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第七十四話 一万年に一人の乙女

 ゼロと兄様と一緒に、水の陣営……ヴァルシュアの城から一歩外へ出た瞬間。

 コピーと並んでヴァルシュアが此方を睨んでいた。

 兄様は剣を構えて、ヴァルシュアを威嚇する、いいえ、二人を。


「ラブラブな夫婦を邪魔しないでくださるーぅ?」

「お黙り勇者。……ゼロ、その娘を手放しなさい。貴方の身には手に余るはずよう。貴方には、あたしみたいな小悪魔がちょうどいいくらいなのよ。その聖女みたいに清らかな女は、途轍もなく厄介者よう」

「嫉妬か」

「そうかもしれないし、そうじゃない同族の哀れみもあるわあ。その娘は神様候補。その意味を知らない貴方ではないでしょう?」

「……どういう意味よ、ヴァルシュア」

「……一万年にたった一人生まれる、純度が高く魔力の高い人間で。魂は崇高……近いうち、魔物の身体が弱すぎて。魂が収まるには小さい器すぎて、また貴方は近いうちに死ぬわあ。そのとき一番に悲しむのはきっと、ゼロよ」

「……そんなことがあるわけが」

「じゃあ未だに何故神様はそこの小娘に拘ろうとするのかしらねえ? 神様の試練のときに聴いてみるといいわあ、あの堕天使を連れていって。負けたあたしから言えるのはそれだけよ。いつでも寂しくなったら慰めてあげるわあ、ゼロ貴方なら」


 ヴァルシュアは完全に負けを認めていたけれど、側にいるコピーの眼差しは負けを認めては居なかった。

 だからこそ、ゼロはコピーを凄惨な眼差しで睨み付け、その場から兄様と三人で離れた。


 ゼロと一緒に炎の陣営の城を目指すまでの馬車に、一緒に兄様と馬車に乗り兄様は唸って考え続けていた。

 兄様とゼロは考えている内容が同じのようで、顰めっ面であった。


「……私、また死んでしまうのね」

「そんなことにはさせぬ!!」

「そうだぜ縁起悪い。ウル、大丈夫だ、きっと」


 二人とも青ざめたままの顔で励まそうとするものだから、少し可笑しくて二人の手を私は繋いで微笑む。


 二人は一気に悲しい顔をして、私の頭を抱き寄せてくれた。

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