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毎日がお祭り騒ぎ  作者: なるみ
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序章

初投稿。まったり更新していきます。

「そっち何匹!」

「25」

「くっそー!俺だって負けねーぞ!」


丘を越えて山を越えて谷を超えて。


大きな鉄筋コンクリートの上に少女は立っていた


「さぁ〜。来たきた!」


シュン、と一つ傘を出す


目の前にはこの世のものとは思えない怪物。


いや、しかし。この怪物には少し違うところがあった。


平面。


この怪物達はうすっぺらなまるで一枚の紙のような形で存在していたのだ。


しかし


「おおっとわぁ!」


少女の足元に怪物は襲う。


結構な荒くれ者の様だ。


「やったなー!だったら、こっちも本気で行かせて貰うよ!」


傘を開き、矛先を怪物に向ける


「必殺....!」



「アンブレラマシンガ....」


「待ったぁ!」

「っとぉ!」


今にも傘からマシンガンを打ち出す所だった少女に二人の男児が駆け寄ってきた



「あっぶなー。....ちょっと白ちゃん、黒ちゃん。邪魔しないでよねー」


「ねーちゃん。ここでマシンガン打ったら、また街に弾丸が降り注ぐよ!」

「それがわかったら、ねーちゃんはテロリスト。また、街の人々にとやかく言われるよ」


「あーもう、煩いなぁ!わかったわよ、アイツらだけ狙えばいいんでしょ狙えば!」


「.......」


「ねーちゃん、最初から街全体にマシンガン打つつもりだったのか...」

「ま、その方が手っ取り早いって思ってるんでしょ」


「さぁーてと!」


手をブンブン回し、一呼吸。


「液晶化け物!このアタシ、『液晶物退治屋』の鬼平 にかに喧嘩を売ったのが運の尽きだったわねっ!」


傘を怪物..いや、「液晶物」と名指す物に向ける


その迫力にさすがの液晶物もビビったらしい。


でも、もう遅い



「くらえっ!」



「アンブレラマシンガン!!」




ドンドンドンヒュ-ルルルルドンドンッ!!



