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止まった世界+ボッチはつらいよ

さぁわかっていただけただろう、俺は四年後の今日、やつがお迎えにくる!それはどこからかわからない、これ以上窓を壊されるわけにもいかない。だからきょうはくまなくチェックをする。


「二階、よし。食堂、台所、便所、居間、すべてよし!」


さぁて、異常なく窓の損失もない、さっそく「家の中で動くもの」を見つけよう。なぜか影との一見の後、また動かなくなり元に戻ったらしい。せめて窓は元に戻ってほしかった。


だがおかしい。何がおかしいかというと、この四年間何もそれ以外なかったということだ。それは監視されてるがゆえの恩恵と考えるべきなのだろうか。もう絶対推測のだんかいじゃあないしなぁ。


「同士~、眉間にシワ寄せて妄想とは・・・さすが高校生だね」


「うお!」


急に後ろから例の低く濁った男の声をかけられその方向をむこうとしたらスピンするように体を曲げてしまい、背骨から不穏な音が出てしまった。


「そりゃ異邦人は食ってうんこしてナニ抜けば一日終わるからいいかもしれないけどねぇ、私としてはたとえ任務であっても必死にオカズを妄想する高校生の姿を見たいとは思わないんだけど」


「不法侵入したのはどこのどいつだ!あと俺は中学生だ!」


「あ、そうだったね、どうりで四年たつのに『髪』すら伸びないわけだ」


「黙れ!っていうかキャラ少し違うだろ!」


「そりゃぁ君、四年だよ?四年たてば誰だって変わるさ」


そういわれるとこいつ、なんか俺の影なのに俺より背が高くなってないか?声は変わらずとも体の節々の肉付もよくなってるぞ?


「さて、君?お迎えの前にやることあるだろ?」

「あ?」


「またまた、わかってないと思ってるのか?よっ、思春期ボーイ」


「そんな意味の分からん茶化しされても分からん」


「ほらほら、これあげるよ、君んちのだけど」


「ハンカチ?いらねぇよこんなの・・・意味わかんねぇこと言うな」


「礼儀だよ、人だろうが神だろうが会う前にはきちんとした礼儀が必要なはずだよ?」


「うるせ・・・・」


「君さ、元敵が言うことじゃないけどさ、頑張ったよこの四年間。理性を保って生きてこれたんだ、私だって難しいね、ほらハンカチ、君んちのだけど」


「今度は褒めんのかよ、意味の分からんやつ」


「まずその『涙』を拭かなきゃね?」


「・・・・・」


「そりゃ君、四年間君と話す人は誰もいなかったんだ言いたいことはわかるよ?すごい、よく頑張ってくれた、これで私は救済を受けることができる、そこは感謝するよ。だがこれから会いに行くのは親しい友人じゃないんだ、君は神に会いに行くんだよ?同士よ」


「・・・・」


「君はもう異邦人じゃない、これから八宇治様の臣下として奉公するんだろ?」


「なんだその身売りみたいな言い方は」


俺はそれを聞いた後、涙を拭き湧き上がる感情を口に出さないよう抑えていた、それは感情で言うなら歓喜、安堵といったものだ、だがなにかはなさないとつい口から出てしまいそうだ。


「っていうかわかったわ、俺と初めて会ったときした時のお前、猫かぶってたろ?」


「ばれた?」


俺は会話をやめ、ハンカチにありったけの涙と鼻水をこすりつけそれを影に返した、その時影は「キタネッ」といったがお構いなしに返した。


「それでは行くか?同士よ?」


「ああ、行くしかないだろ俺はもうこの世界の異端じゃないだろ?」


「そうだね、もうこの世界の一員だ」


そういって玄関に行く、そこは今まで一度だって『閉じた』ことにない扉があるはずだった。それが現実でこの世界の常識でもあったはずだ。時にはそれに涙し、そして絶望した。もう『当時空を飛んでいた虫』も防げないこの扉は、家主が家を離れようとしているにもかかわらずがばびらきだ。


「どうする同士?」


影がこちらに口だけ?微笑みかけてきた。


「なにをよ?」


「いや、もうここに帰ることはないけどさ『鍵』閉めとく?」


そういって影は玄関に長年おいてあった鍵を手に持ちこちらに差し出した。


「はっ、そんなのひつようないだろ?」


「いいや、覚悟の表れさ、同士」



「面倒だ、お前がやれ」


「はいよ、じゃあサッサト外に出てくれ」


そういうと影は俺の靴を触った。すると陶器のようだった俺の靴は魔法が解けたように、氷が融解したように感じた。いや、現実だろう。


「・・・はは、動くじゃん、この靴、馬鹿みてぇに軽いし」


「靴は靴だからねあたりまえじゃね?」


「だな、あたりまえだわ」


「さ、馬鹿言ってないで腹くくれ、もうすぐ来るよ?迎えがね」


そういって彼が鍵を閉めた。閉めても開くことはないだろう。


「お前はどこまで一緒なんだ?」


「お迎えしてから八宇治様への報告まで、そこからは別行動さ」


「こんな全身タイツ芸人と、そこまでいなきゃいけねぇのか」


「もとをただせば私は君なんだが、自意識過剰スカ?」


こいつ、そういえばそうだったな。


「ほら、来たよ」


「は?来たってどこだよ?」


「それだよそれ蟻」


「・・・・は?」


「アリだよ」

「・・・確かに地面に蟻がいるな、珍しいな動いているなんて」


「まぁ我々の同士だからね、彼らも八宇治様の下部さ」


「そうか、すごいなハチウジ様は、で乗り物は?」


「ないよ?」


「・…馬鹿にしてるのいかてめー!」


すかさず俺の蹴りが影をくの字に曲げる。


「ちょ!痛!いや!暴力!暴力反対!」


「殺しにかかってきておいてなにいってんだてめ!仕舞には暗闇に放り出すぞ!」


「やめて!違うから!あれだから!その蟻が道作ってくれるから!それで五分足らずだから!」


「そんな〇太郎みたいなことあるかー!」


ボコッ!それは地割れにも聞こえたが近くには見当たらない。だがその音はなんだか複数個所から聞こえてくる、ガリガリとも、ポロポロとも、聞こえてくるのだ。そして皆、なんだか近づいているのがわかる。


