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崩壊世界  作者: トワ
マルドゥック・ディザスター編
5/6

道化師

「隼人、歩美……」


「言われなくてもわかってるわ。 あの獣魔が呼んだのよね」


腕輪のアラームの音が未だに鳴り続いている中、3人はマルドゥック・ディザスターを見据えながら警戒する。


「さて、準備は整いました。 私たちも楽しみましょうか」


「1つだけ、お前の目的はなんだ? それに獣魔が他の獣魔を呼べるなんて聞いたことがないぞ」


「ホホホホ、目的ですか。 残念ながら最初の質問には答えることはできません。 しかし、後ろの疑問には答えてあげましょう。 貴方達は能力を持っているでしょ? あれは私の能力ですよ」


「厄介な能力だな……」


翔太はそう言うと歩美と隼人を横目で見た後、大きく息を吸う。


「行くぞ! 2人とも!」


翔太がそう叫んだ瞬間後ろにいた2人が後ろから飛び出す。もの凄いスピードから生じる2人の風を翔太は左右で感じる。2人の持つ剣がマルドゥック・ディザスターを捉える。

しかし、それは無残に鋭く伸びた爪のようなもので受け止められてしまう。


「ホホホ、どうしました? この程度では私にかすり傷1つつけることはできませんよ?」


「そんなこと最初から分かっている」


「ホホホ、分かっていながらも攻撃をしてくるとは面白いですね。 隼人と言いましたか? その隣は歩美。 貴方は何というのですか?」


翔太はマルドゥック・ディザスターに目線を向けられ一瞬たじろぐが、すぐに立て直す。


(隼人と歩美の剣を受けながらこちらに会話する余裕すらある。 やっぱり今の俺たちでは勝てないな……)


「教えると思うか?」


「別にそう思っているなら結構です。 正直時間稼ぎをされても面倒です。 すぐに終わらせるます」


マルドゥック・ディザスターはそう言い、隼人と歩美との距離を取ろうとするが、2人は逃さないように執拗に追いかけ剣を振るう。それを爪で受け止めるというのを繰り返し、中々距離が取れない。


(中々距離が取れないですね。 新人の癖に手こずらせてくれるじゃありませんか)


「貴方は勝てないわ」


「歩美と言いましたか。 私が勝てないとはどういうことでしょうか」


「あんたは私たちを格下と思っている。 それが翔太が意図的に距離を取っていることに気づかないのよ」


「まさか⁉︎」


「翔太! 今よ!」


歩美が声を上げると、隼人と歩美はマルドゥック・ディザスターから距離をとる。すると、隼人と歩美の間から青い閃光が放たれ直撃する。


「ぐっ! まさかこの為に……」


「ナイスだ、歩美。 今がチャンスだ! 一斉攻撃を仕掛けるぞ!」


翔太の声が掛かると、再び2人は地面を蹴り近づいていく。

マルドゥック・ディザスターはよろよろしながらも立ち上がり爪を構える。


「私はまだ死ぬわけにはいかないのです! この糞人間が!」


「その人間に倒されるのがお前の運命だ! うぉぉぉぉぉ!」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


2人は剣を振るい、マルドゥック・ディザスターを殺ったと思った次の瞬間、目の前にいた道化師が黒い煙となって消える。


「「えっ……」」


2人が素っ頓狂な声を出していると、隼人の左側からから鋭利な爪が迫ってくる。それにすぐに気づいたが、剣で防ぐことも避けることもできずに直撃してしまう。


「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


水滴のような血が飛散する。その場に倒れた隼人の服は地で滲んでおり戦える状態ではない。


「「隼人!」」


「ホホホ、勝てると思いましたか? 所詮は雑魚なんですよあなた方は」


「雑魚? 私たちは弱くはないわ」


「そうですか…… では、一生そう勘違いしていてください」


歩美は翔太がこちらに近づいてくるのを確認すると、両の手に持った剣を構える。


「ホホホ、時間稼ぎですか。 あなた程度なら時間稼ぎにもならないですよ?」


歩美は真実を言われ悔しさから歯をくいしばる。自分にもっと力があったらこんなことにはならなかった。この場所に行きたいと言いださなければ隼人が大怪我をすることもなかった。全ては自分のせいである。だから、こいつを殺して隼人を助ける。


「翔太!」


「歩美……」


「隼人をお願い…… この怪我だと早く病院行かないと助からない」


「でもお前は……」


「誰かがやらなくちゃいけないの! 私のお願いくらい聞いてよ!」


歩美から発せられた覚悟が感じられた。確かに歩美が言う通り誰かがこいつを止めなければならない。翔太は覚悟を決める。


「わかった…… 後は頼んだぞ歩美。 そして、俺からもお願いだ。 生きてまた会おう」


それを聞いた歩美は満面の笑顔で


「ええ、任せて」


と言った。


「ホホホ、感動の別れは済みましたか? それでこれからどうするのですか?」


隼人を担いだ翔太を確認すると、歩美はニヤリと笑う。


「こうするのよ!」


歩美が腕輪に触れた瞬間、体が白く発光し始めた。




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