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少女、遭遇

「はあ……………また置いてかれてしまいました……………」


溜息をつきながらアルシーは一人、馬車の中で揺られている、その様子は武闘会に行ったボスを追いかけて馬車を飛ばした時を連想させる。


「なんで皆さん私をおいて行ってしまうんでしょうか……………」


そう寂しそうにアルシーは馬車の外を除きこむ、外に広がるのは巨大な森林、その情景はアルシーが住んでいた、今は無い故郷を思い出す。


「………………使い魔さんにあってからどのくらいたったのでしょうか……………お母さん………」


アルシーがぼそっと零した瞬間、馬車の運転手が突然大声をあげた。


「誰だね君は!そこを退きなさい!!」


何事かと思い、アルシーは馬車の扉を開いて外の様子を確認した、すると外には紫色のとんがり帽子を被り、全身をまるでアサシンのような衣装を装い、天使のように透き通った白い肌に幼い目をした見た目メルシーと同い年ぐらいの少女が、アルシーの馬車の進行先に立っていた。


「……………ねえ」


少女が口を開いた、その声にアルシーは少しびくつき、急いで馬車の中に入った。


「怖がらないでよ…………」


そう言って少女は馬車に近付いて来た、それに馬車の運転手は短剣を抜き、少女の前に立ちふさがった。


「近づくな!この馬車に乗っているのは領主様の大切な従者だぞ!」


馬車の運転手がそう言うと、少女は少し俯き、馬車の運転手に言った。


「ねえ、あたしの目を見て」


少女がそう言うやいなや、何故か馬車の運転手はまるで全身の力が抜けたかのように、地面に倒れた。


ドシン!


その一連の光景に、アルシーは「ひっ」と悲鳴をあげた、すると少女が気づき、ニコッと笑いながら


「大丈夫、殺してなんかいないよ……………」


そう言って少女は馬車に近づき、馬車の扉を開け、中に入ってきた。


「い、いや……………来ないで………」


そう言いながらアルシーはずりっずりっと後ずさった、その様子に少女は少し悲しそうに笑い、口を開いた。


「あのね、私お願いがあるの…………」


―――――――――――――――――――――


「なんなんだぁ!この森は!」


そう叫びながらボスは剣と化したデュランタルを振り回す、ボスの周りには顔が狼、体は人間という怪物数十体が取り囲んでいた。


「彼らは人狼族ね」


冷淡な口調でデュランタルが言った。


「人狼族?何だそりゃ?」


「見たまんまよ、頭は狼、体は人間、狼と一緒で縄張り意識が非常に強いの、でもへんね、なんで彼らがこんな人里にいるのかしら?」


「しゃらくせえ!こいつらぶっ飛ばしたあとに考えらァ!」


そう言ってボスは目の前にいる人狼を切りつけ、更に後ろ、右、左と次々にバッタバッタと切り倒していった。


「うがァァァァァァァ!」


そう叫び声をあげ、一人の人狼がボスの背中に襲いかかる、しかし


「後ろ襲うときは静かに襲えぇぇぇ!」


そう言ってボスはデュランタルを後ろから来る人狼の口めがけて突っ込んだ。


ぐちゃ


デュランタルが人狼の口の中に入り、口を切り裂いて首から刃先が出てきた。


「ちょっと!私を口の中に突っ込むな!」


デュランタルが抗議をしてきたがボスは気にせず、すかさず口から引き抜いて体を捻り、大きく横ぶりをして人狼三体の首を切り落とした。


「畜生が、全く次から次に、きりがないぜ」


そう言って息せき切っていると、デュランタルが提案をした。


「あれじゃない?魔法使えばいいんじゃないかしら?」


「今の俺の体力だったら間違いなく倒れる、ここは……………」


そう言ってボスはデュランタルを鞘に収め、懐から筒状の物を取り出し、それの栓を抜いた。


「逃げる!」


そういうやいなや、ボスは真上に軽く筒状の物をなげた、するとその筒状の物は眩い強烈な光を発し、人狼達の視界を奪った。


うがァァァァァァァと人狼達は目を覆ってのたうち回り、その間にボスたちはその場を走り去った。


「ねえ、あれはなんなの?」


逃走中にデュランタルが尋ねると、ボスは息せき切りながら答えた。


「あ!?あれはフラッシュバンだ!俺の国の兵士が使ったりするんだ!」


そう言って走り続けていると、目の前に茨にかこまれた洋館を見つけた、ボスは何故こんな森の中に洋館が……とも思ったが、今は人狼から身を隠したいので飛び込むように入った。



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