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皇帝陛下の愛娘は今日も無邪気に笑う【長編版】  作者: 下菊みこと


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19/62

皇帝陛下の愛娘は初めて妖精に会いびっくりする

「姫君ー。リリアージュ姫君、どこですかぁー!」


「?」


リリアージュは、聞きなれないその声に首をかしげる。この宮廷に、自分のことを姫君などと呼ぶ人はいなかった。


「シモン、ラウル」


「わかってる」


「心得ました」


ニコラが名前を呼ぶだけで、シモンとラウルはそれぞれ戦闘態勢に入る。シモンはリリアージュとエミリア、レオノールを後ろに庇い剣を抜く。ラウルは攻撃魔法をいつでも放てるよう準備した。


リリアージュはエミリアとレオノール、ニコラから挟まれてなにがあっても盾となれるよう守られる。しかしリリアージュはシモンとラウルを信用しているのでそもそも何も心配していなかった。


「リリアージュ姫君ー。いた!」


現れたのは、妖精だった。羽根も生えていない下級の妖精のようだが、その頭には妖精王の使いの証である輪っかが浮いている。シモンは剣を仕舞いラウルは攻撃魔法を解く。そしてリリアージュ以外の全員がひれ伏した。


プロスペール皇国では、妖精は神格化されている。というのも、ごく稀にではあるが妖精王からプロスペール皇国の皇族の一員に加護や祝福が与えられることがあるからである。


妖精國は世界の裏側に存在し、ちょうどプロスペール皇国の宮廷がある場所の裏側が妖精王の庭なのだ。妖精國は人間界から見えないが、人間界は妖精國からよく見えるらしい。ただし妖精國に招待された過去の皇帝たちによると、妖精國にいる間自分からは人間界は見えなかったとのこと。だから人間界が見えるというのは妖精の瞳の力かも知らない。目についた人間を気に入った時、妖精王は人間を妖精國の王城に招きそこで加護と祝福を与える。今のところ、招待されたのは皇族だけなのでなにか皇族に特別なものがあるのかもしれない。


妖精王から加護や祝福を授かった皇族は、生まれた順番や性別を問わず皇位継承権第一位になる。優れた魔法を使える者は、ナタナエルのように強い皇帝として君臨出来るからである。…が、ナタナエルの魔法の素養は生まれ持ってのものであり加護や祝福は持っていない。ナタナエルは規格外だった。


…まあつまり、この下級妖精がリリアージュを探し回っていたのはそういうことである。


ちなみに、本来なら神格化されている妖精に対し頭を上げるのは失礼だが、皇族のみ妖精王以外とは対等な立場となる。これは妖精王が昔、何代も前の皇帝に妖精と仲良くすることを許したからだ。だからリリアージュはそのまま妖精を出迎えた。まあ、驚いて反応出来なかったのもあるが。


「リリアージュ姫君、お迎えにあがりました!」


下級妖精は、屈託無く笑ってそう言った。

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