傘からは太い弾丸が放たれ、液晶物は一斉に爆破した。


色とりどりだった液晶物はそれぞれの色に爆発し、まるで花火の様に空へと打ち出された




「た〜まや〜!」



今日もまた


大騒ぎの始まりである




「おかえり〜。にか、白、黒!」

「パパ、ただいま〜!」


あれから


液晶物を爆破し、街中が色とりどりになった後。


にかと双子の弟達。白、黒は自宅へ帰った。


鬼平一家は母親がいない。少し前に行方不明になってしまったのだ。


父親、『稲荷』曰く、


「まー、何ていうか?一人旅だよ一人旅」


と、うんうん頷きながら子供達をはぐらかしていた。



鬼平一家は代々、この世界に出てくる怪物、「液晶物」を退治すると言う任務があった。


稲荷も時々、刀を出しては、にか達を手伝ってはいるのだが、最近は液晶物も質より量....らしく、にかや白黒達で充分らしい。


「今日は何匹やった?」


「25匹」

「俺、21!悔しい〜。黒に負けた〜!」

「ふふーん。あんた達もまだまだね。アタシなんか、33匹!」


にかは両指を3にし、前に突き出した


「やっぱり凄いなぁ。お前達は〜♪」


稲荷は子供達をぎゅっと抱きしめる。


どうやらこの父親。結構な親バカらしい


「....ちぇー。ねーちゃんはいいよな!武器があるんだから。俺たちなんかキックだけだぞー!」

「パンチもある」

「そーだけどさ!俺たちもそろそろ、武器ほしいー!ねー、パパー!」

「あんた達には早いわよー。まだ10にも満たないじゃないの。せめてもの20越えたらねだれ」

「ねーちゃんは18じゃねぇか!何でねーちゃんよりも年上になんなきゃいけないんだよ!」

「白。そこ違う」

「それよりもさーパパ〜!アタシの傘がまたボロくなったのー!新調して〜!」


子供達にねだられる父親は少し照れながら頭をかく。


「ん〜。困るなぁ、にかの傘は結構高いんだよなぁ」

「じゃあせめてもの俺たちに武器を!」

「武器をくれ」

「だーかーらー!あんた達には早いっての!!」


夕飯の時頃。ワイワイガヤガヤの一家であった。


今夜の夕飯はハンバーグとポテトサラダ。結構な豪勢なレシピだった(ちなみに父親作)。


そんな時




「稲荷〜!!!」



バァン!!と乱暴に家の戸が破壊された


余程の怪力らしい。戸はあっという間に使い物にならなくなった。


戸の残骸が家の中に降り注ぐ。


しかし、家族は驚きもせず、とりあえずそれぞれの夕飯の安否を確認し、確保した


父はそれぞれのハンバーグ。娘はそれぞれのポテトサラダ。双子の息子はそれぞれのコップとその他漬物。


「夕飯、無事?」

「ハンバーグは大丈夫」

「ポテサラは...っと、あー!ちょっと、ドアノブが入ってるー!」

「よっしゃー!俺の嫌いな人参食べなくて済むぞー!」


「何、のほほんとした会話を繰り広げてる!?ポテトサラダにドアノブ入るのおかしいだろ!?」


ビシィ!と指を指し、ツッコミを始めるのは


ツインテールな眼鏡をかけたまだ幼そうな女の子だった


「やぁ。誰かと思ったら、ちとちゃんじゃないか」

「気安く呼ぶな!私の名前は千歳だ!」


「白、人参は食べろ。...やーやー、液晶物の製作者でアタシ達の敵存在なせんちゃーん!」

「何で説明口調!?ご丁寧にありがとう!そして私の名前は千歳だ!」


「ちぇー。...ちーちゃん」

「とーちゃん」

『こんばんはー』

「はい、こんばんはー。...じゃなーい!何で幼馴染な感じの呼び方してんだ!私の名前は千歳だ!3回も言わせるなー!」


千歳、と名乗る幼女は頭を掻きむしる


「何か用事かなぁ?あ、もしかしてお腹空いたのかな?」

「ハンバーグ、アタシの分はやらないからな!」

「ポテサラ食って!」

「オレンジジュースでいい?」


片付けを始め、再び『いただきまーす』と手を合わせ、夕飯を食べ始める家族。


「キーッ!私が敵存在なあんた達の家に、のこのこと夕飯を食べに来るか!...そこのバカ姉弟達!よくもまた、私の大切な液晶ちゃん達を壊してくれたわねっ!」


どうやら、本題はそれらしい


「うまーい!やっぱパパの料理最高〜!」

「人参...人参....」

「漬物、これおばあちゃんから受け継いだものだね」

「そうかい?嬉しいなー!お前達に褒められるとなー!」

「話を聞けぇぇぇぇぇ!!!」


千歳は食卓を雷親父よろしく、ひっくり返した


※ハンバーグとポテトサラダ、その他夕飯は鬼平一家が美味しく頂きました


「液晶ちゃん?液晶物のことでしょー?あれ、弱すぎ。せんちゃん、もっと強く作ってよね!」

「千歳だ!何で文句を私が言われなきゃならない!?あんたらが強すぎんのよ!」

「嘘っ!?褒められた!やった」

「褒めてない!てか、何であんたらは私の液晶ちゃん達を破壊すんのよ!?」

「だって、それが鬼平一家の代々の任務だもん。ちとちゃんだって代々液晶物を作って俺たちを邪魔するのが仕事なんだろ?」

「千歳だ!...そーだけど、私にとって液晶ちゃんはペットみたいなもんなのよ!破壊されて、私は悲しいったら、ありゃしない!」


