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少女、困難

色白エルフとの取引からの褐色エルフの家に帰宅後、ボスは奴隷用の部屋の窓から夕焼けを眺めながら考え事をしていた、ボスは少し困惑している、何故ならボスは領主と言う重大な肩書きと権力を所持しているからである、にも関わらずこんな所でうつつを抜かしてあわや現地のエルフと一夜の関係を持ってしまった、と言う事実を色白エルフの手当をしている時にふと考えてしまったからである。


「今頃俺を探すために捜索隊でも編成されているのかなぁ………この領地で俺やんねえこと色々あるしなぁ………」


ボスは、小さくため息を吐き、これからのことをいろいろ頭の中で計画を練り始める、元々あの村がほぼ壊滅した原因を突き止めることが本来の目的であったのだが、いろいろと誤算が生じている現在を考えると修正が必要だと思ったのである。


「まずここのエルフたちに拉致られた奴隷は恐らく全員親はエルフたちに殺されてるはずだから、引き取り先を確保しないといけないな、それとあのショタコン女王様に責任をもって投獄してもらわないと、あと問題なのはこの森に住むエルフ族ともう一つ………」


あの褐色エルフ、とボスが言ったところで、扉を軽く叩く音が聞こえてきた、間もなくガチャッと扉が開き、ドアの向こうからミアが顔を出した。


「おじさん、ご飯の用意できたよ」


ミアの呼びかけにボスは「わかった」と頷き、ミアと一緒に食堂へと歩みをすすめる。


「おじさん 、ひとつ聞いていい?」


食堂に続く廊下を歩いている途中にミアはボスの手を掴んで、ボスの顔を見上げながら尋ねた。


「どうした?」


「あのね、あのエルフのお姉ちゃん、わたし達を奴隷にするために連れてきたんだよね?なのに奴隷らしい酷いことされてないよ?」


ミアの問にボスはああ、と声を漏らし、


「その事は俺も疑問に思って昨日聞いたよ、なんでも子供は可愛いから愛玩犬ぐらいにしか見てないらしい」


「愛玩犬?」


「ペットだよ」


ボスがしれっと言うと、ミアはそっかあ、と一言いって、少し残念そうな、寂しそうな表情を見せた。


「………ねえ、もう一つ聞いていい?」


「なんだ?」


「昨日エルフのお姉ちゃんと夜中まで何やってたの?ギシギシうるさかったからもう少し静かにしてね?」


……………………これあかんやつや、それ以上ボスは何も言わず、黙って食堂まで歩いた。


―――――――――――――――――――――


「ねえねえ、昨日何やってたの?」


ボスが食堂につく頃に、ケイトは食卓に料理を用意している褐色エルフに質問攻めをしていた、恐らく質問の内容はミアが聞いてきた内容と同じだろう。


「ううううるさい! 子供には関係ない!」


顔を真っ赤にして褐色エルフはかなり動揺し、手を震わせながら料理を並べていく、皿の中身が零れないか見ていて心配になってくる。


「関係ないって、昨日すごくうるさかったんだよー? ギシギシアンアンって、目の下にクマができそうだったよ」


何も知らない純粋なケイトくんは恥ずかしさのあまりこの場からいち早く去りたい褐色エルフの心境に一切感じることなく、スバスバと質問を追求していく。


「そ、そんな恥ずかしい事を言うな!! き、昨日の夜はだな、その、そう! 少し鍛錬をしていたんだ! それで少しうるさくなっていたんだ!!」


「おじさんを連れて鍛錬?」


「あ、ああ!! 少し手合わせをだな………」


褐色エルフは弁解している途中で昨日の夜の行為を思い出してしまい、ただでさえ顔が赤いのを更に赤く染め、両手で顔を隠した。


「………? どうしたのお姉ちゃん」


これ以上褐色エルフだけ質問攻めにされるのはあまりにも不憫だと思ったボスは、軽く咳き込み、ケイトの興味をボスにそらせた。


「あー、あれなんだ、昨日の鍛錬の疲れが今になってふきでたんだろ、だから今はそっとしてやってな?」


軽く頭を掻きながらボスが言うと、ケイトは少し不満そうな顔をしたが、恐らく今質問しても何も答えてくれなさそうな褐色エルフの様子に、ケイトは頷いた。


「わかったよ、おじさん」


ふー、ケイトは優しい子だから素直にいうこと聞いて助かる、と安堵につくボスに、トテトテと褐色エルフが顔を抑えたまま近づき、ボスの背中に回ると、まるで隠れるようにそっと体を寄せた。


「…………もっと早く助けろよ、ばか」


背中に回っている上に顔も手で覆っているので表情はわからなかったが、恐らく指の隙間から赤面ジト目でボスを見ているのは用意に想像できた。


「ははは、ちょっと援護しにくい内容だったもんでな、手を出しにくかったんだ」


そう言ってボスは椅子に座ると、ほかの面々もつられるように椅子に座り、各々食事を始めた。


「……出された食い物に文句をつけるつもりはないが、こいつはなぁ………」


ボスは軽く苦笑いしながら並べられた料理を眺める、みな寺や修道院で作られるような精進料理ばかりで、野菜と豆を中心にして、肉を一切使わない、まさに見ているだけで青虫になれそうな野菜中心の料理である。


「私達エルフ族は肉は食えないんだよ、私の奴隷なんだから残さず食え」


さっきまで赤面だった褐色エルフは、今度はムッとした表情になってボスに言う、ボスは不満に思っているのは自分だけではないはず、そう思ってミアやケイトをちらっと見るが、農村の子だからか、美味そうに野菜料理を食べている。


「………う、ブロッコリー」


ボスは野菜を食えないわけではないが、人より少し好き嫌いが激しいのである、その中で最上級に嫌いな野菜、それはブロッコリー。


ブロッコリーを食べるのを躊躇うボスを褐色エルフは眺め、意地の悪い笑みを浮かべてボスに話しかける。


「ん〜、どうした? 手が止まっているぞ? 早くそのブロッコリーを食べろよ」


「……実はだな、俺はブロッコリーを食えなi「聞こえんなぁ〜?」」


そう言って褐色エルフはボスの皿にブロッコリーをドンドン追加していく、山盛りになっていくブロッコリーを眺めているボスの顔が徐々に青くなる。


「残さず、食えよ?」


ニッコリと黒い笑いをボスにぶつける褐色エルフに、ボスはブロッコリー以外の食材を使った料理に手をだそうとするが、褐色エルフに手を叩かれ、ブロッコリー以外食べれない。


「………くそ、今夜は一緒に寝てやんねーぞ」


「ふふふ、そんなことしたら明日の朝食もブロッコリーだからね?」


この後、ボスは涙を流しながらブロッコリーを完食した。


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