普通になりたい
私は昔から霊感が強かった。
家が神社という事もあるのだろう。
普通の人には見えない。いわゆる。霊というものが見えてしまう。そのため小学生の頃から回りに気持ち悪がられていた。
見たくて見ている訳ではない。
普通の人が見えるように見えてしまうのだ。
高校生になって私は、私の事を知らない高校へと進学した。
今までの経験を生かして普通の女子高生になると決めたのだ。
ムシムシ❗
歩いていると。あっちの方から寄ってくる。
(聞こえてるんでしょ⁉️私を助けて)
私は聞こえないふりをする。
幸いにも悪霊と呼ばれるのは近寄ってこず
天国へと上りたい霊だけが寄ってきていた。
(ねぇ~。ねぇ~?)
私は小さな声で
(話しかけないで!天野神社で待ってて。)
と言うとまた歩きだした。
「おはよう!」
何事もなかったようにすれ違う友達に挨拶をする。
そう‼️私が求めていたのは普通の生活❗
霊とは、さよならして楽しい高校生活を送る事。
普通に友達と遊んで服を買いに行って
そして素敵な彼氏を見つける事。
もう、過去の過ちはおかさない。
霊を見ても深入りしない。話しかけない。
自分の気持ちを改めて確認すると
うん!と力強く頷き、また歩きだした。
「ねぇねぇ~。天野さんだよね⁉️一緒にお昼食べない?」
初めて声をかけてもらった。
私は嬉しくて笑顔でうん。と答えた。
初めて友達が出来た。
なるべく平静を装う。
教室は思いのほか霊が多い。
お昼を食べながら時折手で払う。
「どうかしたの?天野さん。」
周りを見渡して私の事を方をみる。
慌てて首を振る。
「ちょっと虫がね…」
とごまかした。
私の楽しい高校生活は先が長いと思い知った。
それでもできる限りさ迷う霊を助けたいと思う気持ちはあり
皆に聞こえないように神社へと導いた。
導いた後は、巫女の姿に着替え、誠心誠意、霊をあの世へ送る為の舞をおどる。そして父がお経を唱えあの世へと導くのだ。
「ごくろーさん。今日は多かったな!」
父さんが少し疲れた声でで私に話しかけてきた。
「ごめん。高校って思った以上に多くてさ。」
巫女の帯を緩めながら答えた。
「後は片付けとく❗お父さん先に上がって。」
そう言うと父さんはよろしくなっと片手を上げてでて行った。
私は、雑巾を絞ると床をふきはじめた。
(あぁー今日も疲れたなあ~。でも友達出来たし仲良く出来そう。)
フフっと笑った。
その瞬間天井から何かが降ってきた。
キャッ❗
慌て頭かかえる。
しばらくして、頭を上げる。
周りを見渡すが何の被害もない。
(気のせい?)
そう思い立ち上がると裾が重い。
振り替えると一体の霊が私の裾を掴んでうつぶせで倒れていた。
ヒーッ❗ちょっと勘弁してよ。
慌て振りほどく。
(たすけて下さい。)
ボソッと声が聞こえた。
顔を上げた霊はまだ若かったが顔の1/3が黒くなっていた。
一瞬あとずさりする。
霊の顔が全部黒々なると悪霊に変わってしまうのだ。
(助けて。)
たくさんの霊を見てきたし、助けてきたが、彼以上に切羽詰まった霊を初めて見た。
霊なのに目に涙を溜めている。
私は、はーっと。タメ息をついてその場に座り込んだ。
「でっ❗」私にどうして欲しいの?」
ちゃんと向き合うと以外にイクメンな事にびっくりした。