少女、気遣い
「ぬう…………腰が痛いな」
そう言ってボスは馬車から降りた、無事帝都に到着することができた。
「今日は宿に泊まりたい………」
「安心しろ、城に泊まることができる」
そう言ってエディターが馬車から出てきた。
「つーか本当にお前の推薦があれば武闘会に参加できるのか?」
「まあ、無いよりはマシだと思うぞ?」
「そうか、まあこんな遠い所までわざわざ来たんだ、何としてでも参加させてもらうからな」
そう言ってボスは王のいる城に向かった。
―――――――――――――――――――――
「ふむ、武闘会に参加、か…………」
相変わらずおっかねえジジイだな、そう心の中で呟いたボスは、王に顔を向けた。
「は!是非とも私に武闘会の参加させてください!」
ボスがそう言うと、エディターも続いて言った。
「私からもお願いいたします!この者に是非とも武闘会に!」
ううむ…………王が唸り、首を傾げながらボスに聞いた。
「軍師よ、何故に武闘会に参加したいのだ?」
「は!それは、武闘会に行けばこの国の武官や貴族、または王族に顔合わせの機会が生まれるからです、また、この国の軍事を知るにもいい機会だと思いました」
「左様か…………まあよい、その軍師の腕、しかと武闘会で披露なされよ」
「は!ありがとうございます!」
そう言ってボスとエディターは謁見の間から出て行った。
―――――――――――――――――――――
「いやー、参加できてよかった」
城下の居酒屋でボスが安心したように言った、するとエディターが少し不満そうに言った。
「ああ、確かに参加できてよかった、だがお前は貴族だってことを自覚したほうがいい」
「は?なんか貴族らしくないことしたか?」
「ああ、普通は王に頼み込んだりはしない」
「なぜ?」
「恐れ多いからだ、今回は王も承諾してくれたからいいが、普通はしない」
「いやいや、だってお前が言ったんじゃん、参加できるかもって」
「確かに言ったが、まさか王城にまで乗り込むとは………」
そう言うと、いつの間にかボスが注文したエールが届いた。
「お待たせしましたー」
「きたきた、とりあえず俺は飲む、この話はやめよう」
「そうだな」
そう言うと、エディターが立ち上がった。
「飲まないのか?」
「悪いがこのような所ではな、汚くて」
「ふん、貴族め」
「お前もだろ」
そう言ってエディターはスタスタと店から出て行った。
「あ、アルシー屋敷に置いてきちまったけど大丈夫かな?」
「大丈夫じゃないですよ」
隣から声が聞こえ、向いてみるとアルシーが仏頂面で座っていた。
「あれ?アルシーなんでここにいるんだ?」
「女中さんに頼んで馬車を出して貰いました
、まさか置いていかれるとは思いませんでしたよ」
「完全に忘れてたよ」
「もう!一応私あなたの御主人様なんですよ!」
「それも忘れてたわ、尻尾を引抜けばなんとかなるかな?」
「なりませんよ!左目に魔法陣かいてあるんですから!」
そう言われてボスは左目に手をかぶせた。
「やば、そういやそうだった、眼帯てもすっかな?」
「そう言うと思って道中買ってきましたよ、はい」
そう言ってアルシーはボスに眼帯を渡した。
「お!気が利くな!」