「ん?」


「ほら!キター!」


刹那、道路のコンクリートに軽自動車のタイヤほどの塚?山?のようなものができ一気に崩れた


「ミチミチミチミチ」


「ん?ん?んんんんんんん?」


出たのは蟻だ。それも巨大な蟻の頭だ。


「デカ!キモ!おういおいおいおい!どんだけ八宇治様センスねーんだよ!」


「きみ自分のボスになる人にその言い方はいかんせんどうなんだ?めちゃ失礼よ?」


「え?まじで?ここ通るん?」


「うん、彼らのあとをついていくのさ」


「いやほかの方法あるでしょ!そうしよ!?」


「えー、それは『本部申請』すればあるけどさー本当にいいの?ハエとムカデとネズミどれがいい?」


「・・・それ以外は?」


「アブラセミ、ゴキブリ、ジョロウグモ、マムシ、かな」


「蟻で行きます」


「そうだろうね」



俺は結局、ゲームに出てきそうな推定二メートルの高さはある蟻の軍団の作った巨大洞窟を進んでいる、蟻が俺に危害を与えることはなく、自らの作業に従事するのに必死といったご様子だ。だがその作業の中ギチギチと間接の音らしいものが聞こえてきてとても不快になる。


「まぁ、慣れだよ慣れ」


「はは、しかし八宇治様ってのはどうやってこいつらの親玉をやってんのかねぇ、蟻語でも話せんのが?」


「んー、同士は少しこの世界について知っておかなければいけないようだね、いいかい?この世界ってのはすべてが八宇治様のためにあるようなものなんだよ、だからこいつらは『八宇治様』のために奉仕しないと存在できないんだよ同士」


「それはなんとなくわかっけど、だが、こいつらは救済を受けるんだろ?それも八宇治様のためのものか?そもそも救済とはなんだ?」 


「救済は八宇治様が奉仕するため姿を変えるために与えられた力を返すことで、八宇治様を存続させるために行い、そして返した奴は元の場所に帰る、それが救済さ」


「え?じゃあ奉仕さえすればこの世界から帰れるのか?」


「そうだね、そして奉仕っていうのは八宇治様からの『命令』をなんでも一つ聞くことさ」


「え?それだけ?」


「そ、それだけ」


「じゃあ、このアリたちは?」


「さぁ?」


「はぁ?さっきなんでも命令を一つ聞けば解放されるって言ったじゃねぇか!」


「同士、それが『いいというまで穴を掘り続けろ』だったら?」


「!?」


なんよそれ、無茶苦茶じゃねぇか、ということはこの世界に場合によっちゃ何十年もいなくちゃなんねぇってことかよ・・・。


「わかったかい?」


「それじゃなんでもありじゃねぇか!」


「アリだけに?」


「洒落じゃねぇよ!」


「わかってる、でもこれで分かったろ?八宇治様の恐ろしさが」


「いやわかんねぇ!わかんねぇわ!何がわかんねぇってなんでそいつの元にならなきゃいけねぇのかがわかんねぇよ!意味わからん!帰るわ!」


「まぁまぁそうい」


「いやふざけんなよ!そんなブラックいくわけねぇだろ!頭沸いてるんのか!?死ねよっつぅかお前がいけ!俺帰るから!」



「どこへ?」


「は?家・・・・鍵返せ!」


「はい」


そういわれ鍵を返された。


「じゃあな・・・っちくしょ~」


「落ち着きなよ同士、だから言ったろ?『覚悟の表れ』って、もうわかっているはずだよ?大人になれよ」


「・・・まだ中学生だ」


「おとなになりなさい」


「・・・っぐっそがぁぁぁぁ!」


少年は年齢相応の反応をし、駄々をこねるように叫び、影を攻撃する。影はそれにされるがまま攻撃を受けるがそれが優しさからくることくらい、この止まった世界で四年間感じられなかった同情なくらい少年にもわかっていた。



だがそれも長くは続かなかった。少年は馬乗りになり影を攻撃するも次第に力尽き、そして最終的には息を切って止まった。


「はぁはぁ、っくそ」


「やっと疲れてくれたか、ハンカチで拭いてあげるよ君んちのだけど」


おかしい、おかしい、俺はこんな目に合うようなことはしてねぇはずだ!なんでなんだよ!


「…同士、きみはもう忘れたのかもしれないけど君は契約する際に自分はどんな形で奉仕するかを誓ったはずだよ?」


「・・・誓った?奉仕しに行くのはお前から聞いているから知っているけど」


「死んでいるときにだよ」


「・・・しらねぇ、じっでいる分けねぇだろぉぉぉぉ!」


「わかる、わかるよ、同士、死人にしかわからないことだってのはね・・・そうじゃないと八宇治様も脅迫する力がないからね」


「・・・最後よく聞き取れねぇぞ?」


「ま、この世界ってのは八宇治様の思うがままとさえ、今はわかってくれればいい、そして救済はこの世界から脱出するただ唯一の方法さ」


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