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少女、出会い

「…………随分広いな」


駆け込むように洋館に入ったボスは、あたりを見渡しながらボソッと呟いた、壁には絵画や皿が多く飾られており、頭上には煌々とシャンデリアが光を放ち、あちらこちらと重装甲な鎧が飾られていた。


「シャンデリアには火がついているし、見たところ埃っぽくない所を推測すると、どうやら人が住んでいるようだな」


「人狼族がうろついているような場所で?」


ボスの腰に下がっているデュランタルが不思議そうに言い、その言葉を聞いたボスも顎に手を当て考え出した。


「そうか、そういえばそうだよな、縄張り意識の高い人狼族のテリトリーに屋敷建てないよな………」


うーん、と唸りながら考えていると、デュランタルが少し揺れながら言った。


「考え込むのもいいけど、そろそろ人の形に戻りたいから腰にかけるのやめてくれないかしら?」


デュランタルがそう言うと、ボスは無言で腰からデュランタルを外し、部屋の中央に突き立てた、すると黒い霧が剣から噴出し、部屋全体が黒い霧に満ちるとデュランタルは元の人の形に戻り、背伸びをした。


「うーん、剣の姿だと体の節々がこるのよね〜」


呑気な事を言いながらデュランタルは首をコキコキ鳴らし、肩を回したりした。


「そうかい、まあそれはいいとしてだ、この如何にも怪しい屋敷を調べるぞ、盗賊の住処かもしれんしな」


「盗賊がこんな綺麗ずきかしら?」


デュランタルが疑問の言葉を発したが、とりあえず今はこの洋館の捜索が優先されるため、ボスは搜索に繰り出した。


「うーん、しかしこの廊下は長いなー、下手したら俺んちよりも長いかもしれないな」


そんなことを呟きながら歩いていると、ガラス器具が多く置かれた部屋を見つけた。


「………なんだか色々あるな、三角フラスコ、メスシリンダー、ガラス棒、試験管、メスフラスコ、こりゃバーナーか?いや、ガス栓らしきものはないしな…………………」


そうブツブツと独り言のように呟きながらガラス器具を調べていると、さっきからまるで蚊帳の外のようなデュランタルが、相手して欲しいようにボスの服の袖を掴んだ。


「ねえ、さっきから何を一人でブツブツ言ってるの?私にも教えなさいよ」


「少し黙ってろ…………あ、こりゃ蒸留器か?」


ボスは目の前にある蒸留器をまじまじと見て、その周りにある大量の蒸留水と思われる透明な液体の入った瓶に視線を変えた。


「…………なあ、デュランタル」


「ん?何よ?」


「蒸留す……………すごく純度の高い水を使う学問とかあるのか?」


ボスがそう尋ねると、デュランタルはうーん…………と考え込んだ。


「そうね、純度の高い水をね………………………ああ、錬金術とか?」


錬金術…………この世界にもそんな物があるのか、昔の人々が石ころを金に変換しようという試みから始まったわけだが、次第に副産物として塩酸やら硫酸などの化学薬品、更には今の化学基礎を築き上げたわけだから、馬鹿には出来ない。


「錬金術か……………なあ、錬金術を研究するのはどんな人達なんだ?」


「そうね、主に修道院の司祭とか、王城の研究者とか…………………ああ、あと魔術師ね」


魔術師……………………ということは……………。


「………ここ、魔女の家かもな」


ボスは焼けた村の家の壁に書いてあった魔女と言う文字を思い出し、少し笑いながら言った、するとデュランタルも少し笑い、


「そうね、人狼族のテリトリーに家建てるし、そもそも人狼族は人里の近くに群れるわけないし、魔女が召喚した可能性高いしね」


……………魔女、結構近くに居たんだな。


「……………よし、魔女殺しに行くか、デュランタル、剣になれ」


ボスがそう命じると、デュランタルはまた黒い霧を噴出し、剣の姿になった。


「さっさと魔女見つけて帰ろうぜ!」


そう言ってボスは長い廊下を走り、魔女のいる部屋を捜索した、すると寝室と思われる部屋から何やら楽しげな人の声が聞こえた。


そうか、ここか!待っていろ魔女!村人の敵だ!


そう心の中で叫び、いざ部屋に飛び込むと、魔女と思わしき少女と、もう一人少女がいた。


「あ!使い魔さん!、よくここがわかりましたね?」

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