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重課金者、異世界へ  作者: 微課金者
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転移

科学技術の進歩は半世紀前では考えられない物を世に生み出してきた。

ホログラム投影型テレビ、会話をしてスケジュール管理をしてくれるスマフォ、素材の鮮度を報告してその食材に合ったメニューを教えてくれる冷蔵庫など生活家電も進歩していた。

勿論、昔から人の娯楽を満たしてくれるゲームも進歩して過去に不況時代に陥って居た家庭用ゲーム機もVRの登場で爆発的なヒットになり、現在でも色々なジャンルのVRゲームが発売されている。

そんな時代の中であえてモニター越しでやる2Dのゲームを発売した所が居た。

メーカーは無名で本社も不明、ただメールや電話でのサポートがしっかりしていて、ゲーム内容もほぼ自由度の高いのでプレイヤーに愛されて10年運営しているMMOがあった。


男は10年前に家族を失い、自暴自棄になっている時にそのゲームと出会った。

男はその時までゲーム言うものに触れたことな無く、ただ、今までと違う物に触れて心に出来た虚無感を紛らわせる為に始めたのだが、そのゲームの自由度が男をゲームに夢中にさせるキッカケになった。


そして、10年目を迎える現在、男は薄暗い室内でただ一つの光源となっているモニターの前で黙々とゲームをプレイしていた。


「「レギオン戦 勝利!」」


モニターには1つの勝利宣言の文字が映し出され、それを見た男は深いため息を吐いた。

このゲームは自身のオリジナル部隊を作る事をコンセプトに部隊バトルと他のプレイヤーと共闘して戦うレギオンバトルが存在する。

また無課金だと1プレイヤーで5名のNPCを加えた部隊を基本で課金だと最大59名まで組めるようになる。

またレギオンはプレイヤー1名から最大100名まで所属可能で最大規模のレギオンだとプレイヤー全員が課金で部隊枠を最大まで開けてNPC込みで6000名を超える戦力を有している所もある。

ただこのゲームが人気の理由は人数の多さ=強さに直結しない部分である。

まず基本の5名以外のNPCは課金ガチャでレア度により基本レベルの上限が決まっている。

レア1は80でレア1上がるごとに最大レベルが5増えて最大レアの5は上限が100まで上がり、更に同じキャラで強化が可能で、上限解放1で5レベル上がり、最大+20で100レベルまで上げることが出来る。

その為、レア5よりレア1の+20の方が強くなるのでどこまで強いキャラを所有しているかと、NPCはAIで動くので事前の命令である程度動けるがプレイヤー程、細かい動きができない為、随時、命令が必要となるが、59名のNPCをしっかりコントロールするのが難しため、上位レギオンは限界まで強化した自身のアバターと最大強化のNPC5名〜11名の1〜2部隊で構成されている。


そんなゲームの仕様を無視した男は課金と自身の技術で最大強化キャラ59名の10部隊を巧みに操作して、一人だけのレギオンをサービス開始から今まで無敗の記録を維持していた。


「そろそろ、新しい拡張が始まるとの噂もあるけどどうなんだろうか?」


男は独り言を呟きながらゲーム内の新着情報を確認する。

イベント情報もメンテナンス情報も更新が見受けられず、明日の予定はどうするか模索していたらゲーム内のメールからNEWの表示が現れた。

男にはゲーム内のフレンドは居らず、メールは基本、運営からなので不具合の補填か何かかだろうと思い、メールを開いた。

このゲームの運営は基本、優秀で不具合というものは少なく、前回、メールが来たのは5年前の拠点システムの開放時にレギオンバトル500連勝達成特典で特別仕様の拠点購入券を貰って以来なので正直、男はメールの存在を忘れかけていた。

メールのタイトルは【1000連勝達成記念】と書かれていた。


『レギオンバトル1000連勝達成おめでとうございます。その功績を称えて、主神から「異世界転移のチケット(特)」を送らせて頂きます。贈呈されたアイテムに関する注意がございますのでご確認の上ご使用ください。』と記載されていた。

この運営は自身が神々と言う設定で主神は社長、天使がGM、プレイヤーは神の使い、ガチャNPCは過去の英雄で現地のNPCは現地人と言う設定でメールを送って来るのでその点は男も理解しているので問題は無かったが、アイテムの名前と使用の注意がある点に男は違和感を感じていた。


(確認してから考えるか)


男はアイテムを受け取り詳細を確認する。

アイテムの説明文は『新たな世界へ移動出来るチケット』と書かれていた。

説明文から予想できることは噂のアップデートの新大陸もしくは新世界の体験だと思うが注意書き確認する。

1、当アイテムは所持から24時間で未使用の場合は破棄される

2、使用後は元に戻る事は出来ない為ご理解の上ご使用ください

3、移動の際は所持品などのアイテムは全て引き継ぎ致します。


その3項目のみ記載されていた。

(移動したら元に戻せないのか…けれど引き継ぎもあるし問題ないような気もするな)


新たなステージ、未知の冒険が男にアイテムの使用を決断させた。

アイテムを使用するとPC画面が明るく光、男はその眩い光を浴びて意識を失った。

部屋を真っ白に染める光が治ると残されていたのは真っ黒い画面のモニターと空席の椅子のみだった。







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