皇帝陛下の愛娘は結婚式を挙げる
いよいよ結婚式当日。リリアージュは珍しく、久しぶりに緊張していた。花嫁衣装を身に纏い、化粧をして髪型を整え魔法で化粧と髪型を崩さないようにコーティングする。
そして、控え室で花婿衣装を身に纏うニコラと晴れてご対面となった。
「ー…」
ニコラはあまりにも美しいリリアージュの姿に言葉を失った。純白のドレスを身に纏うリリアージュに、ニコラは神々しさすら感じる。
一方のリリアージュも、美しく着飾ったニコラに頬を染めた。あまりの格好良さに見惚れてしまう。
固まってしまう二人を放置して時間は進む。どのくらい見つめ合っていただろうか、ナタナエルとルイスも控え室に入ってきた。
「リリアージュ。美しいな」
「ぱ、パパ!ありがとう!」
「ニコラ、格好良いですよ」
「ルイスさん、ありがとうございます。…リリアージュ、世界一綺麗だ」
ニコラがぽつりとこぼすように言った。リリアージュは赤面しつつもニコラを見つめて言った。
「ニコラも、世界一素敵だよ」
今度はニコラも赤面する。その甘い雰囲気に、ナタナエルとルイスは砂糖を吐きそうだった。
特別に、シモンとラウル、エミリアとレオノールも控え室に通される。
「リリアージュ様、おめでとう!とっても可愛い!」
「レオノールちゃん、ありがとう!」
「リリアージュ様、おめでとうございます。私、リリアージュ様のお美しいお姿に感動しておりますわ」
「エミリアちゃんもありがとう!でも褒めすぎだよー」
リリアージュはエミリアとレオノールの囲まれて幸せそうに笑う。
一方でニコラはナタナエルとルイス、ラウルとシモンに囲まれていた。
「良かったな、ニコラ。おめでとう」
「ありがとう、シモン」
「とても良く似合っていますね、ニコラ。友人として、心からの祝福を」
「ありがとう、ラウル。嬉しいよ」
「娘を泣かせたら承知しないからな」
「泣かせるとしたら嬉し泣きだけですよ、皇帝陛下」
「ニコラ、これからは皇配としてより一層頑張らないといけません。近くから応援していますから、決して重圧に押しつぶされないように」
「はい、ルイスさん」
そして、結婚式の始まる時間。リリアージュはナタナエルと共にバージンロードを歩く。ニコラの側に来ると、お互いに微笑み合った。そんな仲睦まじい様子のリリアージュとニコラに、結婚式のために集まった貴族達は皆感嘆の息を漏らした。
二人で結婚のための書類にサインをして、教皇に渡す。教皇はそれを受理すると、ニコラとリリアージュに向き直る。
「ニコラ・オディロン。貴方は如何なる時も皇太子殿下を支え、励まし、共に国を守っていくことを誓いますか?」
「誓います」
「リリアージュ・プロスペール。貴女は如何なる時も皇太子として、皇配殿下と共に国を守り育て、国民達の幸せを第一にすることを誓いますか?」
「誓います」
「では、誓いの口付けを」
リリアージュはニコラは見つめ合う。そして、優しいキスをした。
その後、たくさんの貴族達に歓迎され見守られながらリリアージュとニコラはパレードのために移動する。控え室でそれぞれに、パレードのための花嫁衣装と花婿衣装に着替えた。お互いのお色直しの姿を見て、またしばらく見惚れ合ってしまう二人だった。
ちなみに、貴族達はパレードの最中に宮廷に移動して披露宴に参加することになる。
リリアージュとニコラが神輿に乗り、パレードが行われる。平民達がリリアージュとニコラにお祝いの言葉を贈る。
「リリアージュ皇太子殿下万歳!」
「ニコラ皇配殿下万歳!」
「ご結婚おめでとうございます!」
リリアージュとニコラは幸せに満ち足りた気分で平民達に手を振る。平民達の歓声は止むことがなく、護衛についている騎士達も密かにリリアージュとニコラの幸せを願っていた。
パレードが終わり披露宴となる。披露宴のための花嫁衣装はたくさんある。リリアージュはまず一度目の着替えを済ませて、ニコラと合流する。
ニコラがその姿を見て一瞬固まった後可愛い可愛いと連呼するので、リリアージュもニコラをひたすら褒めちぎった。そんなことをしている間に披露宴が始まる時間となったので会場に入る。
プロスペール皇国の貴族だけではなく、各国の王族達も招かれる披露宴ではとにかく何もかもが豪華となっている。もちろん食事も。しかし、リリアージュは花嫁なので食べるに食べられない。お腹を空かせるリリアージュに、ニコラはそっとジュースを差し出した。リリアージュはお腹が膨れない程度にジュースを飲む。ニコラもリリアージュに付き合って、豪華な食事には手を付けずに各国の王族達に挨拶をする。
祝福ムードに包まれて、今日の主役のリリアージュとニコラは輝きを増していく。何度かのお色直しでも、二人は飽きることなくお互いに惚れ直していた。
その後予定通り一週間ほど披露宴が行われ、各国の王族達とも挨拶をし無事に終了した。ようやく迎えた初めての二人きりの夜。優しい口付けを交わし、二人は一つになった。




