喧嘩は買うもの、そうでしょう。
スミマセン急いで書いたのでしばらくしたら大幅な修正をします。
謁見の間の扉の前に立つと、緊張で一瞬震える。
扉の向こうから、得体のしれない気が発せられている。
――――怖い。
直感でそう思った。
まるで全てを……世界を敵に回したような威圧感。
これが……世界王、なのか。
ルーノアは自らの足の震えを抑えながら、扉の横に立つサクレンに頷く。
「では、開けますよ」
サクレンは優雅なしぐさでその重々しい扉を開いたのだった。
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――――時は数時間前に遡る。
大国ベネジルトの王の住む城、ミナチール城へついたルーノアはけがの治療をし、これから生活することとなる城の中を少しだけメイドに案内してもらった後、拉致られた。
いや、拉致、というには少しだけ語弊があるのかもしれない。
正確には、これから自らの部屋になる自室(これまた豪華絢爛なシャンデリアなどが吊るされているうえかなりの広さだ)へ行き、持ってきた自分の荷物の整理をした後、少し疲れたためベットに横になってうとうとし始めたときだった。
「「失礼しますっ!!!」」
見事に訓練された声音でぴたりと合ったそれは、そういったかと思うと一瞬で彼女の部屋に侵入した。
「?!」
5人のメイドはベットでうとうとしていたルーノアを取り囲むと、ぎらぎらと実に楽しそうな目つきで
「さぁ、ルーノア様……お召し物をお替えになるお時間ですよ」
と。
それだけ言い、どこにそんな力があるのかは不明だとして、一瞬で彼女を担ぎ上げ、まだ状況把握のできていない彼女を、有無を言わせない迫力でロッカールームまで連れて行くと目にもとまらぬ速さでドレスを着せては脱がし、を繰り返した。
「……………………」
後日彼女はこう語ったという。
この城のメイドは実は人外のなのかなのではないか、と。
しばらく呆然としていた彼女は意識をなんとか取戻し、気付いた時には、もう着替えは終わっており、髪形や化粧なども整えられていた。
「やはり私達が見立てたとおり!ルーノア様には紫がお似合いですわ!!」
それまでの気迫はどこへやら。
既にルーノアの知る『普通の』メイドに戻っていた。
「……は、はぁ……。えと……ありがとうございます……?」
疑問形だった。
まぁ、仕方ないだろう。
それからほどなくして、サクレンが迎えに来た。
あまりの彼女の変貌に内心驚いていた彼ではあったが流石に顔には出さなかったようだ。
まだ少し状況理解に苦しんでいた彼女にサクレンが
「王がお呼びです」
と、そう一言伝えた。
「ご案内いたします、こちらへどうぞ」
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――――流石と言うべきか。
床は透き通るくらい白い大理石で造られており、その上に敷かれた赤い絨毯は、ある意味一つの芸術作品として成り立ちそうなほど美しい金の刺繍が両サイドに編みこまれていた。
謁見の間。
ここまで広いものなのか。
「面を上げよ」
世界王の声がこの広い部屋に響く。
「………………」
そっと顔を上げた。
そして、王の顔を見る。
「?!」
50くらいのおっさんじゃない?!
え、イメージと全く違うんですが!!
世界王っていうくらいだし、もっと貫禄があるのかとっ!!
というか私と同じくらい?!
え、この人が世界王??なんかの間違いじゃ――――っ!
混乱したのが顔に出たのか世界王――――アルリードがくすりと笑った。
「私の顔に何かついているか?」
彼は、アルリードは玉座から立ち上がると彼女のもとへゆっくりと足を進める。
「い、いえ、その――――」
混乱していて何をどうすればいいのか、全く分からなくなってきている。
「ようこそ、我が城へ」
彼はそういうと実に優雅な仕草で綺麗に梳かされたルーノアの髪を一房手に取り、それに口づけた。
「っ!!」
「どうした顔が真っ赤だぞ?」
アルリードが意地悪く笑う。
「……んの変態大王っ!!」
「は」
錯乱した彼女が発した第一声はそれだった。
「なにをどうしたらいきなり人の髪にき、き、キスするっていう思考に到達するんだ!年頃の女なめてんのかっ!!男性恐怖症とかになったらどうすんだ!!!」
数歩後ずさり、びしぃっ、と効果音が付きそうなほど彼を指さす。
「世界王だからって好きなことしているといつか牢屋にぶち込まれるぞ!!おもに私に!!!」
彼女はそう言い切るとはぁ、はぁ、と肩で息をする。
唖然とした顔で彼女を見ていた世界王は、しかし、急に肩が震え始めたかと思うと唐突に笑い出した。
「っ、はははは!!!男性恐怖症!!面白いな!!!!やはりお前を選んで正解だった!っはははははは!!あぁー……まさか、世界王になってから誰かに牢屋にぶち込まれるなど言われるとは俺も思わなかった!!!」
口調が素になっていたが錯乱していたルーノアは気付かなかった。
「なっ、いや、人としてだな……」
なんとか正気に戻った彼女だったがまだ怒りは収まっていないようだった。
「あぁ、悪かった。では改めて名乗ろうではないか。私の名はアルリード……アルリード・K・ミラルノ一世だ。ちなみに年は17。これでよいか?」
彼はそういうとルーノアに視線を向ける。
あまりにもあっさりとした彼の対応に毒気を抜かれたルーノアは一瞬腑に落ちない顔をしたが、すぐに名乗る。
「あ、あぁ。……私はルーノア。ルノーア・ソノスタジア、16だ…………じゃなくて、16です」
やっと自分の立場を思い出し、敬語に言い換える。
「ふむ、ではルーノア、これからよろしく頼む。私のことはアルと呼んでくれて構わない」
「…………はぁ」
「では今日の晩餐、よろしく頼む」
彼はそういうとくるりと背を向け玉座に戻る。
これが彼との初めての対話だった。
やっとギャグが入ってきた…かな((
どこかで笑っていただければ嬉しいです////((