少女、奮闘
「単刀直入に言う、もうすぐ此処は無数の敵兵によって焼け野原にされる、逃げるにしても篭るにしても打って出るにしてもそれなりの措置を取ってもらいたい」
ボスがそう軍を動かす様に促す、しかしエディターは全く信じていない様子。
「そんな話信じられるか!牢屋にぶち込まれたくなきゃ失せろ!」
「んじゃ何したら信じるんだ?」
「少なくとも王からの命がない限りは動かん!」
全くこれだから立憲君主制の国は硬いな、だから腐敗が広まるんだバカ野郎。
「領主なら自分の目で確かめろや!時間と敵は常に待ってくれないんだぞ!」
ボスが怒鳴り声を上げると、エディターが呆れたように言った。
「………貴様はどうしても私とコージュラ皇国と戦わせたいらしいな」
コージュラ皇国?攻めてきた奴らの母国か?
「ああ、せめて防衛をしてほしい」
ボスがそう言うと、エディターはほくそ笑み、ボスに着いてきていた少女を指さした。
「正直に言って私は未だにオマエの話を信じていない、信じていないがお前に兵士を貸してやる、お前の話が本当ならば戦果をあげてこい、しかしもし失敗したならばその娘を殺す」
エディターは淡々とのべる、対してボスも淡々と言った。
「了解した、失敗したらそいつを殺せ」
この言葉を聞いた少女は、ただ唖然とした。
「な……!使い魔の癖に主人を見捨てるんですか!?」
「使い魔?」
エディターが顔をしかめる。
「使い魔ってどういう事だ?俺は使い魔相手に兵士を貸してやるのか?」
エディターは疑いの目でボスを見る、しかしボスはしれっと言った。
「まあまあ、仮に使い魔だとしてもそいつを殺せばいいじゃないですか、術者が死ねば使い魔も死ぬんでしょ?」
ボスがそう言うと、エディターば少し考えて
「ふむ、まあいいだろう」
そう言ってエディターは側近の兵士たちに少女をとり抑えるように指示した。
「ほら、来い!」
そう言って兵士達は少女を取り押さえる。
「いっ痛い!使い魔さん助けて!」
「大丈夫だ、勝ちゃいいんだ勝ちゃ」
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「………大体2000位かな」
エディターに用意された兵士を目の前にボスはぼそっと言った。
「いいか!これからここに向かってくる敵兵を疲弊させて撤退させる!壊滅させるんじゃない、疲弊させるんだ!」
「は!」
そう言って兵士一同が背を正した。
「司令殿!一つ質問してもいいですか?」
そう一人の兵士が質問してきた。
「ふむ、階級と名前を言ったら質問に応じよう」
「は!兵士長キミリア・ライズです!今回の防衛戦ではどのような武装をするのですか?」
「ああ、防衛戦で使う武装は…………」
――――――――――――――――――――
「………ええい、まだ着かぬか!」
馬に跨りながら苛立ちをあらわにしたのは、コージュラ皇国の領主、ラルク・ラングラーであった。
「我がラングラー家はコージュラ皇国の中で一番小さい!属州を作るチャンスは今しかないのだぞ!」
そうやって補佐官に文句を言う、すると補佐官は
「しかしですねラルク様、100250もの兵士を一度に動かそうとすると時間がかかりまする、しかもここら辺は森林地帯、ますます行軍速度は落ちます」
「ふん、我軍には魔導師がおる、多少無理させても魔導師に兵士の徒労を回復指せればよい」
「しかしですねえ……………」
そう話していると、一人の兵士が駆け寄ってきた。
「伝令!前方の兵士が何者かに奇襲を受けた模様!」
その話を聞いたラルクは、苦虫を噛んだような表情になった。
「チッ、流石に敵もかんずきよったか、して敵の規模は?」
「は!詳しい情報は入っておりませんが大体1000から1200!」
「なんだ、雑魚じゃないか、兵3000を奇襲を受けた方に出向かせろ!」
その言葉を聞いた兵士は、すぐさま後ろに下がった。
「ふん、蹴散らしてくれるわ」
――――――――――――――――――――
「な……………!」
ラルクは絶句した、なぜなら進んだ先はついさっきまで森林地帯だったのに対し、いきなり開けた平野に出た、しかも自分の出向かせた3000の兵士が目視可能である、しかも敗走していた。
「な、なぜ我軍が敗走しているのだ!」
補佐官に尋ねると、補佐官は笑いながら言った。
「目視した所、我が軍は騎兵隊で無交わしているのに対して敵はバリスタとボウガンで応戦しています」
「しかし3000も送ったのだぞ!敵よりもおおいのになぜ?」
「平野に3000もの兵がいたらいい的です、それに森林地帯で疲弊していたので士気が低かったのでしょう」
「くっ直ぐ様増援を!」
そう言った途端、敗走してきた兵士達がラルクに近づいてきた。
「た、助けて」
「貴様ら撤退命令は出していないぞ!」
「し、しかしバリスタによる一斉射撃で部隊は壊滅、士気もただ下がりです」
「ぐっ、部隊は下がるな!」
そう敗走中の兵士たちに促す、しかし全く聞く耳を持たない。
ザシュ
「うわぁ!敵だ!」
敗走中の兵士たちの中から槍をもって周りの兵士たちを殺している兵士がそこらかしこにいた。
「く!混乱しております!一旦下がりましょう」
補佐官が叫ぶと、ラルクは首を横に振った。
「ならぬ!まだ兵士に余裕はあるのだ!直ぐ様包囲を……」
ヒュイ!
ラルクの首に矢が飛び、一瞬にして頭が宙を舞った。
「て、撤退ー!」