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少女、休憩

「…………あれ?」


ボスが目覚めるとそこはベットの上だった、部屋は暗く、窓から月が見えるので夜だということがわかった、辺りを見回すと、多数のベットが並べられている、どうやらここは医務室のようだ。


………膝になにか乗っかってるな?


そう思いボスは上体を起こし、自分の膝に視線を向けた。


「すう…………………すう…………………んぅ………………」


アルシーがボスの膝に突っ伏して寝ているようだ、かなり気持ちよさそうにすやすやと寝ており、寝息がなんとも可愛らしかった。


「…………なんで俺こんなところで寝ているんだ?」


ボスはそう呟き、一回頭の中を整理して考えてみることにした。


確か俺は紅騎士と戦って、そのあとになんだか良く分からない魔法陣がでてくる魔法を使った、だがその先が思い出せない……………。


「気絶したのよ、魔力を使い過ぎちゃってね」


突如と声が聞こえ、声のする方を向いてみるとデュランタルがベットの上に座り、少しうすら笑いを浮かべながら言っていた。


「全く、あれだけ魔法を乱用したら魔力なんてあっという間になくなっちゃうわよ」


「……まだ魔法ってのをよく理解してないんだ、それより俺が気絶した後どうなった?」


「ああ、貴方が気絶した後、王様直々に試合中止になってね、これ以上やると闘技場が壊れちゃうって、お陰で武闘会も中止よ」


「……ほう、そうか」


そう言ってボスは軽く頭を掻き、懐をまさぐり出し、舌打ちをした。


「チッ、どこいきやがった」


その様子を見たデュランタルが不思議そうに眺め、質問してきた。


「ねえ、そんな一生懸命なにを探しているの?」


「ああ?そいつは……………おっと、あったぜ」


そう言ってボスは小さな長方形の紙袋を取り出した。



「何それ?」


興味津々にデュランタルがのぞき込むと、ボスが中身を取り出しながら説明した。


「ああ、こいつはタバコだ、俺の国で売られている嗜好品さ」


そう言いながらボスは口にタバコを咥え、近くにあるランプの火を使って火をつけた。


「ふぅ、久しぶりの味だな」


ボスがそういうと、デュランタルがまた興味津々な目でボスに質問した。


「ねえ、そのタバコって美味しいの?」


「ああ、すこぶるうまい、だがこいつは毒なんだ、まずこの先端から出ている煙は肺に入れば癌になりやすくなるし、その煙をフィルターでうすめて吸うわけだが、少なくともそんな成分しか入ってないわけだから吸ったら体に悪いだけだ、百害あって一利なしだ」


「ならなんで貴方はそんな物を吸ってるの?」


「ああ、それがこいつの悪いところでな、一度吸うとニコチンって成分のせいで依存しちまうんだ、それにこいつを吸うと精神面ではかなり衛生的なんだ、まあようは苦痛や疲れが吹き飛ぶのさ」


そう笑いながらボスは再び口にタバコを咥え、すぅぅぅと煙を吸い込み、口から紫煙を立ちのぼさせた。


「へぇ……………私にも一つちょうだいよ」


そう言ってデュランタルはボスの前に手を差し出し、タバコの催促をしだした。


「俺の話聞いてたか?今の話聞いたら多分吸う気にならんぜ?」


「あら、私を誰だと思ってるの?不滅の剣よ?」


ふふふ、と笑いながらデュランタルが言うと、ボスは渋々デュランタルにタバコをひとつ渡し、ランプの火をデュランタルの目の前まで近づけた。


「………あら、なかなか火がつかないわね」


「咥えるだけじゃダメだ、少し吸い込みながら付けるんだ、そうそう」


「……………なかなかいい物ね、気に入ったわ」


そうデュランタルが満足そうにタバコを咥え、ボスに言った。


「この国にはタバコとかないのか?」


「少なくとも私が知っている限りはね」


……………こりゃ一儲け出来るな、そう思案していると、膝の上でアルシーが寝苦しそうに唸った。


「ううん……………くさい………………」


…………アルシーの前では吸わないようにしよう。

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