第四十八話 天使の羽根
翌日勇者のパーティ一同にも記憶を蘇らせると、皆は私を可愛がってくれて懐かしんでくれた。
式の日の思い出話を沢山しながら、グレアル王国を目指そうという話に変わり、移動手段を考える。
「魔物を使うのは駄目だぞ、人間の味方となりたいのなら、人間の流儀に合わせて貰おう。きっとそこから信頼が生まれる」
兄様の言葉に皆は頷き、馬車を乗り継いで移動することとなった。
合間に広い湖があるから船も入る。
船に乗りながら、私達は談笑していたが気づけばシラユキと兄様がいないことに気づき、私は船の中を探す。
兄様とシラユキは二人とも、船の後ろのほうで陸を眺めていて会話をしていた。
「オレね、こう見えてももてるんだよ、勇者様ってやつだからな。お買い得だよ? アンタも嫌いじゃないんだろ、オレのこと」
「意地悪な物言いは嫌いね。ただ、……気にならないわけじゃないのが悔しいのです」
「っはは、今はそれだけでも十分だ。ぜってえオレのこと、意識しか出来ないようにしてやるから覚悟しとけ。オレは人を魅了するのがうまいのヨ」
「厄介なお人! ……魔物からは充分歩み寄ってき始めました、貴方は? 人間は本当に歩み寄って頂けるのかしら。ウル様には言えないけれど、たまに不安になりますの。ウル様という繋ぎがなければ、人間は味方にならないのではと」
「……ウルはきっかけであり鍵ではあるけど、扉をこじ開けたのは魔王だ。秘書のようなアンタが信じなくてどうする? 認めたくはないが、あの魔王はやると決めたらやる男だよ。とくにウルのためであればな。ウルを思うのであれば、たとえば……ウルが先にいなくなったとしてもウルの愛した種族を守ろうとする男に見えるがどうだ?」
「……それは、確かに。魔王様にはそういう節はありますわね」
シラユキと兄様が笑い合っている、穏やかに朗らかに。
少しだけ私は心が温まり、少し二人きりにさせたい気持ちになったので慌てて船の中へ戻った。客室に戻るとラクスターがいて、ラクスターは私に気づくと一枚の白い羽根を見せる。羽根ペンになってもおかしくないほど綺麗な白い羽根。
「枕元にあった、天から……兄貴からのメッセージだ。多分」
「意味は? その羽根を送りつけた意味」
「……多分、この羽根を返しに天へこい、だと思う。天へ行かなきゃいけねえ理由がそのうちに出てくるかもしれねえ。その時のために理由を作ってくれたんだろう、あの小賢しい奴がただ無闇矢鱈に羽根を送りつけたりはしねえだろう」
「ルネ様の……いいえ、神様はどうしてそんなに私に拘るのかしら」
「……ここだけの話な。これは、オレの独り言として聞いてくれ。ウルという女は、次に神になる素質のある女性だった為、神様候補生であったとさ」
私はラクスターの言葉に驚いて目を瞬かせると、ラクスターは微苦笑し頭を撫でた。
そう重く捉えるな、と言ってくれてるような気がした。




