第一幕
はつさくひんです故に温かい目で見守ってくだされ。
俺たちの住む某都市から電車で約一時間と四十五分、ようやく京都に着いた。いや、帰ってきたと言うべきかもしれない。それほどまでに、京都という場所は俺たちにとって思い出深い場所だ。立ち並ぶ古風の家、歴史を感じさせる寺社、そしてなによりも、千年王都と呼ばれるほどの、長い歴史が一番好きな点である。
いきなりですが、ここで全員さらっと自己紹介。俺の名前は坂下和一ただいま高校一年生、運動はそこそこ、勉強もそこそこだが、歴史、特に日本史の知識は大人も顔負け、と自負しております。好きなもの=古いもの。次は今俺の隣に座って熟睡している眼鏡をかけた奴。本名土田修人俺の無二の親友にして、都内でもトップクラスの高校に通う秀才君。しかも剣道部で運動もできる。一見完璧に見えるが、常識の無さと天然さも都内でトップクラス。まぁそんなところに俺も引かれたのだが。好きなものは役に立ちそうな物。何故「役に立つ」でなく「役に立ちそうな」物なのかは俺にも分からない。最後に一番窓側に座って景色を眺めながら、しきりに喋っている女、本名津田香夏子俗に言うオタク、に分類される人間。絵が上手い、漫画好き、ゲーム好き、といったオタクの条件をすべて兼ね備えている。なのに性格はさばさばしているから不思議でしょうがない。よく顔だけでは人は判断できない、と言うが、彼女はその象徴といってもよい。好きなものはいろいろ。といったところ。
俺たち三人は小学校からの付き合いで高校になってからも仲がいい。今回の旅行も小学校時代の思い出に浸ろうという、そういった想いからでもあった。
「カズ!」津田の一言で我に帰る俺。「ん?どうした?」「もう京都駅付いたよ。」おっとっと急がなきゃ、と急いで外に飛び出すおれと津田。「よーし全員いるな。」と辺りを見渡す。・・・・・・・・・・・・あれ?二人だけだったっけ?・・・・・・・・・・なんか忘れているような・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!「土田忘れたーーーーーーーーーーーーーー!」二人同時にハモった瞬間、電車の中から転がり落ちるように出てきた人が約一名。「まったく・・・出るとき起こせって言ったじゃん。」ほっとため息を付く二人。
こうして始まった修学旅行。はてさてどうなることやら。