モフモフと幼女と俺と
「モフモフ~~~にぃにモフモフ~~~」
俺の目の前で背中迄伸びた長い栗毛の髪、頭の上には猫耳が生えている小学生低学年以下に見える裸の幼女がモフモフした何かと戯れている、戯れているので裸は見えてない、いや興味もないんだけど……
「ああ、そうねモフモフだね……」
「みぃ」
「にぃに~~みぃって、みぃたんモフモフ~~」
「ああそうだね……」
俺は物凄い体力の消費で凄まじい疲労に襲われ肘置きに両手を置き身体を支えている状態だ。
「マスター、大丈夫ですか?」
「いやさすがに……ちょっとヤバい……」
「お休みになられた方が」
「そうだ……ね」
俺はベルの制止を振り切ってもう一度使い魔を召喚した、今度はしっかりとイメージをした、バスト95ウエスト58ヒップ98、年は22歳位の黒髪美女を、そして出てきたのは……
「にぃに~~~モフモフかーーいーの、モフモフ~~」
「うん……かーーいね……」
小さい羊の様な猫の様なモフモフした動物が召喚された……
感覚的に一度の召喚がフルマラソン1回分の体力消費と同じ様な身体の状態と同じだったので、今日俺は80キロ以上走った時と同じ体力消費……いやそれを短時間に消費したとなるとそれ以上の疲れが俺の身体を襲っている。
フルマラソンを短時間で2度走って得たものが幼女一人とモフモフ一匹……
「みぃ」
「な、な、な、なんでだああああああああああああああ!」
俺今度はちゃんと、ちゃんとイメージしたぞ、黒髪美女を、俺より少し年上で甘えさせてくれる様な超絶美女だ、なのに、なのに何故、何故こんなモフモフした動物が召喚されるんだ!
「おかしい……何故なんだ……畜生……もう一回……」
「いけませんマスターこれ以上は命に関わります」
「いやでも何故幼女に小動物なんだ? なんだ誰かの陰謀か? 前魔王か? 校長か? それとも」
「マスターの深層心理におられたんだと思います」
「この幼女とモフモフが?」
裸の幼女がモフモフと戯れている、うん、絶対に現世じゃ無理だなこれ、間違いなく捕まる奴だよ……それを俺が欲していたって? いや絶対に無い、あり得ない……
「はい、表で思っている物と裏で思っている物、どちらもマスターの欲している物でございます」
「そんな、俺はもっと美しい、ベルの様な女性が欲しいんだ!」
「マスター……そんな」
顔を赤らめるベル、あ、いや……まあベル……綺麗だし……
「えっとまあ、それは置いといて、裏の方が出てきてしまうのは、なんでだ? そういう物なのか?」
「より強い思いの物が召喚されたのかと……」
先ほど赤らめた可愛い顔がまた冷たい目の真顔に戻る……
「いや、そんな……こんな事って、え? 俺はもっとこう美女だらけのハーレムに、でも、どうやったら……これじゃ、このままじゃ俺はロリとモフモフしか生み出す事が出来ないのか、ロリハーレムが出来てしまうって事なのか?」
「アレス魔王ではなく、ロリ魔王と改名致しますか?」
「しねーーーよ!」
「それではこの幼女と動物は処分されますか?」
「え?」
「先ほど申し上げた通り必要とされないのであれば、野に放つか処分するかのどちらかになります」
「にぃに~~ねむい~~~」
「え、いや、そんな処分って」
「餌もお金も自ら取りにいけない、マスターも必要としていないなら処分しか」
「にぃにとモフモフと寝るぅ」
「駄目だ!」
「マスター?」
「そんなの駄目だ」
「畏まりました」
「あ」
「私はマスターご命令通りに動くだけでございます、マスターが駄目と仰るならば私は何も申せません」
「ベル……」
「ですがマスター、あなた様は今魔王としてこの世界に君臨されております、今後必ず冷酷な判断を下す事も出てくるかと思います、それをどうか覚悟しておいて下さいませ」
「あ、ああ」
「では今日はどうかお休みくださいませ、私はこの辺で自室に下がらさせて頂きます」
「ああ、お休みベル」
「お休みなさいませ、マイマスター」
ベルが丁寧にお辞儀をして部屋から出ていく……何か忘れて……あ! ちょっとベル、これ、この幼女!
俺は慌てて外に出るがベルの姿は既になく……
「しまった……部屋の場所を聞いていなかった」
無数にある部屋を探す体力は既にない、気配を感じられるあの椅子に座って索敵の様な事も出来るんだが、多分今やったら確実に死ねる……
モフモフした動物と抱き合って寝ている幼女、このままここに置いて俺だけ寝室のベットに寝る分けには行かない……俺はBAN覚悟で幼女とモフモフを抱き、ふらつく身体をなんとかしながら、よろよろと寝室に歩いていった。