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第六十六話 雪合戦大会!

 外でかまくらの中にて本を読んでリラックスしていたシラユキが、やってきた私達に気づくとかまくらから出てきて雪を腰からはたき落とした。

 身なりを整えてから、シラユキは遅れてやってきたミディとゼリアを見るとにっこりと微笑んだ。


「これから、私とラクスター。ゼリアとミディ、魔王様とウル様をリーダーとしたチームに別れて雪合戦を致しましょう!」

「異議あり!! 僕は別に、ラクスターと一緒のチームでいいんだね!」

「駄目ですわ、男女のチームをそれぞれ作った方が力量差はあまりでないでしょう? この状況では」

「そんなの関係ないんだね!! 僕は帰るんだね!!」

「ミディ、確かお前人間たちの間で流行っていた『好き好き大好きお兄ちゃん♡』つー恋愛小説欲しがってただろ。ゼリアと組んで、オレに勝てたらこの前の土産としてくれてやるよ」

「なっ!? ほ、本当かね!? 嘘はいけないんだぞ、ラクスター本当に持ってるんだね!?」

「疑うならそれまでだ、本気でかかってこい、ミディ、ゼリア! くそ魔王に、姫さん! シラユキ姐がいるなら、うちのチームは負けなしだ!」

 既に両手に雪玉を持ったラクスターが哄笑していた。

 その頭をぱかっと叩くとシラユキはにこりと微笑み、皆に提案する。


「どうです? 余興として、優勝した方には何かしら差し上げますわ」

「ゼリアはとと様との温泉デートの旅費や馬車が欲しい!」

「僕は勿論、その恋愛小説だね!! 全巻を所望するよ!」

「オレは新しい武器欲しいな! かっけーやつ!」

「余は欲しいものはそうだな、……ウルに似合うセクシーな寝間着でも……」

「わ、私はそれなら、ゼロと一緒に過ごす休暇が欲しい!」


 それぞれが望みを口にして騒ぎ立てば、シラユキはどうどうと諫める仕草をしてからその場の雪を魔法で整え、雪合戦用の戦場を作り上げた。

 壁が互いに陣地に三つあり、陣地は三つ。それ以外は雪玉を作るゾーンがある。


 シラユキは「さあ遊びましょう!」と嬉しげに声を張り上げた。


 左側にシラユキとラクスターのチーム、真ん中の少し下に私とゼロのチーム、右側にゼリアとミディ団長のチームが構える。

 スケルトンが旗を振り下ろして、雪合戦開始とした。


 私は必死に雪玉を作った、皆もそれぞれ雪玉を作っている。

 やがて沈黙を経て、動き出したのはラクスターのチームだった。


「特攻してやる! まずはお前たちだ、ミディ!」

「あっ、やっぱり奥方様を真っ先に狙わないんだね?! そういうのは差別と……」

「うだうだしてっと投げるぞ、隠れるんだな、精々!」


 慌てて構えて雪玉に備えるミディ団長に向かって、ラクスターは雪玉を顔面に投げて無事それは当たった。

 ミディ団長はやたら痛がり、その痛みの原因に気づく。


「この雪玉、ほとんどが石じゃないか!! 酷いんだね!! 流石! 流石ずるい! 流石の汚さ!」

「褒め言葉を有難う、ゼリアも覚悟しろ!」

「とと様の仇ー!!」


 二つのチームがぶつかりあってる中で、こっそりとゼロが動き出した。

 誰にもばれないように影の中に潜り、シラユキの影から現れシラユキの頭上に雪玉をこつんと当てた。


「魔王様?! いつの間に!」

「こういうときこそチャンスであろう、油断したな」

「不覚です……あとは任せたわよ、ラクスター!」

「エッ、何もう魔王にやられてんの!? いつの間にって、ぶは!!」

「とと様の仇とれたわ!!」


 ゼリアの雪玉がラクスターに当たり、ミディ団長と、ラクスターとシラユキのチームは退場となる。

 二人ともやれやれといった顔で、少し悔しげだけれど楽しそうな顔のままである。

 シラユキとラクスターはそれぞれ応援をし始めた。


「ゼリア、魔王狙え魔王!」

「勝つな! こうなったら勝つなゼリア! 温泉行くなら一人で行くんだね!!」

「ゼリア想像してみろ、湯上がりのミディを! 行きたいだろう?! なら魔王狙え!」


 ゼリアの雪玉は剛速球だけれど、ゼロはそれを躱してそれ以上の剛速球を投げゼリアを当てた。

「やった、ゼロすごい!!」

「ふ、当然だ」


 それでも誇らしげなゼロに私はぴょんぴょんと跳ねながら喜びを露わにして抱きついた。

 その夜に送られたセクシーな寝間着にしばらくの間悩まされるのだけれどね。



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