皇帝陛下の愛娘は離れてみて初めて気付くこともあると知る
三日三晩パーティーが続き、リリアージュはランメルト王国での最後の夜、宮殿に用意された部屋でふかふかのベッドに横になって思いを巡らせていた。
この三日間、みんなと離れてみて改めてみんなが自分にとって大切なのだと気付いた。
パパはもちろん、ルイスのことも頼りにしていたのだと知った。エミリアちゃんとレオノールちゃんにたくさん癒されているのだと知った。ニコラに甘えている自分に気付いた。シモンがたくさん笑わせてくれたのに気付いた。ラウルの冷静な判断に助けられることが多いと気付いた。
でも。
自分が本当に、一生を添い遂げたい相手は一人だと知った。
いつも優しく微笑んで、いつだって私を最優先にしてくれて、何かあれば手を差し伸べてくれて、何があっても一緒にいてくれる大切な人。
きっと、彼なら私が女帝になっても皇配として支えてくれる。そして、私的な部分では私自身を優しく包んでくれる。
もちろん、甘やかされるだけではなく私も彼を大切にしたい。少し頑張り屋さん過ぎるから、その分私が癒したい。気遣いができる人だから、二人きりの時は気遣いなどしなくてもいい雰囲気にしたい。愛の深い人だから、絶対に裏切る真似はしない。
大好きだと思う。きっとこれが、愛しているということなのだと思う。
ー…私は、ニコラのことが好きなのだ。
リリアージュは、高鳴る胸を必死に落ち着かせる。明日には宮廷に戻る。それまでに、ニコラに告白をする覚悟を決めなければならない。
それと、その前にシモンとラウルにも気持ちを伝える必要がある。二人のことも大好きだから、誠実でいたい。
シモンとラウルに気持ちを伝え、ニコラに告白したらエミリアちゃんとレオノールちゃんにも報告をしなければならない。
それにパパとルイスにも報告は必要だろう。ニコラがもしも変わらず私を大好きでいてくれて、私の想いを受け入れてくれるとするならば、婚約を結ぶことになるし、それを発表しなければならない。
色々と伝えるべきことが、伝えるべき人が多過ぎる。内容も内容だから、ちょっとだけ緊張するし。
それでも、この数日間離れてみて、みんなと会えない寂しさの中ようやく気付いた大切な感情だから。
会いたくて会いたくて仕方ないと心から思える人だから。
明日の朝には覚悟を決めよう。
でも、その前にまずは眠らなくてはいけない。でも、ドキドキして眠れない。
結局リリアージュは、朝まで眠れなかった。目がギンギンに冴えた中で、朝を迎えてしまった。
果たしてリリアージュは、国に帰るまでに覚悟を決めることができるだろうか?




