7月23日の記録
※これはブログの記事でも何でもなく、彼女に二人の約束の中で、この状況を説明する必要があったからこそ、忘れぬ様に書いたものを、搭載用に編集したもの。
鬱に対する理解を得たいわけではないが、こういう場合があるのも知っていてくれると、貴方の周囲の鬱を持つ人は少し助かるのかも知れない。
文中の彼女の名前の部分を「貴女」に置き換えています。
その他にも、一部、表現等を変更しています。
7月23日の記録
今日、貴女と何気なく一緒に帰って、珈琲を飲みに行って、貴女と彼の話を聞いて、予想外に自分が折れてしまった。
その前に、貴女が彼と自分の決定的な違いに「男であるか否か」という部分の話が出た事で、自分の中では、正直なところ、その時点で自分はもう折れていた事を確信できる。
自分が男でない事は分かってる。
でも、望んでそうしたわけでもない。
自分は自分を守るために、今に至った。
男で居られたなら、自分だって男でいたかった。
でも、それができなかったから、今の自分になった。
そして、今更、これを変える事はできない。
もう、自分は自分として、自分になってしまったのだから、それを全て否定された気持ちだった。
それから、自分はどうにかその場をやり切ろうとしてた。
その矢先の彼との話だった。
自分が本当に男だったら、貴女は自分を好きになったかも知れない事を知った。
自分は男ではなくて、今更、男になれなくて、きっと、もう男には戻れない。
貴女の求めるものは、男。
でも、絶対にそれに応えられない自分。
だから、貴女は自分を愛する事は決してない事を知った。
夫婦という関係には確かに男と女は必要ない。
だから、貴女は自分でも問題ない事を理解した。
自分は貴女の求めるものは、一生与えられない。
自分は貴女に愛される事は、一生無いと確信できた。
夫婦が互いを好きでいる事は、夫婦が生涯を過ごすのに重要な事で、
それこそ、付き合っている間に互いが求める「愛する」という気持ちよりも確かに難しく、容易に得られる感情ではない。
だけど、自分は貴女に一度でも愛されたい。
そんな期間は生涯を共にするなら、極めて少ない時間でしかない。
しかし、それが自分にはとても大切な時間に思えてならない。
貴女はきっと、今後も自分といる時間を愛する事ができると思う。
しかし、それは貴女を見ていると、自分を愛する事とは繋がらないと思う。
何故なら、自分との時間の代わりはいくらでもあるから。
自分は貴女を本当に大切に思っているし、色々な部分で気がきくかも知れない。
話も冷静に分析できて、それこそ楽しいかも知れない。
だけど、貴女の生活や性格上、それを貴女が一人の人間から全て得る必要はない。
貴女を本当に大切に思う彼と、気がきくか気の合う友達、彼と友達がその席に共にいるなら、
それこそ楽しくて、話も色々な意見や考えが聞ける。
つまり、分析できる一人の人間はその時点で不要になる。
貴女が彼と自分を天秤にかけて、これだけ圧倒的な時間を過ごしても、貴女は自分を選ぶことはなかった。
きっと、そういう事も含まれるのだと思う。
そうなると、決定的な違いである「男」という部分が、それ程までに重要であって、それが無い自分の理想は叶う筈がない事を証明しているんだと思う。
「生涯、愛された事の無い夫」というのは、何とも虚しいものかと思う。
でも、それが自分である事を知った瞬間に自分は机に伏せてしまった。
机に伏せた時は自分の行動の意味が理解できなかった。
でも、すぐに涙が出てきて、その理由を、こうして書き残せるまでに理解できた。
指輪を外してしまいたいと本気で思った。
トイレから戻ると、貴女は席を立って帰る状態になっていた。
もっと、ちゃんと話したくて、自分がどうしてそうなったのか弁解させてほしかった。
