命名
「おはようございます……」
「…………ん」
誰だ? ああそうだ、確か俺は昨日魔王に就任したんだ、シモベのベルが起こしに来てくれたか……
「おはようございます、マスター……」
うっすら目を開けると、金髪の美女が俺の目の前に……
「う……ん……」
ううう、身体が……重い、起き上がれない……やっぱり……昨日の疲労が……
「おはようございます……ロリマスター」
「!」
「誰がロリマスターだ! 俺はロリコンじゃねえええええええええ!」
ベルのその言葉に俺は重い身体を無理やり起こし…………ああそうだった……
俺の身体の上には、モフモフちゃんを抱いた裸の幼女が乗っかっていた……
「う……ん……にぃ~~に……」
「みぃ……」
「えっと……いや、昨日」
「昨日はお楽しみだったようですね、お食事のご用意が出来ておりますマスター」
「いや、楽しくはって、何もしてないぞ、風邪引くと思って毛布をかけて隣で寝かしてたのにいつの間にか俺の上に」
「にぃにおはよ」
「みぃ」
「ああ、うんおはよ……」
モフモフを小脇に眠い目を擦りながら猫耳幼女が俺を見てにっこりと微笑む、その可愛さに……いや俺はロリじゃない、俺はロリじゃない……
「本日お食事の後は魔王様としての知識や立ち振舞い等を僭越ながら私が御教示させて頂きます」
「ハイハイ、まおうのおしごと! ですか……、将棋でも指すか」
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食事を済ませ魔王のお勉強と相成った。
ううう、本来今頃は勇者になる講義を受けているはずたったんだが……
「マスターまずは昨日誕生したシモベの命名をして下さい」
「命名?」
「はい、お側に置いておくならば名前を付けなければ始まりません」
「そうなの?」
「野に放ちモンスターとしてならば必要ありません、むしろ名付けてはいけません、しかし使い魔としてマスターと共に生きていくならば、名付けて教育をします」
「家畜とペットみたいな物か……」
「にぃにとモフモフ~~」
俺の隣でモフモフを抱きながらお絵かきをしている幼女を見つめる。
今は全裸じゃなく俺のシャツを着ている、シャツは現世から持って来た物だ。
元々荷物は大きめのリュックに入れてあり、昨日緊急でこちらに来ることになった為に寮にも入る前だったのでリュック毎こっちに持って来ていた。
「教育は私が致します、マスターの使い魔として恥ずかしくない教育を」
教育ママの様な目で幼女を見つめるベル……
「まだ小さいからお手柔らかに……名前か……」
モフモフしてるのは昨日この子がみいたんって言ってたからみぃで良いか、この子の名前……猫耳幼女……
「うん、モフモフはみぃだな、でこの子は……リンクスかな」
「リンクス?」
「山猫って意味」
俺はリンクスの頭を撫でる、サラサラとした髪を触ると耳がピクピク動く
「髪サラサラだなぁ、うん……略してリンスでいいや、な、リンス」
「モフモフ~~」
「みぃぃ」
「畏まりました、みぃ! リンス! あなた達は今日からマスターの正式なシモベです、命令をしっかりと聞き、NOは許されません、分かりましたね」
「ふえええ?」
「みぃぃぃぃ」
「分かんないだろ特にみぃは」
「いえ、何事も初めが肝心です!」
「そうですか、ベルは厳しいな~~」
「マスターももっと魔王としての自覚を持って下さい」
「はーーい」
「返事は短く!」
「は、はい!」
あれ? 俺主人だよな? なんか尻に敷かれてる旦那みたいなんだけど……
「それでは魔王としてのご教示をさせて頂きます、まずそちらをご覧になってください」
俺の魔王としての生活が始まった……