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翌朝
短いです。
気付けば、朝になっていた。
いつの間にか、透和はいなくて。
私は体を綺麗にされて、ベッドの上に寝かされていた。
心が麻痺してしまったのか。
現実逃避なのか。
私は軋む体を動かして、何時も通りに部屋を出た。
今日は朝イチから講義がある。
大学内に借りている自分用のロッカーから、講義に必要な参考書を取り出していると、
「おはよ」
声をかけられた。
声のした方を見れば、少し離れた位置で私と同じようにロッカーを開けている女子学生。
大学に入学してから仲良くなった小夏だ。
「おはよう、小夏」
「朝から講義とかタルいよねー」
近付きながら言われた言葉に、苦笑する。
「どうせ講義中寝てるでしょ」
「だってあの教授の話し方がさぁ……」
くだらないやり取り。
大した内容のない会話。
そんな、いつも通りの日常の一コマ。
昨日あんなことがあったのが、嘘みたい。
そう思いそうになってしまうけど。
嘘ではない証拠に、会話しながら体を動かす度に鈍い痛みが走った。