表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/88

第四十一話 奥様の味方だ

 ミディ団長は指先に光りが集う魔法を使いながら、ベッドにつかせたゼロの容態を見てくれた。

 結論はラクスターと同じ、呪いが原因であった。


「魔王様がこうなっていることは人間側に知られると厄介だね、こうなっている間は代理指揮官を呼ぼう。そこで食い止めて貰うしかないね」

「あの、ゼロは……」

「呪いで暫く起きることができないんだね。いつ起きるかも不明、多分ユリシーズ様次第だね、この刻印からして。ユリシーズ様の刻印だ。無理矢理起こすには、条件をいくつか整えなければならない」

「条件……」

「まず、満月の夜に気付け薬を調合する。このときに使う水は、新月の翌日の朝露であること。新月の次の日の朝露には魔力が沢山含まれているからね」

「ほ、他には?」

「体温が上がりやすいだろうから、冷やし続けること。これはシラユキに頼もう」

「お任せください!」

 呼ばれたシラユキは泣きそうな顔だったものを、きりっとさせて頷いて意気込む。

 最後にもう一つ条件があるのか、ミディ団長は言いよどむ。

「さて、最後の条件、これが一番厄介だね。満月の日に咲く、蒼雫の花で薬を調合する。ただの花だと軽んじてはいけないね、この花は雷頂らいちょうにある」


 何処なのかと聞こうとすれば、ラクスターとシラユキは一気に青ざめた。

 不審に思い視線でラクスターに問いかけると、ラクスターは素直に答えてくれた。


「天国の門の一歩手前と言われるほどに、高い山があってな。そこのてっぺんだ」

「ら、ラクスターなら飛べば採れるでしょう?」

「蒼雫の花は、純潔の乙女……つまり摘むのが未婚の女性でないと摘んだ途端に枯れてしまうね。つまり、奥様が取りに行くしか希望がないんだね」

「……分かった、行きましょう!」

「高い山を登るのは大変だから、確かにラクスターに背負って貰うのは良い考えだと思うね。ラクスター、頼めるね? 奥様のことも、山のことも」

「お、れは……」

「ラクスター! お願い、連れて行って欲しいの! ゼロが、ゼロがこのまま起きないかもしれない!」


 躊躇っていたラクスターへ私が懇願すると、ラクスターはむっとした顔つきをしてから考え込み、安心するように笑いかけてくれた。


「オレは…………奥様の味方だ」

「連れて行ってくれるのね!? 有難う、ラクスター!」

「…………厄介な魔王だな、こんなときに。ミディ、ユリシーズについてはどうするんだ?」

「今、王がいない間に何かを仕掛けられても困るからね、勇者にユリシーズを倒しに行くようけしかけるつもりだね。手間取って時間稼ぎくらいはしてくれるだろうね」

 ラクスターの質問に、ミディは頷き、至急荷物を作ってくるよう私達に命じた。


「くれぐれも頭目がいないことがばれるのは厄介だからね、二人で取りに行って貰うね。気をつけるんだよ」

「へ!? 他に誰かいかねえの!?」

「奥様の他に、抱えられるのかね、君は?」

「あ……そうか、わか、った……」

「ほら、荷物を作ってさっさと取りに行くんだね! 蒼雫の花なら、雷頂にそれしか咲いてないから行けば分かるね」


 ミディ団長は手をぱんっと両手で軽く柏手をし、私達に勢いづかせた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