日常
翌日。
大学のキャンパスは、いつも通りだった。
講義棟前のベンチ。
「……昨日さ」
このみがストローを噛む。
「ほんとにあったんだよね?」
「三万入ってる時点で現実」
静太がスマホをひらひらさせる。
海記は苦笑する。
「VRゲームで現金報酬って、倫理観どうなってんだろうな」
夢菜はアイスコーヒーを一口飲む。
「実験型かもしれない」
「やめろ怖い」
風が吹く。
普通の午後。
昨日、館で化け物と戦ったとは思えない。
午前の講義。
海記はノートを取る。
いつもよりペンが速い。
頭の回転が少しだけいい気がする。
――気のせいか。
隣で静太が、教授の話にすぐ反応する。
「そこ、論理飛んでません?」
教授が少し詰まる。
「……あれ?」
海記が小声で言う。
「お前、そんなに鋭かったっけ」
「失礼だな」
静太は笑う。
「昨日の経験値じゃね?」
「ゲームじゃないから」
午後。
このみが階段を上がる。
いつもより一段飛ばしで。
「あれ」
息が上がらない。
昨日の恐怖とは別に、身体が妙に軽い。
でも。
頭の奥に、あの影がよぎる。
「……」
楽しかった、とは言えない。
でも。
最後に核を壊した瞬間。
あの連携。
少しだけ。
アドレナリンの残り香。
講義後。
大学のカフェテラスに集まっている
テーブルの上には、各自のスマホ。
Next Scenario
参加受付中
開始まで 5 days 18:42:10
「減ってるなあ」
静太がにやりとする。
小さな注意文。
※時間経過によりシナリオ難易度が上昇します
※参加は任意です
「難易度上がるだけなら、焦らなくてもよくない?」
このみが言う。
「でもどうせやるなら、楽なうちがいい」
夢菜が静かに言う。
「昨日、楽しかった?」
沈黙。
海記が、少しだけ笑う。
「……まあ、嫌いじゃなかった」
静太は即答。
「普通に面白かった」
三人の視線がこのみに向く。
「私は怖かった」
間。
「……でも」
小さく続ける。
「ちゃんと攻略できるのは、ちょっとだけ悔しい」
静太が吹き出す。
「それは参加フラグだな」
カウントダウンが減る。
6 days 0:59:48




