出会い
透和との出会いは、大学の入学式だった。
スーツに着られるという表現がピッタリな、まだまだ初々しい新入生で溢れかえるホールの中。
彼だけが異質だった。
ダークグリーンのひと目で上質と分かるようなスーツを着こなして、人が一際多い一角の中心に立っていた。
彼の周りには、メイクばっちりのギャルっぽい女子たちが群がってる。
そんな一角を他の生徒たち同様に見やりながら、住む世界が違う人ってこういう人を言うんだろうな、なんて思った。
入学して一ヶ月。
大学内では、どこもかしこも透和一色になっていた。
特に新入生である私たちは、どこに行っても透和のことを耳にする。
大学の講義はまだ高校の復習とか、レクリエーションのような授業ばかりで。
新入生である私たちは、暇を持て余していた。
だから、話題に事欠かない透和の話がどこでも飛び交うようになったんだと思う。
そんなに噂に敏感な方じゃない私でも、透和の名前を覚えるくらい、毎日透和の名前を耳にした。
彼はまさしく、大学内のアイドルになっていた。
まぁ、噂の内容は良い内容ばかりじゃなかったし、漏れ聞く噂からは素行の悪さが窺えたけど。
それでも彼が人気があることに変わりはなかった。
彼は理系学部の学生で、文系学部の学生である私とは普段過ごす校舎さえも違って。
接点らしい接点もなかったから。
人気がありすぎるのも大変だろうな、って他人事だった。
他人事、だったんだ。