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少女、人権

さあ、この木を登ってくれよな」


褐色エルフがボスと子供2人に、褐色エルフが住み 着いていると思われる住居がある大木の幹を指さし て言った、それにボスは苦笑いをして答えた。


「おいおい、俺はともかくこいつらには酷ってやつ じゃないか?」


ボスがそう言うと、褐色エルフは子供達に視線を向 け、ニヤリと笑い、


「ならお前が家まで運べばいいじゃないか、私は先 にいくぞ」


そう言って褐色エルフは木をスイスイと登っていき 、ものの数分で家に到達し、中に入っていった。


「はぁ………」


ため息をついた後、ボスは気に巻き付いている丈夫 そうな蔦を体に巻き付けながら、子供達に声をかけ た。


「おい、俺が先に登ってロープを垂らすから、お前 ら上がってこい」



そう言ってボスは大木の幹にあしをかけて、あ、


言って振り返り、


「そういや、お前らの名前聞いてなかったな、名前 はなんていうんだ?」


ボスが尋ねると、子供達は一人ずつボソボソと自己 紹介をした。


「…………ミア・ラシス………だよ?」


最初に口を開いたのは、小さい口をモゴモゴと動か し、長い赤毛を頭の後ろにまとめ、怯えた様子でボ スを見つめる目は、正に真珠のように純白で無垢な

少女だと想像される、不審者がもし見つけたら間違 いなく連れ去るだろう。


「…………ぼ、僕はケイト・ミリアス」


次に口を開いたのは正に美男子を通り越し、ショタ っ気を漂わせて男とは思えない白く柔らかそうな肌 を持ち、髪も肩まで伸ばしており、女装させたらも

う見分けがつかない女顔で、ボスをチラチラと少し 警戒した様子で距離をとっていた、ボスにとっても この手の子供は苦手である。


「あー、そうか、俺の名前は…………おじさんと呼ん でくれ、んじゃ、先に登ってるぞ」


そう言って今度こそ登ろうとすると、ミアが不安そ うな声でボスを呼ぶ止めた。


「ま、待って…………おじさん」


ボスはあん?と声を出してミアのほうに振り返った


「なんだ、トイレか?」


「ううん、そうじゃなくて………私達、この後どう なっちゃうの?」


ミアの言葉に、ボスは少し考え込み、その後少し笑 いながらミアに返答した。


「まあ、ミアだったらあまり酷い目に合わないんじ ゃないか? まあ 、あのエルフがレズじゃなければの話だが…………


ボスがそう言うと、今度はケイトがボスに声をかけ た。


「ね、ねえおじさん、なら僕はどうなるの?」


ケイトの言葉に対し、ボスは少し俯き気味になって 口を開いた。


「まあ、お前の場合は………あのエルフがよほどの 変態じゃないことを祈るんだな」


ボスは話が終わると正面を向き、今度こそ大木を登 り始めた、エルフ程ではないがボスには軍歴があっ たため、常人よりも数倍の早さで木を上り、エルフ

の家の近くに到達し、近くの太い枝に蔦をくくり付 け、蔦を垂らした。


「よーし、これで登れるぞ!上がってこい」


ボスがそう腕を振りながら二人に登ることを促すの だが、二人はその場でオロオロするばかりで登って くる気配がない。


「なにやってんだ、あいつら」


そう言うとボスはラベリングの要領で蔦を使って素 早く降下し、直ぐに地面にいる二人の元に駆け寄っ た。


「おい、なにやってる?早く上がってこいよ」


ボスの問に対し、ミアとケイトは泣きそうな声で、


「た、高い所怖いから…………」


「ぼ、僕も……………」


その答えに、ボスはため息をついた。


「………まあ、仕方ないか、子供だもんな、よし、 ミア、背中に乗れ」


ボスはミアに背中を向けてしゃがんだ、ミアはよい しょ、と可愛らしい動作でヨジヨジとボスの背中に 乗っかった。


「お、おじさん、僕は?」


ケイトが置いてかれるのでは、と不安になり慌てて ボスの服を掴んでその場に留ませる、するとボスは ケイトの頭を撫で


「心配すんな、戻ってきて背中にのっけてやるから


「ほ、本当に?」


「ああ、本当だ」


そう言ってボスはミアを背負って木を上り、程なくしてミアを木の上に届け、再びケイトの元に戻って きた。


「な、戻ってきたろ?背中に乗りな」


ボスはまたしゃがみ、ケイトを乗せてさあ登ろうとした時、後ろから偉そうな口調で喋る声が聞こえた


「おや、僕としたことがこんな上玉を忘れるとはねぇ」


振り返ってみると、そこにはアーシャ女王が武装した側近を連れ、ケイトをじっとりとした目で見てい た。


「女王様、これは既に分配された奴隷ですよ」


側近が小声でアーシャ女王の耳元で話す、するとアーシャ女王は小うるさそうな表情をし、


「女王が言ってるんだよ?文句ある?」


アーシャ女王が言うと、側近はそれ以上なにも言わなかった。


「さあ、そこの奴隷くん、その美味しそうな童子を渡してくれないかな?」


アーシャ女王はまるで欲しいおもちゃを目の前にした子供のような目つきでケイトを凝視しながら、手をわきわきと動かしている、まるでこれから何をやるのか想像がつく。


ボスは背中に背負ったケイトに視線を向けた、ケイトは新たな怖い対象の出現に、今にもボスの背中に小便をまき散らしそうであった。


「………なんだかこいつは心底嫌そうだけど?」


ボスは顔を掻きながらアーシャ女王に言うと、アーシャ女王はニヤっと笑い、すかした態度で


「それは本当かい?僕はこう見えても童子に好かれる達なんでね、僕と生活した童子は大抵僕から離れたがらないんだけどな」


「はは、鎖で繋がれちゃあ離れようがないだろが、極端にお前がショタコンなだけだろ?」


ボスが嘲笑するように言うと、アーシャ女王の両隣にいた武装した側近二人が光の如く、地を駆けてボスの首元に短剣を突きつけた。


「貴様、女王様になんたる無礼を………」


側近ら二人は蛇よりも鋭く、鴉にすら劣らない目つきでボスを睨み付けた、しかしボスは全く動じた様子はなく、むしろ笑いながら側近ら二人に語りかけた。


「だってよ、この女王様の性癖っていったらもうショタコンじゃねえかよ、お前ら全員子供を奴隷にする辺りを考えるとお前らもショタコンっぽいが、いくらなんだってこの女王様は格が違いすぎるだろ、ハハハハ!」


プツ…………


ボスの喉元から一本の血の道が滴っていた、女王の顔を見ると、少なくとも不愉快極まりない様子なのはわかった。


「…………ああ、言い過ぎた、かな?」


ボスの表情が笑顔から苦笑いに変わった瞬間、アーシャ女王は怒りをあらわにした。


「ここまで僕に生意気な口を聞いたのは君が初めてだよ…………、君は、何様なんだい?」


さっきまでとは全く違う、殺気を全開にしているアーシャ女王を目の当たりにしたケイトは、ボスの背中に世界地図をぶちまけた。


「あぁ………………ぅ…………やぁ……………」


背中に違和感を感じたボスは、マジか、と呟き、アーシャ女王もケイトの様子を見て、さっきまでの表情が嘘のように穏やかになり


「おっと、童子を怖がらせてしまった、今日はお暇するよ」


そう言ってアーシャ女王様は踵を返してアポライト神殿に帰り、側近も後をついていくように立ち去った。


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