第2章
21:00。
暗転。
次の瞬間、白。
境界のない空間。
「……今回は待機か」
海記が低く言う。
中央の台座に光が浮かぶ。
▶ 装備選択
▶ 制限時間:5分
「お、ちゃんと準備させてくれるんだ」
静太が一番に近づく。
武装一覧が展開される。
【近接】
・サバイバルナイフ
・警棒
・金属バット
【補助】
・高照度ライト
・音波センサー
・簡易救急キット
【特殊(1枠)】
・水中呼吸マスク
・防水電撃装置
「水中かよ……」
このみが露骨に嫌そうな顔をする。
「閉鎖+水は精神削りに来てるな」
静太は楽しそうだ。
「役割分けるぞ」
海記が言う。
「前回みたいに突発でやると崩れる」
「はいはい指揮官」
「まず索敵」
「俺な」
静太が即答する。
警棒を選び、続けて音波センサー。
「近接しつつ反応取る。合理的」
「自分で言うな」
「補助は?」
夢菜が一歩前に出る。
高照度ライトを選ぶ。
「暗所対応」
「前回も補助だったな」
「後方が安定」
淡々。
このみは少し迷う。
「……私、バット」
「安定の物理」
「うるさい。近づかないで倒す」
強がり半分、本音半分。
最後に海記。
「ナイフと救急」
「バランス型」
「保険は必要だろ」
残る特殊枠。
四人の視線が自然とそこに集まる。
水中呼吸マスク。
一瞬だけ、静かになる。
「……誰持つ」
このみは目を逸らす。
静太は首を傾げる。
「潜る前提なら必須だな」
そのとき。
夢菜が、迷わず手を伸ばす。
「私」
「即決?」
「必要になる」
言い切る。
「なんで分かる」
夢菜は一瞬、白い壁の奥を見る。
ほんのわずか、揺らぎ。
「分からない」
それだけ。
選択が確定する。
光が収束。
夢菜の指先だけが、少し冷たい。
誰も気づかない。
カウント。
3
2
1
白が崩れる。
落下感。
そして。
青。
深夜の無人水族館。
巨大水槽の向こうで、
ゆっくりと影が横切った。
このみが小さく呟く。
「……やっぱやめたい」
でも足は動かない。
夢菜だけが、
一瞬だけ、
懐かしさに似た何かを感じて、
それを押し込めた。




