ボス、デュランタル
「…………なんだここは、あんたは何もんだよ?」
あまりの急変ぶりにボスは辺りを見回しながらボスは女に質問した。
「恐らくここは何処かなんて説明した所で信じるとは思ない、だからここは何処かなんて質問は答えない、だけど私が何者かは言うことができる」
そう女は自分の胸に手を当て、少しうすら笑いを浮かべながら自己紹介をした。
「私の名前はデュランタル、通称不滅の剣、貴方が所持している剣よ」
……………? 俺が持ってる剣? なんで剣が喋れるんだ? やはり俺は死んでしまったのだろうか、そう思いながらもボスは知り得ることのできる情報はしろうとデュランタルに質問した。
「俺の剣とか言ったな、つうとあれか?あの真っ黒で不気味なあの剣か?」
ボスがそう質問すると、デュランタルが少し不機嫌そうな表情を表し、地面に生えている黒い薔薇を一つ摘み、その薔薇をいじりながらデュランタルは喋れりだした。
「不気味とは失礼ね、でも事実、そう、その黒い剣は私」
「そうか、なるほどな、古龍の血を浴びたから真っ黒になったんだってな」
「私は元々黒い」
その後のボスの連続する質問に対し、ボスとは目を合わせず、薔薇をいじりながらデュランタルは淡々と答えていく。
「まだ質問は終わらないの?話したいことがあるんだけど」
痺れを切らしたようにデュランタルが言った。
「ああ、失礼した、どうぞ」
ボスがそう言うと、デュランタルは持っていた薔薇を捨て、口を開いた。
「まずなんで今こうやって貴方と会話出来るか、それは貴方の血に関係する」
おおう、なんかファンタジーになってきた。
「あなた、普通の人じゃないようね、かといって覚者でも勇者でもなく、王族でもない、あなた、何者?」
「…………まあ、そりゃこの世界の人間のDNAと比べたら多少違うのかもな、俺は人間だ、こことは別の世界の」
「………違う世界?」
デュランタルは眉をひそめ、首をかしげながらボスに聞き返した。
「ああそうだ、俺は別の世界からやって来たんだ」
ボスがそう言うとデュランタルはそう、と呟いたのち、暫く考え込み、やがてボスに顔を合わせた。
「まあいいわ、貴方がこの世界の人間ではなかったとしても、今は関係ない、とにかく貴方の血に私が目覚めたのが今は重大」
「目覚めた?」
「そう、私は目覚めたの、今まで長い間ずっと眠り続けていたのに、なぜか目覚めたの、原因があるとすれば教会により洗礼されし勇者が私に触ったか、正教会の法王が私に触ったか、そのぐらいしかない、でも貴方は勇者ではない見たいだし、法王でもない、本当に貴方は一体…………」
ビシッ
そうデュランタルが言ったのも束の間、突如空に亀裂が走り、破片のようなものがパラパラと空から落ちてきた。
「…………まずいわね」
デュランタルが顔をしかめ、ボスの方を向いた。
「もうあまり時間がない、まだ生きたいなら私の手を取って」
そう言ってデュランタルは手を差し出した、しかし当のボスは急にそんなことを言われ、訳がわからず戸惑っていた。
「ど、どうしたんだ、何が起きるんだよ」
「あの空が完全に割れたら時間が進み始めるわ、そうなったら貴方はあの鎧を着た男に切られる、そうなる前に早く!」
鎧を着た男…………紅騎士のことか。
「何をしてるの、早く!」
…………ああ、どうやら紅騎士との剣闘はまだ続けられるのか、それはそれは……………。
「…………よし、頼むぜ!」
そう言ってボスはデュランタルの手を握った、すると世界はまた暗くなり、何も見えなくなった。




