外れスキル所持者、災厄級の魔物をワンパンする
「あれ……？」
巨大ミミズと戦い始めてから、かれこれ１０分近くが経った。
ざっと数えただけでも、５０回もの攻撃を耐えてきただろうか。
噛みつき攻撃、叩きつけ攻撃、突進攻撃などなど……
もちろんそのすべてを受け止めたわけではなく、なかには回避した攻撃もあるが――ざっと５０回もの攻撃を、俺はずっと耐え続けてきた。
たかがミミズといえど、俺は戦士じゃないからな。
戦闘の心得は全然ないし、魔物と戦ったことすら一度もない。そんな俺ごときでは、たとえ下級の魔物にさえ勝てるわけがない……
そう判断して、いままで防御・回避に徹してきたのだ。
にもかかわらず、俺はこうして無事に生きている。怪我もしていない。
――――
【全自動レベルアップ】によってアルバートのレベルが上がりました。
レベル：８１
攻撃力：１００３
防御力：９９８
魔法攻撃力：１４９５
魔法防御力：１２３９
速さ：２３８０
神域覚醒まで：あと９１９
――――
……しかもどういうわけだか、攻撃を受ける度に敵が《弱くなっている》気さえする。疲れが溜まってきた可能性もあるが、それにしても弱くなっているのだ。
「ひょっとしてこいつ、ものすごく弱いんじゃないか……？」
徐々に俺はそう思い始めていた。
最初に《一撃で建物を破壊していた》ように見えたのは、きっと建物が脆かったからだろう。小さな地震で崩壊してしまうような、ザル建設で建てられた建物だったのだ。
そう考えなければ、この不思議な現象の説明がつかないしな。
――しょせんはミミズ。
見た目が怖いだけで、戦闘力そのものはたいしたことないのかもしれない。
「ガァ……ガァ……ガァ……」
連続攻撃の影響か、巨大ミミズはすっかり疲れ果ててしまったようだ。
大きな口腔で、荒い呼吸を繰り返している。
――攻撃するなら、いまだろう。
「グァァァァア……！！」
弱々しい声とともに突進してきた巨大ミミズの攻撃を、俺は右方向に避ける。動きそのものは鈍重なので、これ自体は難しいことではない。
そして。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ！」
俺は気合を込めて、巨大ミミズとの距離を詰めていく。
――――
【全自動レベルアップ】によってアルバートのレベルが上がりました。
レベル：８２
攻撃力：１０９６
防御力：１０４３
魔法攻撃力：１５９０
魔法防御力：１３０４
速さ：２４３０
神域覚醒まで：あと９１９
――――
ドォォォォォォォォォォォォォオン！！
巨大ミミズを思いっきり殴打した瞬間――
「ウギャァァァァァァァァァアア！！」
と断末魔の悲鳴をあげ、巨大ミミズは白目を剝いて動かなくなるのだった。
――――
災厄級の魔物を倒したことにより、【全自動レベルアップ】によってアルバートのレベルが急速に上がりました。
レベル：２９０
攻撃力：２９００８
防御力：２７８００
魔法攻撃力：３８００９
魔法防御力：３１００２
速さ：５６７２２１
神域覚醒まで：あと７１０
新スキル【鑑定】を取得しました。
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