2話 ありがとうございます
なろうの使い方がいまいちわからないけどこれから何とかなるだろう
同僚は休暇に入って日々をエンジョイしている。
このまま帰ってこないのが本人にとって一番幸せなのかもしれない。
藤木「こ、ここは一体・・・」
あたりを確認するとおおよそ9畳ほどの広々とした石造りの部屋が目に入った。
藤木が事態を飲み込めず狼狽していると背後から
「ちょっと」と静かな声が聞こえた。
慌てて振り返ると赤い髪を後ろで束ねた鋭い眼光の女性がこちらを訝し気に見ていた。
「名前」
藤木「え・え・え・・・?」
「あなたの名前よ、召喚がうまくいったか確認する必要があるのよ」
この女は何を言っているのだ?
藤木はあまり頭がよろしくない。
通常の人間が〇indows 10だとしたら藤木は93くらいのものだ。
常人でさえこの状況で平静を保てる人間は存在しないのだから
藤木にこの状況を理解しろというのは度台無理な話なのである。
しびれを切らした女が
「もういい、私の名前はエリ。ここはラングという町ね。
それであなたのお名前は?」
藤木はようやく受け答えができる程度には落ち着いてきた。
「ぼ、僕は藤木孝則です」
エリはそれを聞くと少し微笑みながら
「藤木ね、あなたにはこれから私のおもちゃになってもらう。
私の所有物になれるのはとてつもない幸運なのよ、今はわからないとは思うけどね」
藤木は訳が分からずうろたえながらもエリに
「僕はこれから何をさせられるのですか?」と尋ねると
「何もしない、ただ私の望むときに望むことをしてもらう。ただそれだけで生きていけるのよ
とても幸せだと思わない?」
そう返答したエリの目はまるで自分のことを同じ人間ではなくペットをみるような
そんな目をしている気がした。