それに自分が歩ける様な状態ではなかった。
錯乱状態というか、何もかも理解できない様な状態で外に出る事になった。
しばらく歩いて、状況を把握した自分は、極度の罪悪感に襲われた。
貴女が普通に話してくれた事に対し、
「自分が極度に傷ついた故に、『泣き崩れた』という様な考えに至ったのではないか?」
という罪悪感。
実際にそうであったかも知れないが、それは違う。
だが、貴女に自分は、またもストレスを与えてしまった。
現状の様々な要因と、それらからくる疲れ。
貴女の中で、それだけでも重荷であるはずなのに、更に自分という疲れる要素が、
更なるストレスを与えている事実に、自分はその場で帰りたくなって、歩く足が止まった。
貴女が体の痛みを訴えている状況でなければ、自分は貴女の荷物を全て返して、帰りたかった。
しかし、貴女が強引にジャンケンで自分を歩かせた。
遠のく貴女を見て、別れを予感した。
自分は、上記の感情を全て貴女に伝えて謝りたかった。
しかし、マンションについても自分の精神は全く安定せず、言葉を発する事も、貴女を見る事もできなかった。
貴女が何度もこっちを向いてくれているのを分かっていて、それを無視している様で、辛かった。
貴女の家の前まで来ても、自分はどうする事もできず、でも伝えたくて謝りたかった。
結局、その行動の真意など分かるわけもなく、単純に貴女を苛立たせてしまった。
本当に自分が嫌になった。
男でもない、意気地もない、不安定で、それが絵になる美人でもない。
本当にカスだと思った。
貴女と別れてからも、帰る事ができず、貴女と来た道を戻って、何もない公園の真ん中でうろうろしていた。
貴女と話したくて、会いたくて、謝りたくて、でも何もできずに帰るしかなくて、
終電の時間になるまで、少しでも貴女のそばにいたくて、そこにずっといようと思ってた。
すると貴女が電話をくれた。
それによって、自分は早く帰れば貴女と話せる可能性を感じた。
だから帰る事にしたのだが、自分の精神は全く安定しない。
頭もパニック状態で、足取りもおかしい状態だった。
ただ、家に帰りたくなった。
電車に乗って座ると、突然、全てが頭に入ってきた。
自分が男でない故に愛されない事
その原因が自分の女の様な行動によるものである事実
男として生きる事を選べなかった後悔
今更、男になれない現状
貴女のストレスになっている自分
貴女がストレスから再発する可能性のある病気の事
その他にも何か考えてた。
これらの考えが、引き金になったのだと思う。
自分が自分を殺そうとしてるのを感じた。
自分は帰って貴女と話したい。
それがあるのに、自分が自分を殺そうとしている。
死にたくなかった。
生きていたかった。
頭は、さっきの考えと死にたくない恐怖で完全に錯乱状態になって、過呼吸状態になった。
過呼吸になると、頭と鼻あたりがしびれてきて、更にその恐怖を増加させる。
電車の中の他の客の視線が気になる中で、でも過呼吸がおさまらず、同時に死の恐怖もおさまらない。
間違いなく、死んでしまう。
そう思った。
ひたすら呼吸を整え様としたが、結局、安定しないまま、貴女の言葉を思い出した。
「もしも、どうにかなった時は頼っていい」という言葉。
死にたくなくて、すがるしか自分は選べなかった。
携帯の充電が切れていたが、再起動すると、どうにか貴女の携帯番号を書き写す事ができた。
電車の中で必死に、どこかにしまったテレフォンカードを探して見つけた。
そのまま、乗り換えの駅に到着。
階段を夢中で上って、貴女に電話した。
もう何を言ってるのかも分からなかった。
何を言いたいのかも分からなかった。
ただ、「死にたくない」それしかなかった。
だから「約束」した。
「帰ったら話せる」に向かって、とにかく生き続ける様にするしかなかった。
電車に乗ると、急に落ち着いた。
