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第5話 初日ですけど?

「まさに人間模様。麗しき美少女達が奏でる感情のフォルテシモと表現しましょうか。作画、主題歌、台詞、ヒロインのビジュアル。全てが理想的でした。心が滝に打たれたという表現が比喩ではないと教えてもらいましたよ。まずは第一話の主人公との出会いのシーン。あれは感動的だった。そして完璧なタイミングでのオープニングの挿入が個人的に神でしたね。あのシーンを見て心が揺れない人間は存在しないでしょう。そしてひせヒロで避けて通れない第七話。まさかメインヒロインの雫ちゃんにあんな過去があったなんて……もう号泣必死でしたよ……ティッシュ足りないぞ馬鹿野郎って叫びましたね。他のヒロインも魅力的ですが雫ちゃんの明るさや前向きさは心を鷲掴みにされてしまう。最終話で雫ちゃんが言った名セリフ、非正規はもうやだ。私の気持ちを雇用して、は本当に感動的でした。僕のこれまで培ってきた概念が覆った瞬間でしたよ。そして忘れてならないのがエンディングの切ないバラード。主題歌やエンディングで綴られている全ての伏線を紐解くような歌詞が何度聞いても味わい深い。主題歌とエンディングを歌っている歌手の力強い歌唱力は最高です。まとめるとひせヒロは恋愛や青春だけではない人間模様が描かれている傑作です。だからこそ単純に好きという安易な言葉だけでは足りません。分かって頂けましたか?」


 呼吸を入れずに早口でまくし立てる。由依に感情的に作品愛を語れと言われていた。オタク気質というのも重要らしい。僕としてはイマイチ分からなかったが、こうして熱意を持って何かを伝えるのも悪くない。高揚感がある。

 キーホルダーを付けた時点でこういう瞬間が来るとは覚悟していた。まさかこんな早く訪れるとは思わなかったけど。

 僕が息を切らしていると隣で聞いていた乾さんが「おぉー」と拍手してくれる。

 勉強の成果を出した僕は女子生徒の様子を見る。満足してもらえただろうか。


「うぅ……うぅ……」


 女子生徒は唇を震わせて泣いていた。

 予想の斜め上の反応過ぎて困惑必死だ。訳が分からない。

 そして女子生徒は僕の目を真剣に見つめて呟く。


「好きです……大好きなのです……」


「え? は? ちょ? ちょっと待って!」


「好きなんですー……」


 もしかして告白されたのか。いやいや。意味が分からな過ぎる。

 初日なんですけれど。高校生活で告白されないという妹との勝負が始まったばかりなのですけれど。

 慌てた僕は乾さんを見ると乾さんはスナイパーのように鋭い眼差しで女子生徒を睨んでいた。

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