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少女、治安

「…………だれですか、この人?」


闘技場の帰りのゆらゆらと揺れた馬車の中、自分の対角線上に座っているデュランタルを少しおどおどした様子で見ながら、ボスに尋ねた、するとボスは腕を組み、少し眠たそうな様子で答えた。


「んあ?ああ、こいつは俺の腰にぶら下がってた剣だ」


「へ?」


「だから、俺の腰にぶら下がってた剣だって」


ボスの返答に少し理解できていない様子のようだが、そんなことはお構いなしにデュランタルはニコッと笑いながらアルシーに挨拶をした。


「ふふ、宜しくね、アルシーちゃん」


「よ、宜しくお願いします…………」


アルシーにとって得体の知れないデュランタルに少し俯き気味に、ぎこちなく挨拶した、その様子を横目でボスは眺めながら、愚痴をこぼす様にボスが口を開いた。


「しかし今回の武闘会はエディターの言っていたとおり行くべきじゃなかったかもな、まじ死にかけたし」


ボスがそういうと、デュランタルもつられるようにこぼし始めた。


「ふふ、確かにそうね、でもあの時に死にかけなければ私を一生只の真っ黒い剣としてしかつかえなかったもしれないのよ?」


「そういえばあの黒い薔薇の世界で言ってた血がどうとかって一体なんなんだ?」


ボスがそう尋ねると、デュランタルは顎に手を当てて、うーんと唸り、考える仕草をしだした。


「まあ、私達には血統によって目覚めるのよ、騎士ならフルティングやガラティン、王族ならアロンダントやエクスカリバーね」


「へえ、で、お前は?」


ボスがデュランタルにそう尋ねると、デュランタルは一アルシーをちらっと見て、ふふふと笑いながらまたボスの方に顔を向けた。


「……おしえなーい」


「え?」

「おしえなーい♪ふふふ」


デュランタルが口に手を当て、クスクスと

笑いながらおどけた様子にボスはブチっと切れた。


「なんだ教えないって!隠さねえで話しやがれ!」


「ひ、ひたい!ちょっほほっへたひっぱらないれ~!」


ボスがデュランタルの頬をぐにんぐにんと引っ張り回していると、馬車の運転手が大声でボス達に伝えた。


「まもなくルセイン領に入ります!」


その声を聞くと、ボスはデュランタルの頬から手を離した、デュランタルは少し涙目になりながら両手で両頬を摩り、ボスを睨みつけた。


「お、覚えてなさいよ!」


そうデュランタルが叫んだがボスは気にもせず、馬車の外に広がる森林を眺め始めた、するとボスは眉を顰め始めた。


「…………なんだ、あれ?」


そう言ったボスの目線の先に、森林の深部からと思われる所から、煙が立ち上っていた。


「焼畑か何かじゃないんですか?」


アルシーもボスの隣にならんで窓を眺め、珍しくもない、と言いたげな様子でボスに言った。


「焼畑のわりには煙の規模がでかいような……………」


そう言ってボスは馬車の運転手に馬車を止めるように促し、運転手にあることを尋ねた。


「おい、この辺に農村はあるのか?」


「農村ですか?うーん……………まあ、丁度あの煙の方角に農村があるかと…………」


「そうか、ならこのままアルシーとデュランタルをつれて俺の領主の館まで運んでくれ、そのあとに迎えを頼む」


「あら、つれないじゃない」


馬車からひょこっと顔を出しながらデュランタルが言った、その言葉にボスは淡々とデュランタルに言った。


「ただあの煙の原因を見に行くだけだ、それにお前はエディターから借りた剣だしな、傷つけるわけにはいかん」


「でもそのエディターって人は私を使いこなせないでしょう?私は貴方について行くわ」


聞き分けのないデュランタルにボスはやれやれと言いながら


「わかった」


とだけ言ってボスは森林に入っていった。


――――――――――――――――――――


ほれみろ、焼畑じゃないじゃないか、そう思いながらボスは目の前に広がる光景を眺めた。


焼けた家、荒らされた畑、そこらに横たわり、血やら内蔵やらをぶちまけた村人の死体が山ほど、そして辺には農具が散らばっていた。


「……………ひどい有様ね、誰か生き残っていないのかしらね」


村の惨状に流石のデュランタルも眉をひそめ、辺りを見回しながらボスに近付いて来た。


「ああ、なにか残ってねえかなっと」


そう言いながらボスは焼けた家の扉をこじ開け、中を確認した、中はほとんど焦げ付いて、何もないように見えたが、一つそれらしきものが壁に書かれていた。


「…………………魔女?」


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