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少女、軍靴

空は、暗闇に包まれて月が一層輝き、全ての動物が 寝静まった頃、ボスと褐色エルフが廊下で向かい合 い、ガンを飛ばしあっていた。ボスは断固とした意

志を持ち、目の前の褐色エルフと対峙している、褐 色エルフの顔から汗が滲み、焦りの表情が出ていた 、ギリっと歯を鳴らして褐色エルフが口火を切った 。


「本気なのか………?」


褐色エルフの問に、ボスはただ、ああ、とだけ答え た、すると褐色エルフは雪崩込むようにボスに言葉 を飛ばす。


「なぜだ! なんでこんな簡単な事に従わないんだ ! 苦しむのはお前だけなんだぞ! 」


どんなに褐色エルフから苦言を飛ばされても、ボス は依然とした態度をとり続けた、そのさまや、まる で天下分け目の戦いを目の前にした戦国武将のよう

な面構えである。


「俺は従わないぜ、なんと言われようがその命令だ けは従わない、奴隷にも維持ってのがあるんだ、そ れになにより……………」


目をカッと見開き、ボスは激を飛ばすように、大声 で告げる。


「俺の体力が持たなぁぁぁい!! だからお前とは今 夜寝なぁぁぁい!」


「ちょっ、しー! 子供起きちゃうから!!」


褐色エルフが慌ててボスの口を抑えようと両手を口 に当てようとするが、ボスは褐色エルフの両手を払 い除け、尚も言い続ける。


「構うものか! むしろ起きてくれたほうがお前と セ〇ロスせずに済むわ!」


「うう〜、そ、そんな大きな声で言うな〜!」


褐色エルフは顔からエルフの特徴とも言える尖った 耳の先まで真っ赤にし、両腕をブンブンと振って 抗議した。


「あ、明日の朝食ブロッコリーでもいいのか!? 今 なら許してやらないこともないぞ!」


「生来俺は朝食を食べないから問題無い!」


「ち、朝食食べないと健康に悪いんだぞ! 今なら 果物も用意してやるぞ! だ、だから………」


そこまで言うと、恥ずかしいのか、少し口を閉じ、 深呼吸を一回すると、赤く染まった頬に上目使いで ボスを見つめ、


「今夜も…………シて?」


「嫌だ!」


即答である、もう早押しクイズもびっくりの早さで ボスは断った、それに対しせっかく勇気を出して誘 っているのに、即断られた褐色エルフは、ぷうう、

と頬を膨らませた。


「なんだよ! 少しは悩んでくれたっていいんだぞ !」


「いやいや、無理無理無理、本当に無理」


断固拒否なボスに、褐色エルフはむうううう! と唸っているが、どうあってもボスは首を縦にふら ないだろうと察した褐色エルフは、不貞腐れたよう

に口を尖らせ、諦めた。


「分かったよ、今夜は諦めるよ…………その代わり 条件がある」


そう言って褐色エルフはボスを食堂に連れていき、 戸棚から少し茶色の液体が入った瓶と二つのグラス を取り出した。


「晩酌に付き合え」


トクトクトク、とグラスに液体を注ぎ、それから甘 い発酵臭がしてくる、その匂いをボスはスンスン、 と鼻を鳴らして嗅ぎ、褐色エルフに尋ねた。


「こりゃブランデーか?リンゴを蒸溜したような匂 いがするな」


「そのブランデーってのがなんだかわからないが、 原料は確かにリンゴだ」


自分の予想が的中したことに少し満足感を覚えなが ら、注がれていくブランデーをボスは眺める、光に 反射するブランデーは茶色から黄金色に変わり、匂

いも濃くなっていく。


「よし、飲め」


並々に汲まれたブランデーの入ったグラスをボスに 手渡し、褐色エルフもグラスを持ち上げ、乾杯もせ ずに一気に飲み干した。


「こりゃ豪快だな、度数はそんなにないのか」


ボスは軽くグラスを揺らし、褐色エルフを真似て一 気に飲み干す、するとボスに体の内側が焼けるよう な感覚が地面を這うありのように急遽襲ってきた。


「………っ!? ふ、普通にブランデー並の度数ある じゃねえか、こんちくしょう」


焼けるような感覚の後に熱が体をめぐり、ボスの体 を火照らせ、熱がボスの頭まで達すると、ボスから 平衡感覚が失われれ、ユラユラと体が揺れる。


「ん? 少し酒精が強すぎたか? エルフ族が製造す る酒の中で低いほうなんだがな」


クラクラしながら嘘だろ?とボスは呟いた、ブラン デーは大体度数が40から43位なのであるが、これ は並大抵の人なら一杯飲んだら十分と思うくらいの

度数なのであるが、それが低い方と言う事はエルフ 族はなかなかの飲兵衛なんだろう。


「ふ、ふふ、政治家との飲み会で鍛えられた肝臓を 舐めるなよ」


そう言うとボスは瓶を取り、まるで水を飲むかのよ うにブランデーをラッパ飲みしだした。


ごくっごくっごく…………喉を鳴らしながらボスは 瓶に入っているブランデーを空けていく、やがて瓶 は空になり、ボスは空になった瓶を机の上に乗っけ

て、床に座り込む。


「おいおいおい、一人で全部飲み干すなよな……… って大丈夫か?」


褐色エルフはしゃがんでボスの顔をのぞきこむと、 ボスの顔は火のように真っ赤になり、目はどこを向 いているか解らない虚ろな目をしていた。


「…………想像以上にうまくいったな、まさかこん な早く酔い潰れるとは」


褐色エルフはニヤッと笑い、ボスの肩を持ち立ち上 がらせ、自室まで運び、ベッドにボスを寝かせた。


「…………さけ、さーけ」


ベッドの上でボスが唸るように言うと、褐色エルフ が頭を撫でながら笑い、誘導するように言った。


「酒は終わり、お前はこれから私とやることやんね えとな」


そう言って褐色エルフは服を脱ぎ、一糸纏わぬ体で ボスに跨った。


「もう理性なんてないだろ? 壊れるまでやろうぜ ?」


―――――――――――――――――――――――


「……………頭痛い、吐きそうだ」


ボスは嗚咽感と頭痛によって目覚めた、辺りはすっ かり明るくなり、朝を迎えていた。


「昨日の記憶がねぇ………一体何が…………」


頭を抱えながらボスは昨日のことを思い出そうとし た、だが全く何も思え出せず、嫌な予感しかしない 、頭を抱えながらとなりを見ると、そこには下着だ

け来た褐色エルフが、ぐっすりと眠っていた。


「んう………可愛いやつめ♥ 吸い付き過ぎだ」


……………酒は怖いなぁ、そう思いながらボスは不意に窓の外を眺めた、そこには酒以上に恐ろしい情景が広がっていた


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