波が一旦引いただけなのを知っている。
必ず戻ってくるのも知っている。
しかし、その冷静さの中で思った。
「貴女に頼ったら、自分は初めて、この状態を乗り切るのに、自分以外の人の力に頼る事になる」
という事。
それが、返って怖くなった。
自分は貴女との関係に、先の考えから完全に
「離れなくてはいけない」という事、「そして愛されない」事を確信してしまった。
だからこそ、貴女はこの先、自分の人生から消えていく存在であるにも関わらず、自分はその消え行く存在に頼ろうとしている。
次に自分がこうなった時に貴女はいない可能性がある。
だからこそ、自分は貴女に「一生、共にいられる覚悟があるのか?」を確認する必要があった。
貴女にその覚悟が無いなら、今なら自分は貴女を諦められる。
そして、この状態も今まで通り、一人で乗り切るしかない。
しかし、逆に貴女に頼ったら、自分は完全に今後は貴女無しでは生きられなくなる。
電車の中で、貴女にそのメールを書いたが、充電がなくメールを送る事ができなかった。
電車を降りる頃には、目も完全に開いて、眼球が痛いほど乾いて、過呼吸も再発し、恐怖も戻ってきていた。
どうにか、平常心を保とうとするが、煙草も無く。
ただ、焦るだけで手まで震えて、自転車の鍵を開ける事も満足にできなかった。
頭の中では、色々な事がひたすら回り続けて、それでもその中に貴女がいた。
貴女の笑顔だけは何度も見た。
それだけは覚えている。
この場合において、自分を抑えるには、食事が必要なのを知っている。
脳の血液を胃に動かし、思考を弱らせる事で状態を緩和できる。
マクドナルドで食事を購入し、夢中で帰宅した。
家に着くと、貴女にすぐにメールし、膝から崩れてしまった。
食べなくてはいけないのに、とにかく、どうにかしないといけないのに、呼吸がやまない。
体が動かない。
貴女と話したい。
貴女と一緒にいたい。
だから、死にたくない。
すると、泣けてきた。
それなのに、死んでしまいそうで、笑えてきた。
頭の中で自分が自分を殺す描写が溢れてくる。
とにかく、脳を止めないと、本当に危険なのを理解しているのに、止まらない。
冷蔵庫に貴女と過ごす為に買ったアルコールがあるのを思い出して、一気に飲んだ。
疲れと、睡眠不足とで一気に頭がぼんやりした。
とりあえずでしかない。
そのまま、一気に食べた。
普段、何も食べていない分、ただのポテトとハンバーガーで胃が裂けそうな程苦しくなった。
だからこそ、苦しくて頭の思考を止める事ができる。
過呼吸からくる頭痛と、苦しさから、呼吸は乱れたまま貴女のメールを待てずに電話した。
貴女が電話の向こうで、泣いている様な気がした。
しかし、何も言えなかった。それよりも、話す事もままならなかった。
電話を切って、後悔した。
「覚悟があるか?」の回答を聞かずに、自分は貴女に頼ったのだから。
貴女のメールを待っている間、呼吸が落ち着かないせいで意識がどんどん散漫になってくる。
その中でも、食事のせいで苦しくて、疲労から体が動かなかった。
どうにか、携帯を握り締めて、ベッドに移動するとそのまま眠ってしまった。
貴女を散々混乱させて、あんなメールを書かせて、泣かせてしまったかも知れないのに、自分は呑気に居眠りとは、最低にも程がある。
貴女から来たメールは、離れることについて書いてあった。
自分は離れたくないから、「一人でこの状況をどうにかしないといけないのか」、それとも「今後も貴女を頼っていいのか」を知るために「覚悟があるのか?」というメールをしたのが、余計な考えをさせてしまった様だった。
しかし、貴女の中で離れる決心が付いてしまった様な内容である事から、もう終わりなのかも知れない。
