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皇帝陛下の愛娘は今日も無邪気に笑う【長編版】  作者: 下菊みこと


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皇帝陛下の愛娘は婚約者にファンがたくさんいると知る

リリアージュとニコラとの婚約記念パーティーが開かれることとなったのは、婚約から一週間後の今日である。


リリアージュは綺麗に着飾り、ニコラのエスコートで入場する。


会場はお祝いムードが漂うが、一部のご令嬢からリリアージュが不躾な視線を送られているのにニコラ達は気付いた。


「…あのご令嬢、アストリ家とジョルジェット家の…」


「ギャエル家のご令嬢もいますわ」


「ユゲット家の子もいるねー」


「ロランス家のご令嬢もいますね」


「…なんなんだあいつら?」


シモンが睨み付けると、そそくさと人混みに隠れてしまったがリリアージュ以外の五人はすでに彼女達の顔と家名を覚えていた。


「どうかした?」


「リリアージュ様のことをじろじろ見てくるご令嬢がいたんだよ」


「おそらくニコラ様のファンクラブの方ですわ」


「え、ファンクラブ?」


「え、ニコラ気付いてなかったの?ファンクラブあるよ?なんならシモンとラウルにもあるよ」


「マジで?」


「俺も気付いてなかったんですが」


「一部の過激派はリリアージュ様のことを素敵な殿方ばかりをそばに置くとか色々言ってらっしゃいますわね」


「まあ私とエミリアちゃんがその度に言い返しに行って追い払ってたけど、いい加減皇帝陛下に処断してもらった方が早いかもー」


「その方が良さそうですね」


「リリアージュ様の悪口を言うような奴らにファンになられても不快なだけなんだけどな」


「ニコラって結構好き嫌い激しいよな。まあ俺もそいつらは嫌いだけど」


「だろう?僕だって好き嫌いはあるよ」


「俺も苦手ですね、その方たちは」


そんな中でリリアージュはのほほんと言った。


「みんなファンクラブなんてあるんだね!すごいなぁ」


リリアージュは知らない。この六人の中で一番ファンが多いのが自分自身だと。国内のファンクラブだけでも結構な数だが、国外のファンも合わせれば相当な数である。しかし、五人はそれはあえて伝えない。別にリリアージュが意識するべきものではないのだ。


「ふふ。そうですね、リリアージュ様」


「でも、知らない女の子達からファンクラブに入ってます!とか言われてもなぁ」


「正直困るよね」


「気持ちは有り難いですが、ファンの方達に何をしてあげられる訳でもありませんしね」


男子三人はあまり嬉しくないらしい。


「ノンノン。こういうファンクラブはね、推しを追っかけるだけで楽しいのよ。私は何が楽しいのかわからないけど」


「わかってないんかい」


シモンが思わずレオノールにツッコミを入れる。


「んー。でも、追っかけるだけで楽しいなら毎日幸せだよね」


「ですねー」


「追っかけるだけ追っかけてきて話しかけたりとかもしないんだろ?楽しいか、それ?」


「それが楽しいらしいのよ」


「皆様無駄に顔が整ってらっしゃいますものね」


エミリアがぴしゃりと告げる。


「無駄って酷くない?」


「だってそんなに美形だからって恩恵はないのでしょう?」


「むしろ嬉しくもないファンクラブとか出来ちゃうもんねー」


「それを言えばエミリアさんとレオノールさんもそうなのでは?」


ラウルが思わず口を出す。


「うん?ああ、私達のファンクラブもあるみたいだね」


「実害はないので問題ありませんわ、貴方方のファンクラブと違って」


「リリアージュ様の悪口を言うような人いないもんね」


「ぐぬぬ…」


リリアージュの悪口を言うような人がいないならファンクラブがあってもたしかに問題はない。一方で男子三人のファンクラブはリリアージュの悪口を言うような人がいる時点で問題だらけである。


というか、自分達が将来仕えることになる皇女の悪口を言うとか逆にちょっと過激すぎて怖い。親にバレたら、ましてやリリアージュにバレたらとか考えていないのだろうか。


「まあでも、生きてれば誰かに嫌われることはどうしてもあるからね。仕方ないよ」


リリアージュは笑って許す。だからこそ他の五人がなんとかしなければならない。最悪ナタナエルに告げ口することも検討する。


「リリアージュ様は何も悪くありません。なのに悪口を言われるのは問題です」


「そうですわ!リリアージュ様は優し過ぎます!」


「まあそこがリリアージュ様の良いところだけどねー」


「俺も仕方ないとは思えねーな」


「なんなら今からみんなで文句でも言いに行く?」


「そんな大事にしなくていいよ。大丈夫、ね?」


「リリアージュ様…」


そしてナタナエルが遅れて入場してくる。みんなさっと頭を下げた。しかしナタナエルの機嫌は何故か氷点下まで下がっている。それを感じ取った貴族全員、理由が思い当たらず困惑しながらも身体を縮こめるしか出来ることがなかった。


リリアージュはそんなパパに手を振ってみる。ナタナエルは少しだけ機嫌を良くしたが、なおも不機嫌な様子だった。リリアージュは困惑しつつもナタナエルの動向を見守ることにした。

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