勇者と魔王
「えええええ、何? つまり俺ってもう強くなれないの?」
「そうですね」
「マジか」
「モンスターと戦えないのでレベルは上がりません、出来る事は体力を上げる事と魔法を覚える位ですね」
魔王としての自覚が少しずつ芽生えてきた俺は、やはり魔王なんだから最強じゃなくてはと、レベルアップを謀るべく、ベルに相談したところ、自分のレベルを上げる事は出来ないとの返答が帰ってきた……ええええええええ?
「じゃあ向こうはドンドン強くなるのにこっちは全く強くならないっていうのか?」
「マスター自体はそうですね」
「なるほど、そりゃいつかは殺られるはずだ……」
魔王って、そう言う運命?
「いえ、恐らくマスターは最強です、前マスターよりも」
「え?」
「使い魔の召喚です、マスターは毎日召喚されていますので現時点でこの城の周辺は最強の布陣が出来ております、少なくとも誰もここまではたどり着けないでしょう」
「そうなの?」
「はい、マスターが生み出したモンスターの繁殖力は強烈で、城周辺は現在モンスターだらけで近寄るのは困難な状態です、ただ餌を求めて移動したモンスターも少なからずおります、周辺の町ではモンスターが増えた事によりマスターへのヘイトはかなり増しておりますが……」
「そうですか……」
「後はマスターの使い魔召喚の精度が上がれば私の様な命令を聞く使い魔がもっと増えると思います、そうすれば魔王軍が再建出来ます、魔王軍が再建されればマスターは史上最強の魔王としてこの世界に君臨するでしょう」
「魔王軍?」
「はい、前マスターも魔王軍を長い年月をかけて作られました、私が召喚された時は既にマスターは高齢の為にあまり召喚は出来なくなっておりましたが、それでも軍は最強でしたので度重なる勇者の攻撃にも耐えきれました」
「でも軍は崩壊したんだよな? それだけ相手は強くなるって事だろ?」
「そうですね、でも勇者はは長い年月を重ねて強くなりますが、マスターの使い魔召喚ではそれと同等な、いえ、それ以上の使い魔を1日で生み出す事が可能です」
「なるほど……、まあ今の所うまくいかないけど」
「いえ……まあ、まだ魔王になられたばかりですので、慣れていけば必ず思った通りの使い魔を召喚出来ると思います」
「そうだと良いけど……」
俺は勇者学校の事を思い出していた、あそこからいつかは俺を狙って来る者が誕生する、俺をここに追いやった校長に一矢報いる為にもあそこの出身の奴には負けるわけにはいかない……
「でも魔王を倒すと経済が麻痺するって分かっていてなぜ魔王をねらうんだ?」
「マスターは何故勇者になりたいと思いになられたんですか?」
「そりゃ魔王を倒して英雄になってハーレムを築く為に……」
「……それですね、誰もが名を上げたい良い生活をしたい、目標があればそれを目指したい、それには強い防具を買い、強い剣を買う、レベルを上げる為にモンスターを倒す、モンスターは金を集める、経済が活発化する」
「経済活動の頂点それが魔王です、そして目標でもあります」
「マジ……か」
「はい、現在マスターがこの国を、この世界を動かしております」
「なんてこった……」
俺は頭を抱えた、なんか魔王って言ったら悪の化身、諸悪の根源ってイメージだったんだけど……まあ俺が生み出したモンスターにやられた家族はそう思うだろう、だからといってモンスターが生まれなければ経済が成り立たない……
「元々モンスターはおりましたが、金を集める事はしない何の役にも立たないただの危険な動物でした、そしてそのモンスターは魔王様のモンスターにより殆どが駆逐されたのです、魔王様が居なくなればまたそのモンスターが増え何の経済効果も無い意味の無い戦いが増えます」
「俺がこの世界を握っているって事か?」
「はい、それを知っている者は多数おられます、校長もその一人で、前マスターとも交流がありました、なので前マスターは校長に、ここの鍵を託したのでしょう」
「そうかな~~? あいつは多分自分の身の事しか考えてない気がするけど」
「にぃに、あのねみぃたんが」
「ん?」
「みぃたんがお庭でがおおおおって」
「は?」
俺は窓から中庭を見る……うげぇ
「みいいいいいいいいいい」
火炎放射の様な炎を吐くみぃがそこにいた……えええええええええ?
「なんか変なものがあったの、それをみてみぃたんが」
「外から何か紛れ込んだのですね、ここを調べる為に使い魔の様な物を送った者が」
「それを焼き払っていると?」
「はい、みぃはああ見えて知能も高く、魔力もかなりの物を秘めております」
「そ、そうなんだ……」
俺は中庭で炎を吐き出しているみぃを見て、自分の力が少し恐ろしくなっていた。
しまった、これ異世界ファンタジーじゃなくて
異世界ラブコメですよね……
ああ異世界恋愛ならランキング載れたのに……ミスった~~~
もうダメぽ……orz