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1.悟くん、デパートでおねえさんたちと出会う

短編です。

ちょっぴりいたずらっ子な男の子悟くんが、周りの人々で色々と遊ぶ話です。


 これは、さとしくんがお母さんとデパートにお出かけした時のお話。


 「悟くん、どこか見に行きたい所ある?」


 お母さんにそう聞かれて、悟くんは首を横に振りました。


 「それじゃあ欲しいものは?」


  悟くんはまた首を横に振りました。


 「それじゃあ」

 「お母さん」


 悟くんは、お母さんの言葉をさえぎりました。


 「ぼくは1人で見てくるから、お母さんは自分の買い物をしてきていいよ!」

 悟くんはそう言いました。


 「でも1人じゃ危ないわ!」

 「大丈夫!スマホもあるし、なにかあったらすぐ連絡するから!」

 「でも……」


 お母さんは当然戸惑いました。

 このご時世、少し子どもから目を離しただけでなにが起こるかわかりませんから。


 「お母さん、ぼくはもう小学3年生だよ?それにひさしぶりにデパートに来たんだから、お母さんも買いたいものいっぱいあるでしょ?ぼくのことは心配しないで好きなものをゆっくり見てきなよ!」


 そう言って、悟くんはお母さんににっこり笑いかけました。


 「まぁ、悟くん……!そうね、悟くんはしっかり者だものね!」


 お母さんは大変感動し、お言葉に甘えることにしました。


 「買い物が終わったらすぐに電話するからね!」

 「できればLI●Eがいいなぁ……いっぱいの人の中で電話するのってまだちょっとキンチョウするから!」


 こうして悟くんとお母さんは別行動をすることになりました。



 さぁ、ここからがこのお話の本当の始まりです。



 悟くんは歩きながらどこに行こうかと考え、とりあえず今いる3階(駐車場が3階にあったんですね)からエスカレーターで1階まで降りることにしました。


 デパートの中には、フードコーナーにレストラン、洋服店に靴屋、本屋、家電量販店、おもちゃ売り場、ゲームコーナーなどなんでも揃っていましたが、悟くんはどれにも興味が湧きません。彼は普通の物事に対してあまり興味を持つような子ではなかったのです。


そんな中悟くんが立ち止まったのは、女の子向けの商品がずらりと並んだファンシーショップでした。ピンクを基調とした店内にはハートやらお花やらの装飾がたくさん付いており、悟くんに言わせてみれば「吐き気がする」ような、超が付く程の女子ウケ狙いのお店でした。


 無論、悟くんはそんなお店になどさらさら興味はありません。


 じゃあなんでそんな所に立ち止まったのかというと、あるモノを見つけたからです。


 そのあるモノとは、4人の女子高生です。


 悟くんは、その女子高生たちをじっと見つめました。


 その4人組は、キャーキャー騒ぎながらお店の中を見て回っていて、商品を手にとってはカワイイだのブサイクだの言ってそれをまた元の場所に放り投げていました。


 言うならばお店荒らし。


 周りのお客さんや店員さんたちは迷惑そうにその様子を見ていましたが、さすがにしびれを切らした1人の女性店員さんが、注意するためにその4人に近づいて行きました。


 「お客様、他のお客様のご迷惑になりますので、もう少しお静かにお願い出来ませんでしょうか?」


 店員さんは笑顔で丁寧にその4人に言いました。しかし、彼女たちはそれに気付く様子もありません。 店員さんは眉毛をぴくぴくさせながらも、さっきよりも大きな声で再び注意を呼びかけます。


 「お客様、他のお客様のご迷惑になりますので、もう少しお静かに……」

 「はぁ?」


 4人はやっとその女性店員に気づきました。その中の、金髪の長い髪の女子高生が答えます。


 「なんか言った?」

 「ですから、あまりお騒ぎになると他のお客様の」

 「あ、もしかしてアタシら他のお客さんの迷惑になってます……?」

 「は、はい!実はそうでして……」


 なんだ話せばわかるじゃないか、と言う風にその店員さんはホッと肩を撫で下ろします。周りで様子を見ていた他のお客さんや仲間の店員さんたちも安堵の表情を浮かべます。


 しかし、それもつかの間。


 「店員さん、ひとついいですかー?」

 「はい、なんでしょう?」


 金髪の女子高生は店員に顔を近づけてにっこりほほえみ、そして、


 「あなたのゴコウイはアタシらのご迷惑になるのでおやめくださーい!」


 そう言ってゲラゲラと笑い出しました。仲間の3人も、ギャハハと下品に笑っています。


 健気な接客を無駄にされたばかりか馬鹿にされてしまった店員さんは、今にも泣き出しそうな顔で仲間の店員さんのもとへ戻って行きました。他の店員さんたちは、どうしたものかと困り顔。

 周りのお客さんたちも唖然としながら、関わりにならないよう次々とお店から出て行きました。


 そしてお店のお客さんは、その女子高生4人だけになってしまいました。


「あれぇ?なんかぁ客ウチらしかいなくない?」

「キャハハ!ホントだ〜!貸し切りってコト〜!?」


 自分たちがなにをしたのかわかっていないのか、そんなことを言いながらまた4人で仲良く店荒らしを始めたのでした。

 店員さんはこれ以上注意しても無駄だと諦め、早く嵐が過ぎ去るのを祈るばかりです。



そんな大騒ぎの中、悟くんは1人、じっとその様子をお店の外から見ていました。


そして、考えました。


あの4人の遊び方を。


その遊び方はすぐに思いつきました。


そして悟くんは、さっそく4人を遊びに誘うことにしました。

つづく

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