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Deep Archive Online  作者: しゃみぃ
3/13

チュートリアル①

「一本道確定か」


 静太が小さく呟く。


 このみが無理やり笑う。


「チュートリアルだよね? ね?」


 誰も保証はしない。


 海記は扉に手をかけた。


 重い。


 だが、押せば開く。


 


 ――ギィィ……


 


 重い扉を押し開けると、乾いた空気が流れ出た。


 館の中は、外よりも暗い。


 天井は高く、シャンデリアは崩れ落ちている。

 赤い絨毯は黒ずみ、踏むたびに埃が舞う。


「うわ……匂いまである」


 このみが鼻を押さえる。


 腐った木と、湿った鉄の匂い。


 そのとき。


 それぞれの手に、違和感が走る。


 重み。


 感触。


 海記の右手には、錆びた短剣。


 このみの手には、木製バット。


 静太は小型ナイフを指で確かめる。


 夢菜の手には懐中電灯。


「……いつの間に」


「シナリオ開始時の自動支給だな」


 静太が淡々と言う。


「チュートリアル用の初期装備。選択権はなし、役割固定……親切設計」


「戦う前提だけどな」


 海記が苦笑する。


 その瞬間。


 視界の端に、半透明のパネルが浮かぶ。


目的:地下室にある呪物を破壊せよ

制限時間:なし

推奨:探索


「地下室な」


 静太が周囲を見回す。


 階段は左右に分かれている。

 正面には長い廊下。


 夢菜がゆっくりと呟く。


「音がする」


 耳を澄ます。


 コツ、コツ、と。


 どこかで足音。


「二手に分かれるのはなし。ホラーだぞ」


「賛成!」


 右側の廊下へ進む。


 壁には肖像画が並んでいる。


 目が、やけに立体的だ。


 静太が一枚に近づく。


 視界に小さなウィンドウ。


観察判定

1D100 → 43

成功


 静太が息を吐く。


「……塗料じゃない。本物の目玉を埋め込んでる」


「やめろ」


 このみが後退る。


 海記の胸に、じわりと重さ。


SAN微減:−1


 数値は出ない。


 だが確実に、削られている。


 廊下の奥に扉。


 取っ手は錆びついている。


 海記が手をかけた瞬間。


開錠判定

1D100 → 78

失敗


 ガチャ。


 開かない。


「くそ」


 静太が横から触れる。


再判定

1D100 → 12

成功


 鈍い音とともに扉が開いた。


 中は書斎。


 本棚。

 机。

 ランプ。


 そして机の上に、古びた日記。


「いかにも」


 このみが言う。


 海記が手を伸ばす。


 その瞬間。


 背後で、足音。


 さっきより近い。


 四人同時に振り返る。


 廊下の奥。


 暗闇の中に、


 “立っている影”。


 顔がない。


 ただ、輪郭だけ。


 ゆっくりと、こちらに向かって歩いてくる。


 音はない。


 絨毯に足跡だけが残る。


 視界に赤いノイズ。


未確認存在を視認

SANチェック判定準備


 このみの呼吸が荒くなる。


「な、なにあれ」


 夢菜は、じっと見ている。


 静太が呟く。


「来るぞ……」


 影が、三メートル手前で止まった。


 そして。


 首が、ありえない方向に折れ曲がった。


SANチェック

1D100 ロール

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