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皇帝陛下の愛娘は今日も無邪気に笑う【長編版】  作者: 下菊みこと


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皇帝陛下の愛娘は極大魔法で恵みの水をもたらす

ウジェーヌ王国の招待を受けるにあたって、リリアージュはニコラ、シモン、ラウル、エミリア、レオノールを連れてきた。ナタナエルが一人では心配だと言い、ルイスが友を連れて行く方が安心だろうと提案したからである。


リリアージュは観光ではなく公務なので友人達を巻き込んで申し訳ないと思っていたが、友人達はむしろリリアージュと一緒にいられると喜んでいた。


ウジェーヌ王国の宮殿は白く美しい外観をしており、リリアージュが使うことになった部屋はそれは豪華なものだった。リリアージュを出迎える人々は、皆肌の露出度は高いが明らかに質の良い服を身に纏っており、上品な雰囲気の人ばかりであった。国王と王妃、王太子に会うと、挨拶と妖精王の加護を受けたことに対する祝いの言葉を貰った。リリアージュは無難に言葉を選んでやり過ごす。初めてナタナエル以外の〝国のトップ〟に出会って緊張していたリリアージュだが、期待以上に上手くやれた。側に控えていたニコラ達は緊張を隠し堂々と振る舞うリリアージュを誇らしく思う。


晩餐の席でリリアージュに出された料理はどれもプロスペール皇国ではお目にかかれないような珍しい食材が多用され、全て美味しかった。リリアージュはそこでやっと自分が思った以上に歓迎されていることに驚いたが、表には出さずにそっと微笑んだ。それを見て、ほうとため息を吐き熱っぽい目でリリアージュを見つめる彼に、リリアージュは気付かなかった。


リリアージュは、国王から晩餐の席で世間話をいくつかされ、無難に振る舞う。ニコラ達から見て、十分に合格点である。その後、国王は本題を持ち出した。


「第一皇女殿下に折り入って頼みがある」


「なんでしょうか?」


「最近、ウジェーヌ王国ではまた水不足が起き始めている。どうか恵みの水をいただきたい」


それが今回の目的だと知っているリリアージュは、優しく微笑んだ。


「もちろんです。早速明日、ため池に連れて行ってください」


ウジェーヌ王国の水源は大きな大きないくつかのため池である。雨季に雨水を溜め込んでおいて、魔道具を使い浄水し飲み水や生活用水として利用する。普段はそれで事足りるのだが、雨季の恵みが少ない年が五十年に一度くらいのペースで起きる。そうなると、プロスペール皇国に頼るしかなかった。


「これは有り難い。よろしく頼む」


「ええ。お任せください」


その後自室に戻ってふかふかのベッドで眠るリリアージュは、さくっと終わらせてはやくパパに会いたいとそればかりを考えていた。


翌朝、早速国王の転移魔法でため池を巡るリリアージュ一行。ため池の上から極大魔法で水を凄い勢いで流すリリアージュ。おそらくあの勢いの水に巻き込まれたら確実に死ぬ。その光景にリリアージュ以外の全員が圧倒された。その後も他のため池に転移しては同じことを繰り返し、全てのため池の水が一日で全て溜まった。リリアージュはこれでパパの元に帰れると思い無邪気な笑顔を見せる。しかしリリアージュの内心など知りもしない他の人達から見れば、それは究極の慈愛の微笑みだった。


その光景をこっそりと魔水晶で覗いていたナタナエルは、リリアージュが大丈夫そうだとほっとしていた。

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