また、キーッ!と頭を掻きむしる千歳。


「ちとちゃんの気持ちもわかるよ。でもねぇ、ちとちゃん一家の作る『液晶物』は街の人々にとっては、とても迷惑な存在なんだよね」

「千歳だ!何処が迷惑している!?液晶なんて、普通の住民には見えてもいないだろ!」


『液晶物』とは、前述した通り、平面なので普通の人には『なんだか変だな』風にしか思われてないらしい


「今日、住民の頭、噛んでた」

「見えてねーけどその人、すっげー迷惑がってた!」

「痛みは無いはずだっ!」


「あれでしょ?ブンブン頭の周り回って、鬱陶しいってやつでしょー」

「蝿扱いするなっ!」


ひっくり返った食卓を戻しながら、家族は片付けを始める


「とにかくさ、アタシ達は街の人々が迷惑がってるぶつを倒してる正義の味方なのー。悪の軍団はハンカチを口に加えて、キーキー引っ張ってればいいのよ」

「何時の時代の悪役だそれは!?...ふん!とにかく、今日の所は引き返すわ。私たち一家は諦めないからねっ!いつか




この世界を液晶化させることをっ!」


じゃあねっ!とずんずん、千歳は足音を立てながら帰って行った



「....行っちゃった。夕飯位、もうひとつ作ってあげれたのになー」

「てか、まだ諦めてないんだね」

「黒、ちーちゃんは何を諦めてないって?」

「白、忘れたのー?せんちゃん一家は『世界液晶化』を実現させようとしてるのよ」

「あー、そうだっけ!」


『世界液晶化』。その言葉は千歳から耳にタコが出来るほど、鬼平一家は聞かされていたのだ。


この世界の建物、人間、そして世界....全てを『液晶化』。つまり二次元世界にすると千歳は豪語している


しかし、その野望は未だ叶えられている兆しもない


「せんちゃんも飽きないねー。世界をペラペラにして、何が楽しいんだか」

「ちとちゃんだけじゃないよ。ちとちゃん一家、俺の時代から世界液晶化計画は豪語されてきたんだよ」

「へー。でも、パパ。そんな話今初めて聞いたぞー?」

「きっと、ずっと研究してばっかで活動してないんだよ」

「その通りだ、黒。ちとちゃん達は世界を液晶化させる為の研究に液晶物を作ってるんだ」

「退治屋のアタシ達にとってはとっても迷惑ー」


殺伐とした夕飯タイムは終わり、各自自由時間を設ける


姉弟はテレビをつける。ワイドショー番組で、『最近の世界のこと』を専門家達が切羽詰まった様に話し合っている


「はぁー。こっちはこっちで大変よねー。世界はどこにも平和な所は無いのか」

「それが、世界ってものさ。戦争やテロというものは全部自分が正しいと思ってやっているものなんだ」

「自己中な奴らばっか」

「仲良くなればいいのになー」


「お前達は偉いなぁ。だけど、人間ってものは誰もかもが良い人ってわけでもないんだよ。俺たちだってちとちゃん達と争ってるじゃないか。あれもひとつの戦争だよ」

「そうよね。めんどくさい時代になったなぁ」

「めんどくさい...か。確かに。そうかもね」


父、稲荷は紙に何かを記している


「パパ。また、日記?」

「そ。毎日、何か起こって楽しいだろ?それに、お前達の活躍ぶりも記しておきたいし」

「パソコン使えばいいのに」

「パパは機械音痴でさー。未だに携帯も使いこなせないんだ」


てへ、と頭をかく。


中年....には見えない。にかと同じ位の背の高さで、長い黒髪。父親稲荷は見た目は女性。頭脳は大人...


「その名は、退治屋鬼平!」

「どうしたの、パパ」

「いや、何でも」


稲荷は座り直し、冷凍庫から取ってきたチューペット(ソーダ味)を口に加えた


「あ、パパずりぃー!俺もアイス食いてぇ!」

「まだ冷凍庫に残ってるよ。賞味期限切れる前に食べな」

「パパ。アイスに賞味期限は無いよ」

「あ、そうなの?知らなかったな〜」


姉弟も冷凍庫からチューペットを取り出した。にかはオレンジ味、白黒はぶどう味を二つに分けて食べていた


「かーっ!頭にキーンとくるー!」

「黒!お前の方が長ぇぞ!」

「パキって折れるから、運任せだ」


わいわいする姉弟を他所に父親、稲荷は日記に手を出す



『2150年 7月12日。今日もまた鬼平一家は賑やかだ。にかも、あんなに小さかった白黒も1人前の退治屋になってきた。父親として、これは嬉しい。今回の感想としては、そろそろ白黒にも武器を持たせたい...かな?』


文を書き、一度目を走らせた後、こう書き加えた


『ただ、前よりも液晶物が増えてきた気がする。これはそろそろ、俺も準備し


ポタリ


「アッ-!日記にアイスがぁー!」

「食べながらやるからだよ」


あちゃー、と日記を拭いても、先程の一文は滲んで消えてしまった


「.....ま、いいか」



稲荷は頭に少しでも掠った不安を忘れた。









見てくださり、ありがとうございました。

鬼平馬家族をこれからもよろしくお願いします。

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