自分は今回、貴女に頼ってしまった以上、貴女から離れる事はできないのに、これで終わってしまうなら、自分の言葉足らずなメールのせいという事になる。
だから、潔く諦めようと思う。
どちらにしても、自分は貴女愛される事はないのだから、諦めなくてはいけないのだ。
それに、自分がいれば貴女は必ず病気を再発させてしまう。
このままの関係が貴女にストレスを与えても、貴女が自分を本当に好きになって彼との間に葛藤が芽生えてもストレスを与えてしまう。
そういう点では、今後、貴女が彼と別れない限り、この関係は自分が貴女を殺してしまう事になる。
だから、これで貴女がどう言っても、自分はもう貴女に対して、何かを言う権利は完全に無くなった。
待つとか、待たないの問題ではなく、自分こそ貴女にとっての一番の害でしかないのが分かった。
今まで本当にごめん。
貴女に対して、自分は素直に成り過ぎてた。
自分は生涯、貴女の望むものを満たす事はできない。
ただ、一緒にいて、居心地の良さを与える事ができるだけで、凄く大切に思い合える友達なのだ。
きっとそれが夫婦なら、今のままでいいんだと思う。
だから、今のままなら一生一緒にいられる。
ただ愛されない事が辛くて、それがないだけが不満なんだと思う。
それを自分が妥協すれば、この関係は続いていける。
でも、それを妥協はできない。
いつか、必ず冷めてしまうなら、それは仕方ない。
でも、冷める以前に燃え上がった事もない人を、きっと自分は信じ尽くせなくなる。
何故なら、愛せる自分ではない誰かのところに、貴女が行ってしまうと思うから。
貴女が浮気をしない事を知ったのは、彼が愛せる相手だから。
それを満たせない自分は、彼に対する気持ちと同じ様に、自分の事を考える貴女を得る事はできない。
だから、自分は貴女と居続ける事はできない。
自分が愛された過去を残したいだけで、それを妥協できないが故に、自分はこの関係を終わらせ様としている。
結局、全て自分のせいで、この関係は終わってしまう。
そして、それは貴女の理想を叶えられない事になる。
結局、自分は貴女を幸せにする事はできない人間という事が分かった。
貴女が今日、どんな気持ちで、何を考えて、どうするつもりでここに来るのか分からない。
だから、この話は最初はしない。
これを見せたら、貴女の考えは間違いなく「離れる方向で考える」という方向にいくから。
貴女が離れる方向でケリをつける気で来たなら。
もしくは、そういう考えである事が分かったら。
これを貴女に見せようと思う。
そして、この指輪も外そうと思う。
もしも、離れてしまったら、自分は元の一人に戻るだけ。
だから、貴女は何も気にしないでいい。
昨日のメールに書いてあったが、俺は貴女との関係の中で、「恋の駆け引き」というものを「楽しい」と思った事など微塵も無い。
楽しいなんて考えない程、いつも本気で全て伝えて、一緒にいられる様にしてただけ。
自分の行動や考える事が、楽しんでいる様に見えていたなら、それは凄く残念でしかない。
自分は貴女との関係の中で、貴女と過ごす時間を最高に楽しいと思い、幸せだったが、
恋愛に関わる部分については楽しいと感じたことはない。
本当に何を差し置いても一緒にいたいから、いつも真剣にできる限りの事をしていただけ。
貴女は前に
「今は気持ちを返せなくても、いつか返せる様になったときに返せばいいと思った。」と
言ってけど、貴女が男でない自分を人としてでなく、男として愛せるなら、それを知りたい。
今の自分は、貴女に今もこの先も、その後もずっと愛される気がしない。
貴女の言った通り、「返す」ではなく、本当に彼と別れた後に、自分を愛する事ができるなら、
そう思えるなら、それを自分に伝えてほしい。
それなら自分は離れたくない。
この関係も終わらせたくない。
その日が来るまで待てると思う。
だから、今はそれを教えてほしい。