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真相(透和視点)

ネタバレが嫌いな方は、奈夕サイドの本編が終了した後に透和サイド(透和視点、とある友人視点)を読むことをお勧めします。



――「付き合うことは、大学では内緒にしたいの」



付き合うことになった日、奈夕が言った。






俺のファンからのイジメが怖い。

そう言われては、頷かないわけにはいかなかった。

だから、頷いたけど。

不満だった。

“内緒にする”。

そう言った、奈夕の行動は徹底してた。

大学ですれ違っても、目も合わさない。

外へ二人で出かけようとしない。

プレゼントも欲しがらない。

二人以外で会おうとしない。

ダチに会わそうとしても断られる。

何から何まで徹底してた。

徹底して、俺との関係を周りに隠してた。

元々、俺は隠したいわけじゃなかったから。

そんな奈夕の行動に、俺の不満は日増しに大きくなっていった。




◇◇◇◇◇




昔馴染み数人で、飲んでた時だった。



酒が入ってたせいもあったんだろう。

会ってた相手が男ばかりで、さらには殆どが大学外での奴らばかりだったのもあって。

大学外の奴らにまで内緒にする必要はないんだし、と奈夕のことを奴らに話した。

まぁ、話してれば当然付き合ってることで出てきた不満に行き当たるわけで。




――「それってさ、好かれてないんじゃね?」



俺の愚痴を聞いてたダチの一人が言った。

その一言を皮切りに、近くで聞いてた他の奴らも口々に好き勝手言い始めた。




――「はぁ?何言ってんだよ。さすがに、それはねぇだろ」

――「そうっすよ。トウワさんを好きにならない女なんているわけないっす!」

――「えー、でもさ、外では他人の振りで、オレらにも会うの拒否ってんだろ?聞いてる限り、ただの遊びとか、そんな感じじゃね?」

――「すっげー恥ずかしがり屋なんだって。きっと。なぁ?」

――「……」

――「……トウワ?」




返事が、出来なかった。

否定したいのに、言葉が出なかった。




――「恥ずかしがり屋ってよりはさ、トウワ、遊ばれてんじゃねぇの?」

――「そこまでして隠そうとするなんて、他にも男がいるか、本命でもいるかじゃね?」

――「いくらイジメられるのが嫌だからって言ってもさー、そこまで徹底するのは変だって」




ダチたちの話を聞くうちに。

俺の中の不満が、不安に変わっていった。

そうなのか?

誰か他に本命がいるから、だから奈夕は――。



そんなわけない、と言えるほど。

俺は奈夕を知らなかった。




――「……なら、試してみようぜ?」



黙り込んだ俺を見て、ダチの一人が言った。




――「ぜってー大丈夫だって!」




俺だってそう、信じたかった。



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