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第二十話 ウルなりの誠意

 私はこの場に居る味方全員に、バリアの魔法を放った。

 これが私のチャーム対策。ゼロが私自身がチャームするのが嫌だと言うのなら、こうすればゼロは嫌な思いをしないもの!


 ゼロには事前に言ってなかったので、驚いた顔をして私を見やる。

 一瞬金色に燃える炎が味方一同に体内に吸い寄せられ、それはバリアが成立した証だった。


「……我が乙女よ、これは」

「バリアしたのだから、他の女性に目移りして帰ってこないでね」

「っふ……はは、ははははは!!! お前の気概は分かったぞ、これは我が乙女の純情と純潔。それがあってどうして、他の女なぞ目に入ろうか!」


 ゼロは牛の姿になり、意気揚々と一歩前に出て、魔崩れ三人にかかってこいとジェスチャーをする。

 勇者のパーティは魔王との交戦に身を乗り出して、それぞれ陣取りを始めた。


 バフをかける魔物達は味方全員にバフをかけていたが、真っ先に魔崩れのサキから猛毒が与えられ、狙われていたのは私でもゼロでもなく、補助と回復部隊だった。

 ミディ団長は慌てて解毒範囲魔法を何度も繰り返した。


「回復する奴を真っ先に殺すのがセオリーなのに、美味しそうに隠さないから馬鹿ね、魔物って」

「そう言ってやるなよ、サキ。アルギス、お前の女はあの魔物か」

「そうだ、あそこにいる桃色の仙女こそ僕の愛しいウルだ。嗚呼、なんて可憐な姿だ、そのドレスは僕と誓う為に着ていてくれていたんだね!?」


 首をふっているのに話を聞かないアルギス。

 アルギスの眼差しは少し狂っていて、私は身震いが止まらない。

 震えが止まらない私の前に守るように陣取ったのはラクスターだった。


「うちの奥様怖がらせないでくれますゥ? 箱入りなもんで」

「なんだ貴様、堕天使か!?」

「ただの堕天使じゃあない……奥様に生き返らせて貰った、直属の部下だ!」


 ラクスターは無から大筒を生み出し、出来た白く装飾の施された大筒で三人を狙う。

 三人にばんばんと大筒で打ちまくるが、三人は怪我もしない。


「こいつの性能をそろそろ疑ってもいい時期にはなってきたな、くそったれが」

 煙をラクスターは自分の羽根で飛ばし、愉快そうに笑ってる三人に対して侮蔑の眼差しを向けながら無から剣を今度は作る。

 向かっていこうとするが、ゼロに待て、と止められる。


「お前は此処で花嫁を守っていろ」

「えー、オレだって遊びたいよ」

「駄目だ、これは余が片付けるべき問題なのだからな、そうであろう、恋敵どの?」

「そうだ、ゼロ。僕は貴様が憎い。貴様さえ消せば、ウルは安心していずれ僕のものとなってくれるだろう。ああ、そうだ、生き返らせてくれた礼だけは言わないとな?」


 ゼロは鼻息と炎を飛ばし、大声で拒絶を示した。


「そんなもの、要らぬわ!」



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