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少女、親友

「…………なんでここにいるんだ?アルシー」


ボスは剣を構えたまま、もう一人の謎の少女と楽しげに語らっているアルシーに声をかけた。


「ちょ、ちょっとそんな物騒な物はしまってくださいよ、私を切るつもりですか?」



アルシーがそう言ってボスに剣をしまうことを促した、すると隣にいた謎の少女がボスの方を見て、首をかしげながら


「…………だれ?」


謎の少女の問いかけにボスは剣を握り直し


「お前が魔女か」


「…………そう、だけど?」


まるで無垢な少女のように魔女は答え、ボスは少し思っていたのと違うと思いながらも魔女に尋ねた。


「お前があの村を襲ったんだな?」


ボスがそう言うと魔女は戸惑った様子で


「し、知らない……………」


「ほう、ならなぜ村の民家の壁に魔女と書かれていたのだろうなぁ?」


「ほ、本当に知らない……………」


そういうと魔女はアルシーに抱きつき、震えながら知らない、知らないといい続けた。


「つ、使い魔さん、何があったか知りませんがこの人はそんなに悪い人じゃありませんよ」


アルシーは魔女の頭を撫でながらそう言った、するとデュランタルまで擁護の声を出した。


「ねえ、これじゃ私たちが悪者みたいじゃない、この子が本当に村を襲ったのかしら?」


「…………………いやいや、他にありえないだろ、人狼族のことについてもそうだし」


ボスがそう言うと、魔女はアルシーに抱きつきながら顔だけボスの方に向けて話し出した。


「あ、あの、人狼族がなにかしたの?」


「ああ、俺に襲ってきた、デュランタルの話によると人狼族は人里に現れることはないし縄張り意識がすごく強いそうだ、お前が召喚したんじゃないのか?」


ボスがそう言うと、魔女は少し涙目になりながら視線を逸らし、またボスの方を向いて


「じ、人狼族は昔からここに住んでいたよ?」


「は?ならなんでこの屋敷は襲われねえんだよ、人狼族の縄張りの中じゃねえのか?」


「こ、この屋敷には結界があるから人狼族には見えないし、こうでもしないと…………」


途中、魔女は言葉を詰まらせ、俯きながらポロポロと涙を流し


「パパやママみたいに殺されちゃうから………………」


「………………どういうことだ?」


ボスは握っていたデュランタルを鞘にしまい床に垂直に立てた、するとデュランタルは人の姿に戻り、ボスと一緒に魔女の話を聞いた。


「最初は私にも友達がいた……………村の人達と大勢の所にいた……………でも、ある日流行り病が流行して……………………それから私達が魔術師だからって………………発生源だって疑われて……………蔑まれて……………友達も居なくなって…………もう村に住めなくなって………誰も来ることのできない人狼族の縄張りに住むことになって…………引っ越そうとしたら………村の人達に捕まって………それで…………」


そこから先は完全に口を噤み、ただ一層アルシーに力強く抱きついて息を殺すように泣くばかりだった。


「…………そうか、お前あの村に住んでいたのか」


ボスが魔女に尋ねると、魔女は小さく頷いた。


「……………私達、似ていますね」


アルシーが魔女の頭を撫でながら、ボソッと呟いた。


「でも、もう一人じゃないですよ?」


メルシーが魔女の頭を撫でるのを止め、魔女の両肩に手を置いていった。


「忘れたんですか?馬車で約束したじゃないですか」

―――――――――――――――――――

「私と友達になってほしいの………………

「………………へ?」


魔女は少しもじもじしながらチラチラとアルシーの方を向いて言った。


「と、友達ですか……………?」


「あう、うん…………………私、ずっと友達がいないの、だから……………………」


そう言い切ると顔を赤くしながら俯き、ずっとアルシーの反応を待っている様子だ。

「そ、そのですね……………」


アルシーは立ち上がって魔女の前に立ち、手を差し出し。


「私でよければ…………いいですよ?」


―――――――――――――――――――――


「もう一人じゃありません、こんな広い屋敷に一人では広すぎたでしょう」


そう言ってアルシーはボスに顔を向け、


「使い魔さん、わたし達の屋敷も二人では広いです、あと一人住まわしてもいいですか?」


アルシーの問に、ボスは笑いながら


「ああ、そうだな、デュランタルとそこの魔女ひっくるめて屋敷に戻るか、だがその前に、あの村が誰に襲われたか調べねえとな」


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