 

 それはメイドさんが扱う『魔法』じみたものに由来する…


 メイドさんは大勢いた。

 その中の一人、俺にミルクを飲ませてくれていたメイドさんが、俺を遊ばせる為に、糸も何も使っていないのに人形を動かしたのだ…

 

 魔法である。


 動かされた、クマ(?)の人形はコミカルな踊りを披露してくれる。

 しかし俺は驚きの方が勝っているため声が出ない。


 そんな俺の態度に、メイドとしてのプライドを傷つけられたからだろうか?

 メイドさんは意地になって人形を動かしまくった、幾つもの人形が動く様はまるで玩具の行進だ…

 俺は玩具の行進より、メイドさんの必死さに笑顔が出たのだけど…


 メイドさんはソレに大層驚いていらしゃる。

 ああそうか、俺、生まれ変わって初めて笑ったかもな・・・


 メイドさんが他のメイドさんを連れて来て、また人形に同じ踊りをさせる。


 言葉が通じなくても、やりたいことは解る、解るが…

 そう、何度も笑わネェよ…


 メイドさんは、連れて来たメイドさんに『ちゃんと仕事しなさい』的なこと言われてショックを受けていた…


 悪いことしたな…ゴメン…



 1年くらい経ったかな。

 このくらいになると、喋れないまでも周りの言葉が解る様になって来たし、視界も大分広まった…


 魔法がある時点で異世界であることは確定事項だったが、この俺が産まれた場所は日本に近い文化だ。

 メイドさんは全員、東洋系の顔付でいらっしゃるし(何故か皆さんお美しい)。

 俺の居る建物も、なんか懐かしさを感じるレトロな雰囲気だ…


 メイドさんに抱っこしてもらっている時に、窓から外を見ることが出来た。


 まぁ、あれだ。

 一言で言うなら『大正デモクラシー』?

 そんな単語が出て来る風景、教科書に載ってた単語だけど、ソコに乗ってた当時の風景に酷似している。


 しかし、微妙に違うのは外を行き交う人の中に、尻尾と獣耳をもった亜人さんや、翼を生やした人、下半身馬の人、などファンタジーな人種が混ざっていることか…


 なにかと世話を焼いてくれるメイドさんの名前も判明した。


『カゲヤマ アリサ』


 言語は違うが日本語に直したらこんな感じ、名字と名前が日本式だ。

 きっと漢字とかもあるから(ソレっぽいのを見たことある)、どういう字を書くのかは知らんが…


 俺の名前も判明した。


『ツキムラ レイジ』


 生前の名前からしたら、なかなかカッコイイ名前に転生したものだ。

 転生先で、変な名前だったりしたら嫌だしな。


 しかしながら俺は、この世界での親には一度も会っていない、

 可愛い息子が産まれたのに何しているのだか…


 そういえば、生前の家族は元気だろうか?


 父と母は、絶賛世界一周旅行中のため俺の死を知るのも遅くなるかもしれんな…

 

 先立つ不孝をお許し下さい。


 残りは、兄と姉と妹だが…


 姉は大丈夫だ、あの人常識人だしな。

 俺が居なくなって、誰があの人の愚痴を聞くのか解らんが大丈夫だろう、一応社会人だしな…


 問題は兄だ、

 アイツは駄目だ、いつか絶対妹に手を出す、極度のシスコンだ、

 今までは俺が瀬戸際で阻止してきたが、今はソレが無い、妹の貞操が不安だ…


 ソレが無ければ妹は大丈夫だろう。

 俺の妹とは思えない美少女だ。

 今年中学2年になるにしては、若干、純真無垢過ぎる気もするが…

 妹はソレでいいだろう、うん。


 学校の成績も一番だし、俺の死にも長兄の魔の手にも負けず、真人間に育って欲しいな…


 おっと、睡魔さんがお迎えに来たぜ、

 俺は睡魔さんに身を預けることにする、寝る子は育つそうだしな……


8月26日:改

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