少女、新しい風
「ん、便所?」
エディターが久しぶりに元自分の領土に戻った時、公衆便所と書かれた謎の建物の前で首をかしげた。
「なんだこれ?あいつは何考えてるんだ?」
そう考えていると、一人の町民が公衆便所から出てきた。
「あ、そこのお前!」
「はい、何でしょう?」
「これなんだ?」
「便所です」
「この建物すべてが便所だと言うのか?」
「はい」
わからん、建物まるまる1つ便所にする理由がわからん。
「………ちょっと話してくるか」
―――――――――――――――――――――
「おい、お前!」
領主の館のドアをあけ、執務室に直行し、開閉一発目にエディターが言った、すると書類を書いていたボスが顔をあげた。
「あ、元老院いったエディターじゃないか、忘れ物か?」
「違う、お前に説明して欲しくて来たんだ」
「何の?」
「公衆便所って建物、何だありゃ」
「皆の為の便所だ、そこら辺にいっぱい立てたぞ」
「なぜそんな物を立てた?」
エディターが質問すると、ボスはやれやれ、と首を横に振った。
「道が糞まみれじゃ病気が蔓延する、さらに人々の往来も少なくなる、往来が少なくなると街に金を落とす奴らは少なくなる、すると商人は儲からないから出て行くだろうな、今までどうやって稼いでいたか知らんが、糞があるかないかで違いはでかいぞ?」
つらつらとボスが説明した、するとエディターは少し考え、ボソッと行った。
「た、確かにここに来るまでに、糞を見ていない、それだけで気持ちは晴れ晴れしていたな」
「だろ?景気を動かすのは人の心だ」
そう言っていると、執務室の扉がまた開いた、こんどはアルシーだった。
「ん、どうしたアルシー?今ちょっと仕事中なんだが」
「あ、あの、これ…………」
そう言ってアルシーは一匹の犬を持ってきた。
「………飼いたいのか?」
ボスが聞くと、アルシーはコクン、と頷いた。
「だめ」
「え……」
「飼っちゃだめ」
「うう…………」
アルシーはシュンとしてしまい、犬をずっと見ていた。
「……飼いたい、です」
「………ちゃんと面倒見るか?」
「はい」
「よし、ちゃんと見るんだぞ?」
ボスがそう言うと、アルシーは一気に表情が明るくなった。
「はい!ありがとうございます!」
そう言ってどこかに行ってしまった。
「ふう………さて、便所の次は何を作ろうかな?」