命の恩人は言いすぎだ
「やっぱり……そういうことか……」
自身の両手を見下ろしながら、俺はぼそりと呟いた。
――レベル。
――そして攻撃力などの各種項目。
どちらも聞き馴染みのない言葉ではあるが、個人の《強さ》を示していることは間違いないだろう。そして言うまでもなく、数値の高いほうが強い。
いわば強さの数値化といったところか。
そんなものが存在するなんて、国の重鎮はおろか、世界中の人だって知らないはずだ。もちろん俺だって聞いたことがない。
【全自動レベルアップ】というのは、まさかそのステータスを自動的に上げていくスキル……ってことか?
だとしたらやばすぎるんだが。色々と。
現時点でも、Aランク級の魔物――ブラックタイガーのステータスより、俺のほうが高かったわけだしな。
――――
災厄級の魔物を倒したことにより、【全自動レベルアップ】によってアルバートのレベルが急速に上がりました。
レベル:380
攻撃力:32091
防御力:31092
魔法攻撃力:42285
魔法防御力:35728
速さ:60038
神域覚醒まで:あと610
★使用可能なスキルが増えました。
使用可能なスキル一覧
・【鑑定】
・【闇属性魔法】
★$$$$%$
――――
「おわっと……」
急に浮かんできた文字列に、俺は仰天する。
なるほど……いまのでブラックタイガーを倒せたわけか。
ステータスがもはや頭おかしいレベルで上がりすぎているのと、スキル名に「$$$$%$」という謎の表記があるのが気になるが……まあ、いまはいったん置いておこう。
なんにしても、この【全自動レベルアップ】は色々とやばいスキルかもしれないな。
スキルの全容がわからないうちは、みんなには黙っておくのが賢明だろう。
「アルバートさん! 大丈夫ですか!?」
と。
俺が思考に耽っている間に、エリが隣に並んできた。剣を構え、なにやら仰々しい表情を浮かべている。
「お待たせしました! 冒険者たちはみんな回復させましたので――全員、戦線に復帰できます!」
「あなた様は命の恩人! 今度は俺たちが助太刀します!!」
「え? あ、えーっと……」
かなりの気まずさを感じつつも、俺は後頭部を掻きながら答えた。
「も、もう、倒してしまったかもしれません。ブラックタイガー……」
「へっ?」
きょとんと目を丸くするエリ。
「い……いやいや、なに言ってんですか!? まだ戦い始めてから二分くらいしか経っないですよ!」
「そ、それもそうですね……。では、見に行きましょうか」
言いつつ、俺たちはブラックタイガーの飛んでいった方向へ歩を進めていくのだった。
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